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「ニキビには漢方薬が効果的」の噂を皮膚科医に直撃。根本原因に働きかけられるのが特徴

 更新日:2023/03/27
「ニキビには漢方薬が効果的」の噂を皮膚科医に直撃。根本原因に働きかけられるのが特徴

ニキビ治療には、さまざまな方法があります。ドラッグストアなどで市販されている薬を使ったり、皮膚科に通院したり、なかには漢方薬を使用しているという人もいます。「慢性化しやすいニキビには漢方薬が効果的」という話もあります。漢方薬の場合、生理前にニキビができやすい人向けなど、一人ひとりに適したものが処方されるそうです。そんな漢方でのニキビ治療について、あさかリードタウン皮フ科院長の小川智広先生に詳しく話を聞きました。

小川先生

監修医師
小川 智広(あさかリードタウン皮フ科院長)

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2011年、東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属青戸病院(現・東京慈恵会医科大学葛飾医療センター)、自治医科大学附属病院皮膚科などを経て、2020年12月あさかリードタウン皮フ科開設。これまで慈恵医大のいぼ外来、レーザー外来、光線治療専門外来、自治医大の脱毛症外来、腫瘍外来など数多くの専門外来に従事。それらの経験を生かし、手術・処置・レーザー治療も含め、クリニックで提供可能な医療に尽力。年齢問わず気軽に受診できる地域の「かかりつけ医」として親しまれている。

ニキビができる原因とは?

ニキビができる原因とは?

編集部編集部

まずは、ニキビができる原因を教えてください。

小川先生小川先生

原因として挙げられるのが、皮脂の分泌が盛んになっているということです。思春期になると、男性ホルモンの分泌が盛んになります。すると毛穴の奥の皮脂腺から皮脂の分泌が活発になります。

編集部編集部

皮脂の分泌が盛んになると、なぜ、ニキビになるのですか?

小川先生小川先生

皮脂を栄養にしているアクネ菌が増えるからです。アクネ菌は通常、誰もが皮膚に持っている常在菌です。しかし皮脂の分泌が盛んになると、毛穴が皮脂で詰まりやすくなり、そうなると、皮脂を栄養にしているアクネ菌が増えます。すると、増殖したアクネ菌が炎症を起こします。これがニキビの原因です。

編集部編集部

皮脂の分泌が盛んになるのは、思春期だけですか?

小川先生小川先生

いいえ、ストレスが強い人、脂っこい食事や甘いものを習慣的に摂っている人も、皮脂の分泌が盛んになることもあります。

編集部編集部

普段の食生活も、ニキビの原因になるのですね。

小川先生小川先生

また、マスクや髪の毛など外部からの刺激も、ニキビの原因になります。特にコロナ禍では、日常的にマスクをつけていますから、マスクが皮膚に与える刺激でニキビができたという人も少なくありません。

編集部編集部

いろいろな要因がニキビを作るのですね。

小川先生小川先生

そもそも皮膚はターンオーバーといって、約28日のサイクルで古い角質がはがれ落ち、新しい細胞に生まれ変わっています。しかしターンオーバーがうまくいかなくなると、毛穴の出口が塞がれてしまい、皮脂が詰まってしまいます。これもまた、アクネ菌の増殖を招き、ニキビを増やす原因となってしまいます。

ニキビのタイプ別に治療を行う

ニキビのタイプ別に治療を行う

編集部編集部

ニキビができたら、どのように対処すればいいのでしょうか?

小川先生小川先生

市販薬でケアする方も多いと思いますが、ニキビは繰り返すことが多く、最初の対応を間違えると跡が残ってしまうこともあります。できるだけ早めに皮膚科の診察を受けることをお勧めします。

編集部編集部

早い方が治療も簡単なもので済むのでしょうか?

小川先生小川先生

そうです。そもそもニキビには「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」があります。白ニキビはニキビの初期段階で、毛穴に皮脂が詰まっている状態。それが進行すると「黒ニキビ」になり、皮脂が盛り上がって患部の毛穴が開いた状態になります。「赤ニキビ」はさらに悪化し、患部で炎症が起きている状態。病院ではそれぞれに適した治療を行うので、治りが早く、跡もきれいになります。

編集部編集部

ニキビを繰り返す人もいますよね。そういう場合、治療を続ければできにくくなるのでしょうか?

