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「大腸カメラ」の拡大内視鏡・超拡大内視鏡で「早期がん」診断ができる仕組み【医師解説】

 公開日:2023/08/23
【医師解説】大腸カメラの拡大内視鏡・超拡大内視鏡で早期がん診断ができる仕組み

ここ数年、大腸がんの患者数が急増しているそうです。大腸がんは早期に治療すれば、ほぼ100%治ると言われており、早期発見が重要だと言われています。そこで大腸カメラの「拡大内視鏡」「超拡大内視鏡」について、内視鏡医の工藤豊樹先生(東京内視鏡クリニック院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。

工藤 豊樹

監修医師
工藤 豊樹(東京内視鏡クリニック)

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日本医科大学を卒業後、2022年6月まで昭和大学横浜市北部病院に講師として勤務。およそ20年間にわたり全国の最先端施設で消化器内視鏡診断・治療の経験を積んでおり、特に大腸内視鏡検査においては現在まで約4万件以上の検査・治療に携わっている。2022年7月より、東京内視鏡クリニックの院長となる。

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)はどんな検査? 大腸がん・腫瘍・ポリープが早期発見できる理由を医師が解説

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)はどんな検査? 大腸がん・腫瘍・ポリープが早期発見できる理由を医師が解説

編集部編集部

大腸カメラ(大腸内視鏡検査)は、どんな検査でしょうか?

工藤 豊樹先生工藤先生

カメラを使って、視覚的に大腸の内部を観察できる検査です。肛門から直径1cm程度のスコープを挿入して、大腸の全域を診ていきます。映像は画質の良いハイビジョンモニタで見られますので、小さな粘膜の変化も確認できます。

編集部編集部

どんな病気がわかるのですか?

工藤 豊樹先生工藤先生

粘膜の色や形状などを直接観察できるので、多くの情報を得ることができ、大腸ポリープや潰瘍性大腸炎、大腸憩室症など、さまざまな病気を知ることができます。

編集部編集部

大腸がんはどうですか?

工藤 豊樹先生工藤先生

大腸がんのほとんどは、大腸ポリープが悪性化したものです。大腸ポリープは、大腸の粘膜から発生するものですが、これは大きく腫瘍性と非腫瘍性に分けられます。非腫瘍性のものががん化することはほとんどないのですが、腫瘍性のポリープのうち、悪性のものがいわゆる「がん」であり、また良性のものも、時間とともにがん化することもあります。また、ポリープからではなく、最初から「がん」として発生するケースもあります。

編集部編集部

良性や悪性かは、大腸カメラではわからないのでしょうか?

工藤 豊樹先生工藤先生

「拡大内視鏡」「超拡大内視鏡」を使うことによって、かなりの高確率で良性か悪性(がん)かを判別することができます。

従来のものより高精度な大腸カメラ「拡大内視鏡」とは?

従来のものより高精度な大腸カメラ「拡大内視鏡」とは?

編集部編集部

「拡大内視鏡検査」「超拡大内視鏡検査」について教えてください。

工藤 豊樹先生工藤先生

どちらも、従来の内視鏡よりもさらに精度の高いカメラを使った検査です。拡大内視鏡は100倍、超拡大内視鏡だと520倍に拡大することができるので、大腸内視鏡検査よりさらに正確で高精度な診断ができます。ポリープが良性か悪性かの鑑別などは拡大内視鏡や超拡大内視鏡を使うことによって、かなりの精度をもって診断できます。

編集部編集部

内視鏡検査時に分かるのはすごいですね。

工藤 豊樹先生工藤先生

最終的な診断は、ポリープを切除したあとの病理組織検査で判明しますが、拡大内視鏡や超拡大内視鏡を使えば、病理診断とほぼ同等レベルの診断精度が得られますので、ポリープなどの治療方針もその場で決定することができます。

編集部編集部

そんなに細かく見てもらえると安心です。

工藤 豊樹先生工藤先生

たしかにしっかり拡大できるので、「病変が小さくてよく見えなかった」ということはありません。ただし、これらはポリープを発見できたときの話です。皆さんにお伝えしたいのは、大腸という臓器の特性上、内視鏡検査時にはどうしてもポリープ発見における「死角」ができてしまうということです。いくら拡大しても死角に病変があると、見つけられないというケースが実は少なくないのです。

編集部編集部

もう少し詳しく教えてください。

工藤 豊樹先生工藤先生

大腸の内部は、細かなヒダがたくさんあります。さらに「蠕(ぜん)動運動」といって、大腸全体がウネウネと動いているため、どうしても「死角」ができてしまうのです。ですから、拡大内視鏡や超拡大内視鏡は、ポリープを「発見」するための道具ではなく「診断」するための道具と言えると思います。そのため大腸ポリープを見逃さないために、普段から当院では「今、検査で異常なしであっても、大腸内視鏡検査は定期的に受けましょう」と言っています。

細胞レベルまで観察できる拡大内視鏡・超拡大内視鏡の検査費用は保険適用される?

細胞レベルまで観察できる拡大内視鏡・超拡大内視鏡の検査費用は保険適用される?

編集部編集部

大腸内視鏡検査は保険適用されるのでしょうか?

工藤 豊樹先生工藤先生

保険は適用されます。なんとなく「症状はないけど検査してほしい」場合には保険が適用されないイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、大腸内視鏡検査は症状のない方にもスクリーニング目的の検査として保険が使えます。内部を観察する検査のみの費用だと、1割負担の方で約2000〜3000円、3割負担の方ですと約7000円です。このほかに診察代、採血代などがかかります。

編集部編集部

検査の際、入院の必要はありますか?

工藤 豊樹先生工藤先生

入院の必要はありません。検査終了後は、60~90分程度お休みいただき、検査担当医より検査後の結果説明を行った後、ご自身で帰宅することができます。鎮静剤・鎮痛剤を使用しますので、車の運転は控えていただいています。

編集部編集部

それでしたら、忙しい方でも受けやすいですね。

工藤 豊樹先生工藤先生

そうですね。そこにプラス10分くらいで胃カメラの検査も受けることができます。大腸内視鏡検査は検査前の処置として、お腹を空っぽにしなければならないので「せっかくお腹を空にしたので上下部セットで胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)も受けておこう」というのは非常に効率的で、実はお勧めです。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

工藤 豊樹先生工藤先生

繰り返しになりますが、拡大内視鏡・超拡大内視鏡は小さな病変を拡大し、その場で病理検査と同等程度の診断が得られる非常に優れた検査機器ですが、それでも全ての病変を必ず見つけられるわけではありません。一度の検査で「異常なし」という結果だったとしても、ぜひ毎年検査していただけたらと思います。また、拡大内視鏡・超拡大内視鏡を使っている医療機関はまだ少ないと思いますので、希望する方はHPなどで事前に調べたり、電話で問い合わせたりして確認してから受診するようにしましょう。

編集部まとめ

従来のカメラの100倍、520倍というのは、病理診断とほぼ同等レベルの診断精度なのだそうです。さらに保険が適用されることや、胃カメラと同時に受けられることなど、大変勉強になりました。

医院情報

東京内視鏡クリニック

東京内視鏡クリニック
所在地 〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-10-1 O-GUARD新宿4F
アクセス JR、京王線、小田急線「新宿」駅西口改札より徒歩5分
西武新宿線「西武新宿」駅西新宿方面より徒歩3分
東京メトロ丸の内線「新宿」駅地下通路D4、D5出口より徒歩1分
都営大江戸線「新宿西口」駅地下通路D4、D5出口より徒歩1分
診療科目 消化器内科

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