なぜニキビは同じ場所に何度もできるのかご存じですか? 理由を医師が解説
繰り返しできるニキビに悩まされている人も多いと思います。特に、同じ場所に繰り返しできるニキビにどう対処していいか困っている人も多いのでは? なぜ、同じ場所に何度もニキビができるのか、そのメカニズムについて武蔵小杉皮ふ科の佐々木先生に教えてもらいました。
監修医師:
佐々木 美紀(武蔵小杉皮ふ科)
なぜ、ニキビができるのか?
編集部
そもそもなぜ、ニキビができるのですか?
佐々木先生
ニキビは毛穴に皮脂がたまることから始まる、毛穴にできる病気です。その状態を「白ニキビ」といい、目に見えない毛穴のつまりとして、一見正常に見える皮膚にもたくさん存在しています。その皮脂を栄養にして、毛穴の中でアクネ菌が異常に増殖すると炎症が起こります。これが「赤ニキビ」です。更に周りにまで 炎症が広がると黄色い膿を持つようになり、いわゆる「黄ニキビ」となります。
編集部
なぜ、皮脂が毛穴につまるのですか?
佐々木先生
原因としては皮脂の過剰分泌や毛包の過剰角化が考えられます。正常な肌では一定の周期でターンオーバーが繰り返され、古い角質は剥がれ落ちていきます。しかし、何らかの原因によってターンオーバーが乱れると古い角質が剥がれ落ちることなく、皮膚の表面にとどまってしまい、毛穴の出口が塞がってしまうのです。ターンオーバーが乱れる原因としては、ホルモンバランスの乱れが大きく関係しています。そのほかストレス、偏った食生活、睡眠不足、疲労、便秘、運動不足などもニキビの一因となります。
編集部
ニキビと吹き出物は同じですか?
佐々木先生
思春期だと「ニキビ」、それ以降年齢が上がると「吹き出物」と表現されることもありますが、実はどちらも同じもので“毛穴の病気”です。ただし、思春期にできるニキビ(思春期ニキビ)と、大人になってからできるニキビ(大人ニキビ)では原因が異なります。思春期ニキビは成長期に皮脂の分泌が活発になることで起きますが、大人ニキビでは生活習慣やストレス、ホルモンバランスの乱れなど、さまざまな原因が併さって生じます
編集部
ニキビができる人とできない人の差はなんですか?
佐々木先生
肌のターンオーバーのサイクルが整っていて、ホルモンバランスも正常な場合にはニキビができにくくなります。また肌の水分量や皮脂のバランスが良いこと、肌のバリア機能が整っていることも、ニキビのできにくさに関係しています。反対に、食生活が乱れていたり、間違ったスキンケアをしていたり、生理不順などホルモンバランスが乱れやすかったりする人は、ニキビができやすくなります。
なぜ、ニキビは同じ場所に何度もできるのか?
編集部
ニキビはどこにできることが多いのですか?
佐々木先生
思春期ニキビは皮脂の分泌が活発な場所に出やすいとされています。額や眉間、鼻などのTゾーンと言われる部分は思春期ニキビの好発部位です。一方、大人ニキビの場合は口周りやフェイスラインなど、皮脂の分泌量が少なくて乾燥が激しいUゾーンと言われる部分にできやすくなります。
編集部
大人ニキビの場合は、乾燥が進んだ部位に出やすくなるのですね。
佐々木先生
はい、乾燥することでターンオーバーが乱れたり、バリア機能が低下したり、皮膚が硬くなることで毛穴が閉じてしまったりすることがあり、それらが原因で大人ニキビが発生します。大人ニキビは顔だけでなく胸や背中など体にも出やすくなります。
編集部
ニキビは同じ場所に繰り返しできることが多いのですが、なぜですか?
佐々木先生
まずは毛穴が常につまりやすくなっているということが挙げられます。肌を清潔にしているつもりでも、毛穴の奥にアクネ菌が残っていて炎症が起こりやすくなっていることも原因の一つです。
編集部
アクネ菌とはなんですか?
佐々木先生
もともとは肌の毛穴にいる常在菌の一種で、脂質を大変好みます。そのため皮脂の分泌が盛んな部位に多く存在しています。さらに酸素のないところを好む性質のため、 出口が塞がった毛穴の中はアクネ菌が異常に増殖しやすいといった特徴もあります。
ニキビが繰り返しできるときには、どうしたら良いのか?
編集部
何度もニキビができる場合は、どうしたら良いのでしょうか?
佐々木先生
通常のニキビであれば局所用外用剤を使用します。炎症を繰り返す難治性のニキビも多いので、最近ではピーリング効果があり、毛穴のつまりを取る作用のある薬を使用します。これらの外用剤は抗菌効果やニキビを乾燥させる効果もあります。いずれの薬剤も継続して使用することが大切です。
編集部
市販の治療薬でセルフケアしても良いのでしょうか?
佐々木先生
ニキビの重症度や頻度にもよりますが、同じ部位に何度も繰り返しニキビができる場合には、専門医による治療を受けた方がニキビを改善するための近道になります。誤ったセルフケアを行うと炎症が治らないことで痕が残ってしまうこともあります。
編集部
ニキビができないように日常生活で気を付けることはありますか?
佐々木先生
規則正しい生活と、バランスのよい食事を心がけましょう。ストレスをためないことも大切ですが、現代社会ではなかなか難しいことだと思います。誤ったスキンケアやメイクもニキビの原因になったり、悪化させたりする要因になります。化粧の際、ニキビを隠すために コンシーラーやオイリーなリキッドタイプのファンデーションを使用することは避け、乾燥が気になる場合には 保湿剤(オイリーでないもの)を使用するようにしましょう。また赤みや茶色みといった痕を残さないために、ビタミンCなど肌の修復に有効な成分の経口摂取やケア製品を使用することもおすすめです。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
佐々木先生
ニキビは「思春期ニキビ」「大人ニキビ」があるように、誰しもが生涯に一度は罹かる毛穴にできる病気です。 原因は主に、皮脂分泌の増加・毛穴のつまり・ アクネ菌の増殖ですが、今は効果的な治療薬があり、治療を続けることでニキビのないきれいな肌を目指すことができます。治らないからと諦めずに、まずはクリニックを受診してみてください。正しい洗顔やスキンケアのアドバイスも受けられます。一緒にニキビのない素肌を取り戻しましょう。
編集部まとめ
ニキビができると気分が落ち込んだり、人と会うのが億劫になったり、気持ちや行動にも影響します。ニキビは正しいケアと治療で改善が期待できますから、肌トラブルに悩んでいる人は一度、皮膚科に相談してみてはどうでしょうか。
医院情報
所在地 | 〒211-0004 神奈川県川崎市中原区新丸子東3-1302 ららテラス武蔵小杉4Fクリニックモール |
アクセス | 東急東横線・目黒線「武蔵小杉」駅より徒歩1分 |
診療科目 | 皮膚科 |