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『腎臓病』の初期症状とは? 沈黙の臓器を守るために知るべき検査の基準【医師解説】

 公開日:2026/04/08
『腎臓病』の初期症状とは? 沈黙の臓器を守るために知るべき検査の基準【医師解説】

「腎臓病」は、初期のうちは自覚症状がほとんどなく、気づいたときには病状が進んでいることも少なくありません。だからこそ、“早期発見・早期治療”がとても重要です。腎臓の負担を最小限に抑え、進行を防ぐために知っておくべきポイントを春日部大西毎日腎クリニックの大西先生に聞きました。

※2025年12月取材。

大西 剛史

監修医師
大西 剛史(春日部大西毎日腎クリニック)

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2008年、東京医科歯科大学(現・東京科学大学)卒業。2016年、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 医療疫学分野入学。同年、京都大学大学院医学研究科 社会健康医学系専攻 臨床研究者養成コース受講生、9月より福島県立医科大学臨床研究イノベーションセンター臨床研究フェロー着任。2019年に博士号を取得し、春日部中央総合病院腎臓内科に赴任。2024年、一ノ割駅前休日診療所を開院。2026年4月、春日部大西毎日腎クリニックに名称変更・移転開院。

腎臓病は、なぜ早期に治療したほうがよいのか?

腎臓病は、なぜ早期に治療したほうがよいのか?

編集部

腎臓病は、なぜ「早期治療」が重要なのでしょうか?

大西 剛史先生大西先生

腎臓は一度機能が低下すると、元の状態に完全に戻すことが難しい臓器だからです。しかも、腎臓病は初期段階のうちはほとんど自覚症状がなく、気づいたときにはかなり進行しているケースが少なくありません。そのため、症状が出る前の段階で異常を見つけ、進行を食い止めることが何より重要になります。早期に治療を始めれば、腎機能の低下スピードを遅らせ、透析や腎不全といった重い状態を防げる可能性が高まります。

編集部

症状がないのに治療が必要なのはなぜですか?

大西 剛史先生大西先生

腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、かなり悪くなるまで痛みや不調を感じにくい特徴があるからです。症状が出てから治療を始めると透析が必要になることもあり、できることが限られてしまうのが現実です。そのため、症状がなくても治療が必要なのです。

編集部

早期治療した場合、どんなメリットがありますか?

大西 剛史先生大西先生

まずは、透析導入を回避・延期できる可能性が高まります。また、腎臓病は心臓病や脳卒中とも深く関係しているため、全身の健康リスクを下げる効果もあります。日常生活を大きく制限される前に対策を始めることで、仕事や家庭生活を続けながら治療ができる点も大きなメリットといえます。

編集部

早くから治療を始めることで、たくさんのメリットがあるのですね。

大西 剛史先生大西先生

はい。近年は新しい薬剤も登場し、過去には治せなかった病気も治療ができるようになりました。薬剤の効果を最大化するためにも、定期的に健康診断や血液検査、尿検査を受けて、早期発見に努めてほしいと思います。

気をつけたい腎臓病の種類

気をつけたい腎臓病にはどのようなものがある?

編集部

腎臓病にはいくつか種類があるのでしょうか?

大西 剛史先生大西先生

さまざまな種類があります。特に患者数が多いのが慢性腎臓病(CKD)です。CKDは、腎機能の低下や尿異常が3カ月以上続く状態を指し、糖尿病性腎症、高血圧による腎障害、慢性糸球体腎炎などが原因で起こります。進行すると透析が必要になるため、早い段階での発見と管理が重要です。

編集部

生活習慣病と関係の深い腎臓病はありますか?

大西 剛史先生大西先生

特に注意が必要なのが、糖尿病性腎症と高血圧性腎障害です。糖尿病や高血圧が長く続くと、腎臓の細い血管が傷つき、徐々に機能が低下します。これらは生活習慣の影響を強く受けるため、血糖・血圧の管理や食事、運動習慣の見直しが治療の中心になります。腎臓が悪い人は、一般の人に比べて血糖や血圧の管理を厳格におこなう必要があります。

編集部

若い人でも腎臓病になることはありますか?

