「無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)」は誰でも受けられる? 何歳から受けるべき?
新しい乳がん検査「無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)」。従来のマンモグラフィのように痛みがほぼなく、負荷が少ないということで注目を集めています。はたして、この検診は誰でも受けられるのでしょうか? また何歳から受けるべきでしょうか? Seeds Clinic 新宿三丁目院長の石田先生に話を聞きました。
監修医師:
石田 二郎(Seeds Clinic 新宿三丁目)
目次 -INDEX-
乳がんの新しい検診「無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)」とは?
編集部
乳がんを見つける新しい検診「無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス・サーチ)」とはどんな検査ですか?
石田先生
簡単にいえば、非常に高性能のMRIを活用した乳がん検診です。ドゥイブス法とは、通常MRIで撮影する「拡散強調画像(DWI)」を改良したもの。従来のマンモグラフィと違って「痛くない」「乳房を人に見られない」「被曝のリスクがない」などの特徴があります。
編集部
具体的にどうやって検査を受けるのですか?
石田先生
通常のMRI検査のように、専用ベッドの上にうつ伏せで寝ていただきます。そのベッドごと、超伝導磁石が埋め込まれたトンネルの中に入り、体の断面図をさまざまな方向から撮影します。検査時間は15分弱です。
編集部
乳がんの検査というと、胸を圧迫されて痛いというイメージがあります。
石田先生
無痛MRI乳がん検診はマンモグラフィのように胸を強く圧迫しないので、痛みを感じることがありません。実際、当院で無痛MRI乳がん検診を受けた方は、「痛みがなくてよかった」と満足されています。ぜひ、安心して受けてほしいですね。
無痛MRI乳がん検診(ドゥイブス法)のメリットとデメリット
編集部
無痛MRI乳がん検診のメリットを教えてください。
石田先生
まずは痛みがないということ。それから通常の乳がん検診と違って、検査着やTシャツを着たまま検査を受けられるということ。「人前で胸を出すのは恥ずかしい」という方でも安心して受けられます。
編集部
ほかにはありますか?
石田先生
放射線被曝がゼロということもメリットです。また断面図を撮影する際に死角が少ないため、がん発見の精度が高いというのもメリットと言えるでしょう。それから乳腺の影響を受けにくいため、日本人に多い高濃度乳房でも問題なく検査を受けることができるというのも特徴です。日本人に非常に適した検査法と言えるでしょう。
編集部
反対にデメリットはなんですか?
石田先生
無痛MRI乳がん検診に限らず、MRI検査では強力な磁気を使うため、ペースメーカーを使用している人や乳房に近いところに金属を埋め込んでいる人は受けることができません。また、狭いトンネルをベッドが通過していくので、狭いところが苦手という方は難しいかもしれません。
編集部
MRI検査というと、音がうるさいというイメージもあります。
石田先生
音については、多くの医療機関がヘッドフォンや耳栓を用意しているので、騒音を軽減できます。もし心配な場合は、検査前にご相談ください。
編集部
そのほかデメリットはありますか?
石田先生
まだ新しい検査法のため、現在、無痛MRI乳がん検診を受けられる医療機関は全国に50か所程度しかないということも、お住まいエリアによってはデメリットと言えるかもしれません。現在、徐々に普及しつつありますが、地域によっては検査を受けられるところを探すのが難しいかもしれません。
編集部
費用はどれくらいですか?
石田先生
無痛MRI乳がん検診は自由診療のため、従来のマンモグラフィや超音波検査に比べて検査費が高額になりがちです。医療機関によって異なりますが、都内の場合は2万円程度が目安です。
無痛MRI乳がん検診がおすすめなのはどんな人?
編集部
無痛MRI乳がん検診は何歳くらいの人に適していますか?
石田先生
基本的にどの年代の方でも受けていただけますが、特におすすめしたいのは30代くらいの若い方です。なぜなら、若い方は「恥ずかしい」という理由で乳がん検診を受けない人が多いのです。しかし現在は、若くして乳がんを発症する人が増えています。乳がんは早期に発見すれば治しやすい病気です。ぜひ若いうちから検診を受ける習慣をつけてほしいと思います。
編集部
30歳代から乳がん検診を受けた方が良いのですね。
石田先生
はい。乳がんを生涯にわたって予防するには、まず「若いうちから定期的に検診を受ける習慣を身につける」ということが大事です。その点でいうと、無痛MRI乳がん検診は痛みがなく、着衣のまま受けられるということもあって受診のハードルが低いため、“入り口”として適しているのではないかと思います。
編集部
ほかには、どんな人に適していますか?
石田先生
乳腺が発達している40歳頃までの方だと、マンモグラフィでは異常を見つけにくいという問題があります。その点、無痛MRI乳がん検診は乳腺の影響を受けにくいので、40歳くらいまでの方にもおすすめしたいですね。また、乳房が小さい人もマンモグラフィでは痛みを感じるかもしれません。そういう方も無痛MRI乳がん検診がおすすめです。
編集部
受けられない人はいますか? 受ける際の注意点も知りたいです。
石田先生
先ほどお話ししたように、心臓のペースメーカーを使用している方や胸部に金属を埋め込んでいる方は受けられません。また、カラーコンタクトレンズや補聴器、入れ歯、ウィッグなどは検査の際に取り外していただきます。
編集部
マンモグラフィは豊胸術を受けた人や、乳房手術後にインプラント(人工乳房)を挿入した人は受けられないと聞きました。
石田先生
確かにそのような方がマンモグラフィの検査を受けると、体内に埋め込んだインプラントが強く圧迫されることで破裂し、炎症などを起こすリスクがあります。そのため、基本的にマンモグラフィを受けることはできません。しかし無痛MRI乳がん検診は胸を圧迫することがないので、そのような方でも受けていただけます。
編集部
最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあれば。
石田先生
現在、若い層に乳がんが発症するケースが増えているため、特に30代の人たちに無痛MRI乳がん検診を受けてほしいと思います。実際、当院で検査を受ける方も若い方が増えています。また「これまでマンモグラフィを受けたことがあるけれど、痛くてもう二度と受けたくない」と思っている方にも、無痛MRI乳がん検診はおすすめです。一度の嫌な記憶のために、乳がんを早期発見するチャンスを手放さないでほしいと思います。乳がんは早期に発見して、適切に治療を行えば命が助かる可能性が高いがんですから、通常の乳がん検診に抵抗がある場合は、ぜひ一度、無痛MRI乳がん検診を試してみてください。
編集部まとめ
これまでも乳がん検診を受けたことはあったけれど、「マンモで痛かった」「人に胸を見られるのが恥ずかしかった」など、嫌な思いをしたことがある人も多いはず。無痛MRI乳がん検診ならそのような心配はいりません。これまで嫌な思いをしたことがある人にこそ、ぜひ一度受けてほしいと思います。
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