PET検査によるがん検診費用を医師が解説 検査内容や発見できる癌(がん)も説明

佐藤先生

PET検査をすることによって、がん細胞の活動状態がわかります。がん細胞は、正常の細胞と比べて、ブドウ糖の代謝が活発に行われています。がん検診のPET検査では、FDG（放射性ブドウ糖類似物質）という薬剤を注入することにより、体内でブドウ糖代謝が盛んな部位を描出することができます。肺がんや乳がん、大腸がんなどの発見に有効です。

佐藤先生

そうですね。甲状腺がんや頭頚部がん、すい臓がん、卵巣がん、子宮体がんなどは、PETで発見しやすいといわれています。一方で、見つけにくいがんもあります。

佐藤先生

早期胃がん、肝臓がん、腎がんは、さまざまな要因により、PET検査での発見は困難です。

佐藤先生

はい。PET検査だけですべてのがんが発見できるというのは誤解です。がんを発見するためには、PET検査が不得手な部分を理解したうえで、ほかの検査を併用することが重要です。

佐藤先生

病院によって違いはありますが、当院では頸部から大腿部（注：首から太もものつけ根まで）のPET検査で、16万5000円（税込）です。こちらは、血圧や体重などの各種基本検査なども含む料金です。こちらに、エコー検査やマンモグラフィ（女性のみ）、下腹部MRIなどを加えた、総合的ながん検診は22万円（税込）となっていて、さらに脳や心臓の検査も含めた38万5000円（税込）の検診もあります。

佐藤先生

そうですね。健康診断やがん検診としてPET検査を受ける場合は、自由診療とみなされ全額自己負担になります。検査の結果、がんや心疾患など保険適用の疾患が見つかった場合や、疾患の治療として検査を受ける場合などは保険適用が認められますので、自己負担金は1割もしくは3割となります。 ただし、適用される条件というのが定められていますので、主治医や医療機関によくご確認ください。

佐藤先生

こちらも先ほどと同様に、健康な方がスクリーニング目的でPET検査をする場合は、医療費控除の対象にはなりません。例外として、例えばPETでがんが発見され、それに対する治療を受けた場合などは、PET検査費用も医療費控除の対象に含まれることがあります。また、すでにがんと診断されている方が、健康保険適用でPET検査を受ける場合も医療費控除を申請することができます。

佐藤先生

プランや特約によると思います。契約内容によって異なると思いますので、ご自身の契約内容を確認してみてください。

佐藤先生

当院では、検査の前日21時以降から絶食をお願いしており、当日来院していただいた後は体重や血圧などの基本検査を行い、それからPET検査という流れです。FDG薬の注射（所要時間約10分）後、約1時間安静にしていただいてから撮影を行います。撮影時間はおよそ15分です。

佐藤先生

当院の場合、そのまま帰宅できます。結果は2～3週間で郵送していますので、来院していただく必要もありません。検査後6時間は、妊婦や赤ちゃんとの接触を控えていただいていますが、それ以外は普通に生活して構いません。

佐藤先生

日本では2人に1人ががんになる時代ともいわれています。人生100年時代ですので、健康寿命を伸ばすため、がん検診は毎年受けましょう。PET検査は安全かつがんの検出に適しているため、おすすめです。最近は解像度の高いデジタルPET装置を導入している医療機関も増えてきています。導入しているかどうかはHPなどで確認できますので、可能であればデジタルPET装置でのスクリーニングを検討してみてはいかがでしょうか。