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腎臓病を食事で予防しよう! 大切なことは「塩分」と「摂取カロリー」のコントロール

 更新日:2023/03/27
腎臓病を食事で予防しよう! 大切なことは「塩分」と「摂取カロリー」のコントロール

腎臓は尿をつくる臓器です。尿を排出できないと、体内に余計な水分や毒素がたまってしまいます。血液透析に至らないためには、日頃からの工夫が求められるでしょう。そこで、食生活という観点から見た正しい腎臓病の予防法を「赤羽もり内科・腎臓内科」の森先生に教えていただきました。

森 維久郎医師

監修医師
森 維久郎(赤羽もり内科・腎臓内科 院長)

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三重大学医学部医学科卒業。主に救急医療や腎臓内科の診療を積んだ後の2020年、東京都北区に「赤羽もり内科・腎臓内科」を開院。生活習慣病に注力した看護師、管理栄養士、理学療法士とのチームワークで地域医療に貢献している。日本腎臓学会、日本透析医学会、日本腎臓リハビリテーション学会、日本禁煙学会、日本内科学会、日本糖尿病協会、日本腎臓病協会の各会員。

腎臓を守るために大切なこと

腎臓を守るために大切なこと

編集部編集部

肝臓はお酒ですが、腎臓を守るとしたら何が重要なのですか?

森 維久郎医師森先生

「〇〇を食べたら腎臓が悪くなる」とか「〇〇を食べたら腎臓が良くなる」という話ではなく、一番大切なのは血圧や血糖値に注意することです。高い血圧や血糖値は、腎臓に負担をかけて腎機能を低下させます。血圧をコントロールするために「塩分のとりすぎ」には注意が必要で、血糖値が高く肥満がある場合は「適正なカロリー摂取」が必要になります。

編集部編集部

塩分摂取量の目安って、色々なサイトに掲載されていますよね?

森 維久郎医師森先生

そうかもしれませんね。ちなみに、厚生労働省が推奨する1日の塩分摂取量は「男性で7.5g、女性で6.5g」です。一方、日本人の平均的な塩分摂取量は1日約10gとされていますから、「日頃の食事での工夫」が求められるでしょう。(※)

※e-ヘルスネット「栄養・食生活と高血圧」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-002.html

編集部編集部

とはいえ、パッケージなどで塩分量を確認するって、素人には困難という気がします。

森 維久郎医師森先生

腎臓病の治療に求められる「1日の塩分量6g以下」を達成できている人は、全腎臓病患者さんのうち“1割強”しかいらっしゃいません。ですから「味を薄くする」とは考えない方がいいかもしれませんね。コツとしては、「味はそのままで塩分を減らす」ことでしょうか。

編集部編集部

お酢の代用などは、よく耳にします。

森 維久郎医師森先生

そうですね。しょっぱさを酸っぱさで補うほかに、「香り」も有効です。サラダにハーブ野菜などが加わると、それだけで「味が濃くなった」ように感じます。また、香辛料を増やすのも有効な方法でしょう。ほかにも、汁物の「具を多くする」と、汁による塩分が少なくなるだけでなく、満足度も高まると思います。

タンパク質制限について

タンパク質制限について

編集部編集部

続けて、塩分以外で食生活の観点があればお願いします。

森 維久郎医師森先生

腎臓病の全症例ではありませんが、タンパク質の制限を治療としておこなうことがあります。その理由は、タンパク質を過剰にとることで、腎臓に負担をかけるからです。その一方で、「腎臓病の人はそうでない人と比較して、身体機能が7割程度になっている」と言われています。筋肉のもととなる栄養がタンパク質のため、制限しない方がいい患者さんも一定数いらっしゃいます。

編集部編集部

高齢になったら、「タンパク質を意識してとれ」とも言われています。

森 維久郎医師森先生

はい。高齢の腎臓病の患者さんでは「腎機能低下のリスク」と「筋力低下のリスク」を天秤にかけて治療法を組み立てる必要があります。腎機能にまだ余力がある場合や筋力低下がある場合は、タンパク質の制限をしない方がいいこともあります。仮にタンパクの制限をおこなう場合は、ほかの栄養素でしっかりとカロリーを補うなどの注意が必要です。

編集部編集部

今回は、まだ腎臓病になっていない「健常な人」想定ですよね?

森 維久郎医師森先生

健常な人では、腎臓病の治療として有名なタンパク質やカリウムの制限の優先度は高くありません。シンプルにバランスのとれた食事を心掛けるとよいでしょう。個人的には食事よりも運動が大切だと思っています。

水分制限について

水分制限について

編集部編集部

腎臓は尿をつくる臓器ですよね。水分摂取量は関係してくるのでしょうか?

森 維久郎医師森先生

健常な人であれば、普通に水分をとっていただいても構いません。その一方で腎機能低下した結果、腎臓でうまく尿をつくれない人は体内に水分がたまっていき、心臓などに負担がかかるため、水分の制限が必要になります。

編集部編集部

腎臓の疾患なのに、心臓にも影響が出るのですね?

森 維久郎医師森先生

はい。腎臓は尿として老廃物を体の外に出すだけでなく、体のミネラルやホルモンの調整など、様々な役割を担っています。そのため、腎機能が低下すると全身に様々な障害が起きるのです。例えば、心臓に負担がかかったり、筋肉が衰えやすくなったりするため、心不全や寝たきりになりやすいと言われています。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

森 維久郎医師森先生

健常な人における腎臓のケアとしては、高血圧と糖尿病を防ぐことが大切です。生活習慣については、シンプルにバランスのいい食事と定期的な運動がカギとなります。ただし、自分の腎臓の状態や血液検査のデータに基づいてやるべきことが異なるので、自己判断でタンパク質の制限などはしない方がいいと思います。

編集部まとめ

どうやら、「腎臓病になった人が注意すること」と「腎臓病を予防するために必要なこと」を混同していたようです。タンパク質と水分の摂取制限は、「腎臓病になった人が注意すること」でした。食生活で「腎臓病を予防するために必要なこと」があるとすれば、栄養バランスに尽きます。塩分の過剰摂取を控えることも、栄養バランスに含まれるのではないでしょうか。

医院情報

赤羽もり内科・腎臓内科

赤羽もり内科・腎臓内科
所在地 〒115-0045 東京都北区赤羽2-4-5
アクセス JR「赤羽駅」 徒歩4分
診療科目 腎臓内科、糖尿病内科

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