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がん検診

 更新日:2023/03/27
がん検診

現在の日本人の死因第1位は、心疾患(心筋梗塞など)や脳血管疾患(脳梗塞など)ではなく、悪性新生物(=がん)です。がんに対して漠然とした不安がある方は多いのではないかと思いますが、早期発見・早期治療ができればがんを治すことも可能です。

 

がん検診を受ける前に、どのようなものか理解しましょう。

この記事の監修ドクター:
村上 友太 医師(東京予防クリニック)

がん検診とは

近年、日本でのがん患者は増加傾向です。日本人の2人に1人が生涯で何かしらのがんになり、3人に1人はがんで亡くなると言われています。年間約37万人もの人が、がんが原因で亡くなり、これは日本人の死因第1位です。

 

がんで亡くなる人を少なくするためには、がんの早期発見・早期治療を行うことが大切です。そのためにも、がん検診を受けることをおすすめします。

 

がん検診の目的は、がんを早期に発見し、早期治療を行って、がんで亡くなる人を減らすことです。早期がんは無症状であることが多いため、早期発見は難しいと言われます。

 

例えば、早期胃がんで痛みがないことが多く、早期胃がんを見つけるためには、症状がなくても胃カメラ検査などを受ける必要があります。症状がないから検診を受けないのではなく、症状がないうちから検診を受けることが、がんの早期発見に大事なのです。

 

検診結果で要精査の判定が出た際には、ぜひ医療機関を受診してください。要精査は早期発見への足掛かりです。早期発見できれば早期治療につながり、早期治療ができればがんを治すことができます。

がん検診の種類

がん検診には、大きく分けて対策型検診と任意型検診があります。

 

対策型検診は、市区町村が公費を用いて地域住民に提供するがん検診のことです。この検診項目は、さまざまな研究により有効性が確立したものが選ばれ、対象者は受けることが推奨されています。

 

一方、任意型検診は、人間ドックなどのことで、対策型検診に含まれない検査項目も受けます。費用は全額自己負担が基本ですが、市区町村によっては補助が出る場合があります。検査項目は医療機関ごとに特色があります。

 

対策型検診は、次の5種類です。

  • 胃がん検診
  • 大腸がん検診
  • 肺がん検診
  • 子宮頸がん検診
  • 乳がん検診

 

対象者や一般的な検診内容、検査間隔は下記表に示す通りです。市区町村によって検診の内容が異なる場合がありますので、最寄りの市区町村の担当窓口までお問い合わせください。

 

表:対策型検診の各種検診項目について

がん検診の種類 対象年齢 検診方法 検診間隔
胃がん検診 50歳以上

※胃X線検査は40歳以上に対し実施可能

問診、胃X線検査または胃内視鏡検査 2年に1回

※胃X線検査は毎年実施可能

大腸がん検診
40歳以上
問診、便潜血検査 1年に1回
肺がん検診
40歳以上
問診、胸部線検査(、喀痰細胞診)
1年に回
乳がん検診
40歳以上
問診、乳房X線検査(マンモグラフィー)
2年に1回
子宮頚がん検診
40歳以上
問診、視診、細胞診、内診(、コルポスコープ検査)
2年に回

 

任意型検診は、さまざまな検査方法を個々の判断で自由に選択して検査することができます。内容や費用などは医療機関ごとに異なります。例えば、肺がん検診にCT検査を受けたり、検査対象に男性の前立腺がん・女性の卵巣がんを組み込んだりします。

大腸がん

大腸がんの対策型検診では、問診、便潜血検査を施行します。

 

対象年齢は40歳以上、1年に1回の検診が推奨されています。便潜血検査は2回のうち1回でも陽性であれば、要精査と判定され大腸カメラが推奨されます。検査時間に決まりはなく、自宅あるいは検診施設で2日分の便を採取し検査します。検査費用は、無料ないし数千円程度で、検査結果は後日届きます。

