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「コーヒーは痛風予防に効果的」は本当なのか コーヒー牛乳でも効果はある? 肝臓専門医が解説

 公開日:2023/03/20
「コーヒーは痛風予防に効果的」は本当なのか コーヒー牛乳でも効果はある? 肝臓専門医が解説

尿酸値が高い人や痛風の発作で悩んでいる人の中には、「尿酸値を下げるにはコーヒーがいいって聞いたけど本当?」「コーヒー牛乳も尿酸値を下げるのにいい?」と疑問に感じている人がいるのではないでしょうか。そこで、コーヒー牛乳やコーヒーを飲んだほうがいいのか、それとも控えたほうがいいのか、「SUGAR LLC」の佐藤先生に回答してもらいました。

佐藤 将人

監修医師
佐藤 将人(SUGAR LLC)

プロフィールをもっと見る
東北大学医学部医学科卒業。「健康的に豊かに生きる」を理念とするスタートアップ企業SUGAR代表医師。宮城県仙台市を中心に企業の組織力や社員の個人力や生産性を高める事業を展開。医師としての知見を生かして自ら肉体改造してシックスパックを達成、精神心理的知見からメタ認知推進の活動に従事。日本肝臓学会専門医、日本外科学会専門医、日本医師会認定産業医、中小企業診断士、仙台市食育推進会議委員、労働衛生コンサルタント。

コーヒーは尿酸値を下げて痛風の予防になる可能性がある

コーヒーは尿酸値を下げて痛風の予防になる可能性がある

編集部編集部

ズバリ、コーヒーは尿酸値を下げる飲み物ですか? それとも、痛風を悪化させる飲み物ですか?

佐藤 将人先生佐藤先生

結論として、コーヒーは尿酸値を下げて、痛風を予防する可能性があると言われています(※1,2,3)。

編集部編集部

なぜコーヒーは尿酸値を下げて、痛風を予防する効果があるのでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

残念ながら、コーヒーが尿酸値を下げて痛風を予防するメカニズムははっきりしていません。しかし、コーヒーに含まれるカフェインやポリフェノールの一つであるクロロゲンの働きによって尿酸値が下がっているのではないかと言われています(※2,3)。

編集部編集部

具体的に、コーヒーを飲むと痛風の発作のリスクはどれくらい下がるのでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

これまでの研究の結果では、コーヒーを飲まない人と比べて、コーヒーを1日に1〜4杯(1杯100ml程度)飲む人は痛風の発作のリスクが、男性だと最大57%、女性だと最大40%程度低くなったと報告されています(※2,3)。

「コーヒー牛乳」も尿酸値を下げて痛風のリスクを下げる可能性がある

「コーヒー牛乳」も尿酸値を下げて痛風のリスクを下げる可能性がある

編集部編集部

コーヒーが尿酸値を下げて痛風の発作のリスクを下げてくれるかもしれないことはわかりましたが、コーヒー牛乳も尿酸値を下げる飲み物なのでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

コーヒー牛乳と尿酸値や痛風の発作の関係について研究はあまりないのではっきりとはわかりませんが、牛乳は尿酸値を下げる飲み物であると報告されています(※1,4)。そのため、コーヒーに加えて、コーヒー牛乳も尿酸値を下げて痛風のリスクを低くするかもしれません。

編集部編集部

尿酸値を下げる飲み物としてコーヒー牛乳を飲む場合に、注意することはありますか?

佐藤 将人先生佐藤先生

脂肪分の多い食品は尿酸値を上げて痛風のリスクを高めやすいので、脂肪分の少ない低脂肪乳や無脂肪乳を使用したコーヒー牛乳だとより尿酸値が下がりやすく、痛風の予防にも効果的かもしれません。実際に、無脂肪乳は最大で46%痛風のリスクを減少させる可能性があったことが報告されています(※4)。

編集部編集部

コーヒー牛乳以外の飲み物はいかがでしょう? 緑茶、紅茶、スポーツドリンク、エナジードリンクだと尿酸値は下がりますか?

佐藤 将人先生佐藤先生

残念ながら緑茶、紅茶、スポーツドリンク、エナジードリンクなどは尿酸値を下げず、痛風の発作のリスクを下げるという報告はほとんどありません。むしろ、ローヤルゼリーを含むエナジードリンクや多くの健康食品の飲料は尿酸値を上げることが多く、痛風のリスクが上がってしまうかもしれないので、飲み過ぎないように気をつけてください。

尿酸値を下げるにはデカフェやカフェインレスのコーヒーでもいい

尿酸値を下げるにはデカフェやカフェインレスのコーヒーでもいい

編集部編集部

コーヒーが苦手な人やカフェインを摂取すると体調が悪くなる人もいると思います。デカフェやカフェインレスのコーヒーも尿酸値を下げる飲み物なのでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

はい。カフェインがほぼ含まれていないデカフェやカフェインレスのコーヒーでも尿酸値を下げる可能性があります(※2)。

編集部編集部

カフェインがほとんど含まれていないデカフェやカフェインレスのコーヒーでも痛風のリスクも下がるのですか?

佐藤 将人先生佐藤先生

はい。デカフェやカフェインレスのコーヒーは尿酸値を下げる可能性がある上に、痛風の発作のリスクも減少させる可能性があると言われています。実際に、デカフェのコーヒーを毎日飲んだ人は痛風の発作のリスクが最大で23%減少したと報告されています。

編集部編集部

最後に、カフェインをほんの少し摂取しただけでも、頭痛がしたりお腹が痛くなったりする人も、尿酸値が高い場合にはコーヒーを飲むべきですか?

佐藤 将人先生佐藤先生

いいえ。カフェインを微量でも摂取すると体調が悪くなる人は、デカフェやカフェインレスコーヒーを含めてコーヒーの摂取は控えたほうが好ましいでしょう。カフェインが苦手な人は、代わりに水を多めに飲んだり、先ほど紹介した低脂肪などの牛乳を飲んだり、果糖などの糖分が含まれていないクエン酸飲料を飲んでも尿酸値を下げて痛風発作のリスクを下げられるかもしれないので、無理してコーヒー飲料を飲まずにほかの飲み物も検討してみてください(※1)。

編集部まとめ

コーヒーは尿酸値を下げる飲み物で、痛風の発作を予防する可能性があります。コーヒーが尿酸値を下げるメカニズムははっきりしていませんが、カフェインやポリフェノールの一つであるクロロゲンの働きで尿酸値が下がると言われています。牛乳も尿酸値を下げる飲み物とされているため、コーヒー牛乳もコーヒーと同様に尿酸値を下げて痛風発作を予防するかもしれません。カフェインを摂取すると体調を崩す人は無理して飲む必要性は全くないですが、少量のカフェインなら問題ない人は、デカフェやカフェインレスコーヒーも尿酸値を下げると報告されているので、尿酸値を気にしている人は摂取してみてはいかがでしょうか。

この記事の監修医師