小川先生小川先生

皮膚科では、ニキビができる前の状態、つまり毛穴に皮脂が詰まっている状態から対処することができます。すなわち、白ニキビの前段階から処置ができるということです。ニキビができやすいという人は、定期的に皮膚科へ通院することで、次第にニキビができにくい肌へ変わっていくでしょう。

編集部編集部

病院ではどのような治療が行われるのでしょうか?

小川先生小川先生

塗り薬や飲み薬を処方します。塗り薬では、ニキビの原因となる菌を殺菌して毛穴のつまりを改善したり、ニキビの原因となる菌が増殖するのを抑えたりします。

編集部編集部

薬による治療は、どれくらい効果がありますか?

小川先生小川先生

ひとまず1〜3カ月程度使ってみて、効果を診断します。もしそれでも効果が見られない場合は、ホルモン療法や漢方など、別の方法を試すこともあります。なかには始めから、塗薬や飲み薬とあわせ、漢方を併用する人もいます。

編集部編集部

漢方でニキビを治療するという話をよく聞きます。主に、どういった人が対象になるのですか?

小川先生小川先生

ホルモンバランスの影響を受けやすい人、特に生理の前になるとニキビができるという人には、漢方が向いています。また、これまでよくなったり、悪くなったりを繰り返している人にも、漢方を処方することがあります。もちろん、漢方の治療を行いたいという希望がある場合にも処方します。

編集部編集部

漢方薬の効果はどれくらいあるのですか?

小川先生小川先生

漢方はさまざまな成分を複合的に組み合わせて処方するため、一人ひとりの症状に合わせやすいという特徴があります。また、ニキビそのものができないような体質へ導きやすくなり、またニキビができない状態を維持しやすくなります。

漢方薬を使ったニキビ治療の特徴

漢方薬を使ったニキビ治療の特徴

編集部編集部

漢方薬によるニキビ治療にはどのような特徴がありますか?

小川先生小川先生

考え方として、西洋医学では「ニキビ」という症状に焦点を当てますが、漢方薬を使う場合はその人の体全体を見て、悪いところを治療します。漢方薬の特徴は、ニキビができる根本的な原因を追求し、それを改善すること。継続して使用することで、ホルモンバランスを整える手伝いをします。

編集部編集部

漢方薬によるニキビ治療はどのように進められるのですか?

小川先生小川先生

「白ニキビ」「黒ニキビ」「赤ニキビ」の違いを見極めながら、一人ひとりに適した薬を処方します。その際には、ニキビの成長度合いや炎症の具合、これまでの経過なども考慮します。

編集部編集部

たとえばどのような薬が用いられるのですか?

小川先生小川先生

皮膚の赤みや痒みを発散し、赤くて炎症性があるニキビには「清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)」を、また、生理前にニキビができやすいなどホルモンバランスの影響を受けるタイプのニキビには「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」を使うことが多いですね。そのほか、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」も、生理の波の影響を受けやすい人に適しています。

編集部編集部

漢方薬による治療の注意点を教えてください。

小川先生小川先生

漢方薬の治療は、ニキビを改善するだけでなく、ニキビができにくい体へ体質を整えていくことを目的としています。そのため長期的に飲み続けることが大切。漢方薬を飲み続けることで、ニキビができにくい健康的な肌を手に入れられるだけでなく、全体的に体調がよくなり、自然と気分も明るくなるはず。ぜひ、根気強く治療を続けましょう。

編集部編集部

最後にメッセージをお願いします。

小川先生小川先生

漢方薬によるニキビ治療は、医療保険が適用になります。漢方薬を試してみたいと思ったら、ぜひ掛かりつけの医師に相談してみましょう。一部の漢方薬は市販されていますが、自分のニキビに適した漢方薬を選ぶのは困難です。ぜひ、医師に見立ててもらうことをお勧めします。また、漢方薬の治療は普段から行っている塗り薬や飲み薬などの治療と併用して行うのが一般的です。漢方薬だけに頼るのではなく、それ以外の治療もきちんと続けましょう。

編集部まとめ

正しく治療を行わないと、慢性化したり、跡が残ったりすることもあるニキビ。大切なのは、一人一人の症状に適した治療を行うこと。自己判断で薬を使用するのではなく、きちんと専門医の診断を受け、正しい治療を行いましょう。

医院情報

あさかリードタウン皮フ科

あさかリードタウン皮フ科
所在地 〒351-0005 埼玉県朝霞市根岸台3-20-1 カインズ朝霞店2階
アクセス 朝霞駅東口から<朝02><朝50><志木23>乗車、「宮台」バス停下車し徒歩

診療科目 一般皮膚科、小児皮膚科、美容皮膚科、アレルギー科

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