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【看護師監修】「女性のほうが痔になりやすい」理由を知っていますか? 主な痔の原因は何?

 公開日:2023/12/18
【看護師監修】女性の痔の悩み…なぜ女性の方がなりやすい?

肛門付近のトラブルのひとつである痔は、男性より女性のほうがなりやすいことをご存知でしょうか? 痔になると、痛みや出血、かゆみなどの不快な症状に悩まされるだけでなく、肛門の見た目にコンプレックスを感じる方もいらっしゃいます。また、女性の場合、恥ずかしくてなかなか病院に行けない……ということもあるかもしれませんが、放っておくと悪化する可能性がありますので、早めの受診が大切です。そこで、なぜ女性の方が痔になりやすいのか、看護師の三木さんに解説してもらいました。

三木昭和

監修看護師
三木昭和(看護師)

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看護師として約20年勤務。多様な科や部署で経験し、中間管理職として救急対応BLSの資格取得や医療安全管理者、感染対策などの重要な役割を担う。コロナ初年度は責任者の一人として発熱外来やトリアージマニュアル作成の対応。学生の看護体験担当や医療安全、感染対策のマニュアル・管理指針作成、講習担当などを経験。「患者への思いやりと、現場の医療従事者への思いやりを大切に」

女性の主な痔の原因は?

女性の主な痔の原因は?

編集部編集部

女性のほうが痔になりやすい理由は何ですか?

三木昭和さん三木さん

女性は、妊娠や出産、月経、更年期などの女性特有の生理的な変化によって、痔になりやすいと言われています。ほかには、便秘も痔の原因のひとつです。女性はホルモンの影響などで男性に比べて便秘になりやすいため、注意が必要です。

編集部編集部

便秘も痔の原因になるのですか?

三木昭和さん三木さん

はい。便秘になると排便時に力んでしまい、肛門周辺の血管に圧力がかかります。これが繰り返されることで、血管が炎症を起こし、膨らんでできるのが痔です。また、硬い便によって肛門が裂けた場合、出血や痛みの症状が起こります。これは切れ痔と言って、20代女性で便秘に悩んでいる方に多い疾患です。

編集部編集部

便秘だけではなく妊娠や出産でも、切れ痔になるのですか?

三木昭和さん三木さん

妊娠や出産では切れ痔だけでなく、いぼ痔に悩まされる方も多くなります。いぼ痔は30〜40代女性に多く、妊娠・出産で悪化します。また、ずっと同じ姿勢でいることの多い仕事が、いぼ痔の主な原因です。いぼ痔は出来る場所で、内痔核と外痔核に分けられます。

編集部編集部

内痔核と外痔核の違いは何ですか?

三木昭和さん三木さん

内痔核」は、肛門の内側にある静脈が拡張することで起こり、自覚症状がないことがほとんどです。しかし、進行すると肛門からの出血や、外に飛び出る(脱肛)ことがあります。「外痔核」は、肛門の外側にある静脈が拡張することで起こり、強い痛みやかゆみを伴います。痔は、放っておくと悪化する可能性がありますので、早めに治療を受けることが大切です。

女性が痔になりやすいのはなぜ? 痔になるタイミングは?

女性が痔になりやすいのはなぜ? 痔になるタイミングは?

編集部編集部

女性が痔になりやすいのは、どのようなタイミングですか?

三木昭和さん三木さん

女性が痔になりやすいのは、女性特有の生理的な変化が起こる時期です。具体的には、妊娠・出産と月経中が痔になりやすいタイミングです。この時期には、女性ホルモンの分泌が変化し、血液の循環が悪くなります。また、子宮が膨らんで、肛門周辺の静脈に圧力がかかることも、痔の発症や悪化の原因です。

編集部編集部

妊娠中も痔になりやすいのですね。

三木昭和さん三木さん

妊娠中は、女性ホルモンが多くなって血液がドロドロになり、子宮が大きくなって肛門の血管が圧迫されます。また、赤ちゃんが腸の動きを邪魔するため、便秘になりやすいことも要因です。これらのことが肛門の血管にダメージを与えて、痔になりやすくします。

編集部編集部

出産時に、女性が痔になりやすいのも同じ理由ですか?

三木昭和さん三木さん

出産時は、赤ちゃんを産むために強くいきみ、赤ちゃんの頭が肛門を引っ張ったり押したりします。これらのことが、肛門の血管にダメージを与えてしまうのです。そのうえ出産後は、便秘になりやすくいため便が固くなって、肛門に傷がつきやすくなります。

編集部編集部

月経中にも痔になりやすいのは、なぜでしょうか?

三木昭和さん三木さん

月経中は女性ホルモンの分泌が減少して血液の循環が悪くなり、子宮も膨らんで肛門周辺の静脈に圧迫をかけます。これらのことが、痔になりやすい原因です。月経中は、便秘にもなりやすいため、注意しましょう。

編集部編集部

女性のライフステージに応じて、痔になりやすいタイミングがあるということですね。

三木昭和さん三木さん

はい、そうです。女性は、年齢や体調によって痔になりやすくなることがあります。そのため、自分の状況に合わせて、痔の予防や対策を行うことが大切です。

痔にならないために気をつけたいことは?

痔にならないために気をつけたいことは?

編集部編集部

痔にならないために、日常生活で気をつけることはありますか?

三木昭和さん三木さん

痔にならないためには、「便秘を解消すること」「肛門を清潔に保つこと」「肛門に負担をかけないこと」の3つが大切です。

編集部編集部

便秘を改善するには、どんなことに注意すればいいでしょうか?

三木昭和さん三木さん

便秘を改善するためには、食物繊維や水分を十分に摂ることです。また適度な運動をすること、トイレの時間を決めて排便のリズムを整えることなどが効果的です。過度なダイエットは避けましょう。

編集部編集部

肛門を清潔に保つためには、どんな方法がありますか?

三木昭和さん三木さん

肛門は細菌や汚れがたまりやすい部分です。そのため肛門を清潔に保つには、トイレットペーパーではなく、水で洗うことがおすすめです。入浴も肛門周囲の血流を良くし、清潔を保つのに効果があります。

編集部編集部

肛門に負担をかけないことも、痔の予防に重要ですか?

三木昭和さん三木さん

はい。肛門に負担をかけると痔ができやすくなるため注意してください。肛門に負担をかけないためには、長時間の座位や立位を避けましょう。排便時に力みすぎないことや、下剤の乱用をしないことも重要です。

編集部編集部

最後に、読者へのメッセージをお願いします。

三木昭和さん三木さん

痔は、女性にとって深刻な悩みのひとつです。しかし、痔は治療すれば改善する可能性も高くなります。痔の症状に気づいたら、恥ずかしがらずに、早めに医師に相談しましょう。女性は、自分の体やライフスタイルに合わせて、痔の対策を行うことが大切です。

編集部まとめ

女性は、妊娠・出産、月経、更年期などの生理的な変化や、便秘などの生活習慣によって痔になりやすいことがわかりました。痔を予防するためには便秘を予防して肛門の負担を避けて清潔にすることが大切です。痔の症状に気づいたら、恥ずかしがらず早めに医師へ相談しましょう。

この記事の監修看護師