大西 剛史先生大西先生

あります。慢性糸球体腎炎や遺伝性の腎疾患は、世代を問わず発症する可能性があります。特に若い世代の場合、「自分はまだ若いから大丈夫」という過信から体調の変化を軽視し、結果として病気の発見を遅らせてしまうケースが少なくありません。特に、たばこを吸う人は要注意ですね。年齢に関わらず、尿検査でタンパクや血尿を指摘された場合は、早急に精密検査を受けるようにしてください。

編集部

一度異常が出たら、ずっと通院が必要ですか?

大西 剛史先生大西先生

個人差はありますが、腎臓の病気は多くの場合、定期的なフォローが必要になります。ただし、「一生、重い治療を続けなければならない」というわけではありません。初期の段階であれば、生活習慣の改善と経過観察だけで安定する人も少なくありません。

編集部

「一度腎臓病になったら、ずっと治療が必要」というわけではないのですね。

大西 剛史先生大西先生

そうですね。ただし、症状が軽く見えても、腎機能が徐々に悪化していく人がいるのも事実です。大切なのは自己判断で通院をやめないこと。腎臓病は短期間で治す病気ではなく、長く付き合いながら無理のない形で管理していく症状と考えてください。定期的な通院を続けることが、早期発見と悪化の予防につながります。

こんな症状が表れたら受診を!

こんな症状が表れたら受診を!

編集部

腎臓病で最初に気づきやすい症状はありますか?

大西 剛史先生大西先生

先ほど話した通り、腎臓病の初期には目立った症状がほとんどないため、健診での尿検査や血液検査が最初のサインになることが多いです。健診でタンパク尿や血尿を指摘された場合は、自覚症状がなくても受診をおすすめします。

編集部

病気が進行すると、どんな症状が出てきますか?

大西 剛史先生大西先生

腎機能が低下してくると足や顔のむくみ、疲れやすさ、だるさ、夜間にトイレが近くなる、血圧が高くなるなどの症状が表れます。さらに進行すると食欲不振、息切れや吐き気、貧血症状が出ることもあります。これらは体が発する重要なサインで、放置すると一気に状態が悪化する可能性があります。

編集部

健診で「経過観察」と言われた場合は、何をすればいいですか?

大西 剛史先生大西先生

「経過観察」は「問題ない」という意味ではありません。腎臓病は、経過をきちんと追うことで早期介入ができる病気です。医師の指示通りに再検査を受け、数値の変化を確認することが重要です。

編集部

検査では、どのような項目に注意すればよいでしょうか?

大西 剛史先生大西先生

次のような数値が出た場合は、腎機能低下のサインとなることもあるため、早めの受診をおすすめします。

・クレアチニン:男性:1.10mg/dL以上、女性:0.80mg/dL以上
・eGFR(推算糸球体ろ過量):60mL/分/1.73㎡未満
・尿タンパク:プラス

自覚症状がなくても、数値の変化が見られた場合は自己判断せず、医師に相談することが大切です。

編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

大西 剛史先生大西先生

腎臓病のリスクを高める要因として血圧が高い、糖尿病がある、喫煙習慣がある、肥満、コレステロール値が高いといった点が挙げられます。該当する人は、早めの検査が大切です。健診で異常を指摘された場合は自己判断で放置せず、必要に応じて専門性の高い医療機関の診察を受けるようにしてください。この行動が腎機能を守る鍵になります。腎臓専門医が身近にいなければ、まずはかかりつけ医に相談することから始めましょう。

編集部まとめ

「専門医に行くほどではないかも」と迷う場合でも、気になることがあれば早めに腎臓の専門医へ相談しましょう。専門医が身近にいない場合は、まずはかかりつけ医に相談し、必要に応じて紹介状を書いてもらうとよいでしょう。

医院情報

春日部大西毎日腎クリニック
所在地 埼玉県春日部市緑町4丁目14-18
診療科目 内科、小児科、皮膚科
診療時間 午前: 月〜日 9:00〜12:30
午後: 月〜日 14:00~17:30
休診日 なし

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