「脳腫瘍」の初期症状とセルフチェックを医師が解説 視力・頭痛など異変に気づくポイントは?
頭の中は自分で見ることができないため、異常に気づくのは困難でしょう。そして、「脳腫瘍」も初めのうちは痛みなどを発することはないそうです。今回は、脳腫瘍という病気の症状や原因、初期の脳腫瘍に気づく方法について、「西原町脳神経外科クリニック」の中村先生に解説していただきました。
監修医師:
中村 達也(西原町脳神経外科クリニック)
目次 -INDEX-
脳腫瘍とは脳のどんな病気? 脳腫瘍が起きる主な原因や初期症状を医師が解説
編集部
まず、脳腫瘍について教えてください。
中村先生
文字通り、「脳にできる腫瘍」のことです。ただし、脳そのもの(神経細胞)だけではなく、髄膜や脳神経繊維など、いわゆる「頭の中」にある組織から発生した腫瘍すべてが「脳腫瘍」に含まれます。
編集部
良性と悪性、どちらもあるのですか?
中村先生
どちらも起こり得ます。一般的には、脳実質にできた「脳実質内腫瘍」には悪性が多い一方で、髄膜などにできた「脳実質外腫瘍」には良性が多いとされています。また、ほかの臓器の悪性腫瘍が脳に転移した「転移性脳腫瘍」という脳腫瘍もあります。
編集部
脳腫瘍になると、どのような症状が出るのですか?
中村先生
頭の中は頭蓋骨という骨に囲まれているので、腫瘍が大きくなるにつれて、頭の中がキツくなり、組織が圧迫されて頭痛が起こります。これを「頭蓋内圧亢進(とうがいないあつこうしん)症状」と言います。そのほかにも、腫瘍のある場所によっては痙攣(けいれん)や麻痺、視力障害、言語障害などの症状がみられます。
脳腫瘍は初期症状・自覚症状で気づける? めまいや物忘れ、頭痛……こんな症状があれば要注意!
編集部
脳腫瘍の初期症状としては、どんなものがありますか?
中村先生
脳腫瘍の初期は、ほとんど症状がないこともありますが、早期にみられる症状としては、「片方の手足だけに力が入らない」「痺れたような感じがする」「真っ直ぐ歩けない」「呂律が回らない」などが挙げられます。
編集部
体のどこかが動かしにくくなるのですね。
中村先生
そうですね。ほかにも、「言葉が出てこない」「相手の言っていることが理解できない」「視野が狭くなる」「ものが二重に見える」なども脳腫瘍の症状です。
編集部
頭に痛みが出ることはないのですか?
中村先生
腫瘍自体が痛みを発することはないのですが、先ほどの頭蓋内圧亢進症状で圧迫されることによって痛みが出ることがあります。ただし、「頭痛=脳腫瘍」というわけではありません。
編集部
脳腫瘍に特徴的な頭痛の状態などはないのでしょうか?
中村先生
睡眠中に頭が圧迫されやすくなる傾向にあるので、起床時に頭痛がある場合は脳腫瘍の症状である可能性があります。
脳腫瘍になったときの治療や対処法を医師が解説 良性・悪性の見分け方、進行速度や治る確率は?
編集部
どのようにして、脳腫瘍と診断されるのですか?
中村先生
まずは専門の医療機関を受診し、問診や症状の確認をおこないます。その後、CTやMRI、脳血管撮影の画像検査、血液検査、髄液検査などの結果をみて診断されます。脳腫瘍と診断された後は、腫瘍組織を手術で摘出して良性か悪性かを調べます。
編集部
脳腫瘍には、どのような治療法があるのですか?
中村先生
手術治療が基本です。腫瘍が良性で、あまり進行がみられなければ経過観察の場合もありますし、腫瘍の組織型や進行度に応じて手術の前もしくは後に、放射線療法や化学療法をおこなうこともあります。
編集部
脳腫瘍が治る確率はどのくらいでしょうか?
中村先生
「確率はこのくらい」というのは難しいですね。とくに悪性腫瘍の生存率は、悪性度や摘出度などで大きく異なります。良性の腫瘍については、手術で全摘出できれば治癒が期待できます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
中村先生
脳腫瘍について調べるCTやMRI撮影は、あまり苦痛を伴わない検査です。頭痛をはじめとする疑わしい症状があれば、軽くても早めに受診して、検査を受けることをおすすめします。脳腫瘍は稀な病気ですが、できるだけ早く発見して小さいうちに治療を開始した方が治る可能性が高まります。
編集部まとめ
今回は、脳腫瘍の初期症状や治療法などについてお話を伺いました。初期の自覚症状はあまりないとのことですが、起床時に頭痛がある場合は、脳腫瘍の可能性も捨てきれません。検査自体は苦痛を伴わず気軽に受けることができるので、気になる症状のある人は一度専門の医療機関で検査することをおすすめします。
医院情報
所在地 | 〒183-0046 東京都府中市西原町2丁目18-1 マツシマビル2F |
アクセス | JR「谷保駅」 徒歩19分 JR「西府駅」 徒歩19分 |
診療科目 | 脳神経外科、内科、消化器内科、泌尿器科 |