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認知症の初期症状を医師が解説 物忘れが多いのは認知症の前兆? 始まりのサインと進行段階を知っておこう

 公開日:2023/12/11
認知症の初期症状を医師が解説 物忘れが多いのは認知症の前兆?」 始まりのサインと進行段階を知っておこう

生きていると、必ず年はとります。それは、脳も同じです。加齢に伴って「物忘れ」などが増えていくのは当然とも言えますが、それが「認知症」の初期症状なのかどうかは素人にわかりません。そこで「認知症の初期症状」について、内科医の塚本善峰先生(あいあいクリニック院長)にMedical DOC編集部が話を聞きました。

塚本 善峰

監修医師
塚本 善峰(あいあいクリニック)

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内科医。1993年杏林大学医学部を卒業後、杏林大学医学部付属病院第一内科にて神経内科、呼吸器疾患、アレルギー性疾患、腎機能障害、膠原病を専攻し、経験を積む。2007年、さいたま市に「あいあいクリニック」を開院、院長就任。「患者様、一人ひとりの事を考え、それに合った診療と医療をお届けしたい」という診療理念のもと、生活習慣病と慢性疾患に特化したオーダーメイド医療を実践している。

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編集部編集部

「認知症」について教えてください。

塚本 善峰先生塚本先生

「認知症」とは、脳に何らかの障害が起こることによって、記憶力や判断力などが低下した状態です。社会の高齢化にともなって、認知症の方は年々増加しています。

編集部編集部

やはり、高齢者がなるものなのですか?

塚本 善峰先生塚本先生

そうとは限りません。若くても、脳卒中などをきっかけに「脳血管性認知症」となってしまう方もいらっしゃいますし、交通事故などで頭部を強く打ったり、最近だと新型コロナウイルス感染症に羅患してしまったりすると、後遺症として認知症症状が出てしまう方もいます。さらに、これらのような明確な要因がなくても、若くして認知症を発症してしまうケースもあるのです。65歳未満で認知症を発症した場合、「若年性認知症」と呼ばれます。

編集部編集部

認知症にも種類があるのですね。

塚本 善峰先生塚本先生

そうですね。「若年性認知症」はあくまで年齢による分類ですが、病態としては「アルツハイマー型認知症」「脳血管性認知症」「レビー小体型認知症」「前頭側頭型認知症」の4種類が代表的な分類です。

編集部編集部

どのような症状が出るのですか?

塚本 善峰先生塚本先生

それぞれの認知症によって、症状は少しずつ異なりますが、共通しているのはやはり「記憶障害」いわゆる「物忘れ」ですね。

物忘れが増えたのは認知症の初期症状? 認知症の前兆で怒りっぽくなる・思い込みが激しくなるって本当?

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編集部編集部

「物忘れ」が増えるのは、やはり認知症なのでしょうか?

塚本 善峰先生塚本先生

そうとは限りません。物忘れには「加齢によるもの(正常な物忘れ)」「正常な物忘れと認知症の間の状態」「認知症によるもの」「ほかの病気による物忘れ」などがあるのです。物忘れが増えたからといって、すなわち「認知症」ということではないのです。

編集部編集部

物忘れが加齢によるものなのか、認知症によるものなのか、どうやって判断するのですか?

塚本 善峰先生塚本先生

「出来事の一部を忘れてしまう」のが「加齢による物忘れ」で、「出来事そのものをすっかり忘れてしまう」のが「認知症」の特徴と言われています。例を挙げると、「朝食に何を食べたか忘れてしまう」のが「加齢による物忘れ」で、「朝食を食べたという事実を忘れてしまう」のが「認知症」です。

編集部編集部

ほかには何かありますか?

塚本 善峰先生塚本先生

もうひとつのわかりやすい目安としては、「本人の自覚があるかどうか」ということがあります。忘れっぽくなったという自覚があるのが「加齢による物忘れ」で、「自分はなんともない」と自覚がないのが「認知症」という傾向があります。あとは、「認知症」の場合は、「物忘れ」以外の変化も表れてくるはずです。

編集部編集部

例えばどんな変化がありますか?

塚本 善峰先生塚本先生

「今までできていた作業ができなくなった」「今まで好きだったものや事柄に興味がなくなった」といった変化、「季節や時間、居場所の感覚がわからなくなった」「些細なことで怒るようになった」なども、認知症の初期症状です。また、物事が億劫になってしまう方も多く、例えば「まめに片付けていた人なのに、部屋が散らかるようになる」とか、「買い物の支払いで、端数の小銭を出すことなどをしなくなり、財布に小銭がどんどん溜まるようになる」なども、認知症の初期症状であることが考えられます。

家族・本人の認知症チェックポイントを医師が解説 認知症を初期症状のうちに早期発見できれば進行は防げる?

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編集部編集部

「認知症かな?」と思ったら、どのようにチェックすることができますか?

塚本 善峰先生塚本先生

認知症のチェックについては、さまざまな簡易テストがあります。インターネットで受けられるものも多いので、活用してみると良いと思います。

※東京都福祉保健局
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/zaishien/ninchishou_navi/checklist/index.html

編集部編集部

医療機関で受けられる検査についても教えてください。

塚本 善峰先生塚本先生

例えば当院では、「MCIスクリーニング検査」と「APOE遺伝子検査」という検査を行っています。どちらも保険適用外の検査になります。「MCIスクリーニング検査」は簡単に言うと、「認知症の入り口にいるかどうか?」がわかる検査です。「MCI」は「軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment)」という意味があり、血液検査で認知症の危険度がわかります。「最近ボケてきたかな?」と感じる方などが検査にいらっしゃいます。「APOE遺伝子検査」は、採血で「将来アルツハイマー型認知症になる危険があるか?」を調べることができる検査です。身内でアルツハイマー型認知症の方がいて、心配な方などに向いています。

編集部編集部

認知症を早期発見できれば、進行を防げるのでしょうか?

塚本 善峰先生塚本先生

認知症は放置すれば進行してしまいますが、早期発見や適切な治療や生活習慣、関わり方の見直しをすることで進行を止めたり、回復したりする場合があります。ですから、早期に正しく診断し、治療することが重要です。

編集部編集部

最後に、Medical DOC読者へのメッセージがあればお願いします。

塚本 善峰先生塚本先生

「記憶に自信がなくなってきた」という方は、早めの受診、脳の検診をお勧めします。もちろん、ご家族に上記のような状態が見られた場合も同様です。繰り返しになりますが、認知症は早期発見・早期の対応で、進行を遅らせたり、回復したりする可能性があります。受診することで、隠れている認知症ではない別の病気が発見できる可能性もあります。例えば、物忘れがひどくなって、認知症の検査のために当院を受診した患者さんが、脳画像を取ったところ、脳出血になっていた(かなり前に頭をぶつけたことによる)という方もいました。この方は、血の塊を取り除いたことで、物忘れ症状が大きく改善しました。こういったケースもありますので、気になる症状のある方はまずはお近くのクリニックに相談してみてください。

編集部まとめ

認知症は、放っておくと進行していく疾患ですが、早期発見、早期治療で、進行を遅らせたり、回復したりする可能性があるのですね。また、別の病気が隠れていないか確認するためにも、気になる症状のある方は、ぜひ一度、医療機関で検査してもらうことをお勧めします。

医院情報

あいあいクリニック

あいあいクリニック
所在地 〒330-0854 埼玉県さいたま市大宮区桜木町2丁目4-14 アイダビル大宮桜木第1 3F
アクセス JR線「大宮」駅 西口より徒歩1分
診療科目 内科

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