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「顔面神経麻痺」が疑われるときは何科を受診すればいいのかご存知ですか?【医師監修】

 公開日:2025/01/31
顔に異変!顔面神経麻痺が疑われるときは何科を受診すればいい?

突然顔が動かしにくくなった」「笑顔がぎこちない」など、顔に異変を感じたら顔面神経麻痺の可能性が考えられます。顔面神経麻痺は、顔の筋肉を司る神経が障害されることで発症する症状で、放置すると回復が遅れる可能性があります。この記事では、顔面神経麻痺の基本情報、受診すべき診療科、そして治療や予防について、園ペインクリニック松本先生の見解を交えながら解説します。

松本 園子

監修医師
松本 園子(園ペインクリニック)

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2005年、大学卒業後、医師免許を取得。順天堂大学の光畑裕正元教授に師事し、痛み治療の専門的な知識と技術を学ぶ。昭和大学横浜市北部病院やがん研有明病院でも研鑽を積む。2022年、生まれ育った亀戸に「園ペインクリニック」を開院し、院長就任。医学博士、日本麻酔科学会専門医・指導医、日本ペインクリニック学会ペインクリニック専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本緩和医療学会緩和医療認定医。Instagram

顔面神経麻痺とは?

顔面神経麻痺とは?

編集部編集部

はじめに、顔面神経麻痺とはどのような病気か教えてください。

松本園子先生松本先生

顔面神経麻痺とは、顔面神経が何らかの理由で障害を受け、顔の筋肉が動かしにくくなる病気です。顔面神経は表情筋をコントロールする重要な役割を持っており、この神経が正常に機能しないと顔の片側に麻痺が生じます。その結果、目が閉じにくくなる、口が歪む、笑顔がぎこちなくなるといった特徴的な症状が現れます。特に片側にだけ症状が出ることが多く、左右で顔の動きに差が出ることもあります。

編集部編集部

原因にはどのようなものがありますか?

松本園子先生松本先生

顔面神経麻痺の原因はさまざまです。代表的なものとしては、ウイルス感染(帯状疱疹ウイルスなど)脳や顔の腫瘍、そして原因が特定できない特発性のものなどがあります。特に「ベル麻痺」と呼ばれる特発性の麻痺が多い印象です。腫瘍が原因の場合は、脳外科での精密検査や治療が必要になることが一般的です。帯状疱疹による顔面神経麻痺の場合、ウイルスによる炎症が顔面神経にダメージを与え、激しい痛みや発疹を伴うことがあります。

編集部編集部

どのような症状があると顔面神経麻痺を疑うべきでしょうか?

松本園子先生松本先生

目をしっかり閉じることができない、口から食べ物や飲み物がこぼれる、笑顔を作ろうとしてもおでこのシワを寄せられないなどの症状が見られます。また、顔の左右の動きに違いが出ることも特徴です。発症は40〜50代に多いですが、ストレスや疲労が原因で若年層にも起こる可能性があります。

顔面神経麻痺は何科を受診すべき?

顔面神経麻痺は何科を受診すべき?

編集部編集部

症状はどのように進行しますか?

松本園子先生松本先生

急激に症状が現れるケースが多いですね。例えば朝起きた時に顔が動かない、笑顔を作ろうとしても片側だけ動かないなど、突然気づく場合が一般的です。初期治療として耳鼻科や脳神経内科を受診し、ステロイド療法を行う場合が多いです。症状の進行は早い一方、治療を受けることで数日から数週間で改善することが期待できます。ただし、適切な治療を受けないと症状が固定化する恐れがあるため注意が必要です。

編集部編集部

症状が現れた場合、どの診療科を受診すべきですか?

松本園子先生松本先生

初期症状の場合は、耳鼻科や脳神経内科を受診するのが一般的です。耳鼻科では顔面神経の機能を確認するための検査や、重症度に応じた治療が行われます。脳神経内科では、腫瘍や脳血管の問題を排除するためにMRI検査を行うことがあります。また、特定の治療法(例えば神経ブロック治療)が必要な場合、ペインクリニックの利用を検討することもあります。

編集部編集部

症状を放置するとリスクはありますか?

松本園子先生松本先生

放置すると症状が長引く可能性があり、稀に後遺症が残る場合もあります。特に発症直後の24時間以内に治療を開始することで、回復が早まり、後遺症を防ぐことができます。一方、治療が遅れると麻痺が固定化し、顔の表情が完全には元に戻らない可能性があるため、早めの受診をお勧めします。

顔面神経麻痺の治療と予防について知る

顔面神経麻痺の治療と予防について知る

編集部編集部

顔面神経麻痺の診断のためにどのような検査が行われますか?

松本園子先生松本先生

問診では、いつから症状が現れたのか、症状の程度、伴う痛みなどを確認します。さらに、視診や触診で顔面神経の動きを確認します。必要に応じてMRIやCT検査を実施し、腫瘍や血管異常、帯状疱疹ウイルス感染の可能性を調べます。これにより、正確な診断が可能となります。

編集部編集部

顔面神経麻痺の治療にはどのような方法がありますか?

松本園子先生松本先生

ステロイド療法が第一選択とされており、これに抗ウイルス薬を併用する場合もあります。また、ペインクリニックでは、神経ブロック療法という血流改善を促す治療が行われることがあります。血流が改善することで炎症が軽減し、神経の回復を促す効果が期待できます。特に症状が重い場合には、早期にこうした治療を行うことが重要です。

編集部編集部

予防のためにできることはありますか?

松本園子先生松本先生

直接的な予防法は難しいですが、免疫力を高める生活習慣が有効です。具体的には、十分な睡眠栄養バランスの取れた食事適度な運動を心がけることが重要です。また、ストレスを減らすことも予防に繋がります。特に冬場は帯状疱疹ウイルスが活性化しやすいため、健康管理に注意しましょう。

編集部まとめ

顔面神経麻痺は突然現れることが多く、放置することで治療が長引く場合もあるようです。専門的な治療を受けることで症状が改善する可能性が高まります。本記事を通じて、早期診断と適切な受診の重要性が伝われば幸いです。健康への第一歩として、疑わしい症状があれば専門医に相談しましょう。

医院情報

園ペインクリニック

園ペインクリニック
所在地 〒136-0071 東京都江東区亀戸7-64-3
アクセス JR総武本線「亀戸」駅より徒歩14分
東武亀戸線「亀戸」駅より徒歩14分
診療科目 ペインクリニック科・漢方内科・麻酔科

この記事の監修医師

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