 

任意型検診では、大腸カメラや、血中腫瘍マーカー検査などが選択肢に挙がります。

 

表:任意型検診の検査項目

検査内容 検査時間 費用 検査結果
便潜血検査
1-2日
2千円程度
後日郵送
注腸造影検査
20分程度
5千円程度 後日郵送
大腸内視鏡検査(大腸カメラ) 15分程度(鎮静剤使用時は、さらに20分間程度休憩) 2-3万円程度 当日診断後に説明、あるいは、後日郵送
血液検査(腫瘍マーカー) 10分程度 2千円程度/1本 後日郵送

肺がん

肺がんの対策型検診には、問診、胸部X線検査、喀痰細胞診があります。

 

対象年齢は40歳以上、1年に1回の受診が推奨されています。基本は胸部X線で、喀痰細胞診は年齢が50歳以上かつ喫煙指数(1日の喫煙本数×喫煙年数)が600以上の人が対象です。

 

検査時間は、胸部X線検査が10分間程度、喀痰細胞診は自宅で保存液の入った容器に早朝起床時の痰を3日続けて取り続けます。検査費用は、無料ないし数千円程度で、検査結果は後日届きます。

 

任意型検診では、血中肺がん腫瘍マーカー検査、胸部X線より微小肺がんの検出に優れる低線量CT検査などが選択肢に挙がります。

 

表:任意型検診の検査項目

検査内容 検査時間 費用 検査結果
胸部X線検査 10分程度 1万円程度 後日郵送
喀痰細胞診 3日間 2万円程度 後日郵送
胸部CT検査 15分程度 2万円程度 後日郵送
血液検査(腫瘍マーカー) 10分程度 2千円程度/1本 後日郵送

子宮頸がん

子宮頸がんの対策型検診には、問診、視診、子宮頸部の細胞診があります。

 

対象年齢は20歳以上、2年に1回の受診が推奨されています。検査時間は子宮頸部細胞診が10分程度です。検査費用は、無料ないし数千円程度で、検査結果は後日届きます。

 

任意型検診では、細胞診以外にコルポスコープ検査や、ヒトパピローマウイルス(HPV)検査などが選択肢に挙がります。

 

表:任意型検診の検査項目

検査内容 検査時間 費用 検査結果
子宮頚部細胞診 10分程度 数千円程度 後日郵送
HPV検査 15分程度 1万円程度 後日郵送
コルポスコープ検査 10分程度 数千円程度 当日診断後に説明、あるいは、後日郵送

乳がん

乳がんの対策型検診には、問診、乳房X線検査(マンモグラフィー)があります。

 

対象年齢は40歳以上、2年に1回の受診が推奨されています。検査時間は、マンモグラフィーが10分程度です。検査費用は、無料ないし数千円程度で、検査結果は後日届きます。

 

任意型検診では、乳房超音波検査が選択肢に挙がります。

 

表:任意型検診の検査項目

検査内容 検査時間 費用 検査結果
乳房X線検査(マンモグラフィー) 10分程度 数千円程度 後日郵送
乳房超音波検査 15分程度 数千円程度 当日診断後に説明、あるいは、後日郵送

前立腺がん

前立腺がんは対策型検診に組みこまれておらず、任意型検診のみ行われます。お住いの市区町村によっては補助がでる場合もあります。

 

前立腺がん検診は50歳以上の方に施行することが勧められ、前立腺がんの腫瘍マーカーである血中PSA検査が主になります。その他、直腸診や超音波検査なども行われます。

 

表:任意型検診の検査項目

検査内容 検査時間 費用 検査結果
血液(PSA)検査 10分程度 数千円程度 後日郵送
超音波検査 15分程度 数千円-1万円程度 後日郵送

がん検診を受けるメリット

検診を受けるかどうか悩んだとき、本当に受けたほうが良いのか悩みますよね。ここでは検診を受けるメリットを説明します。

命を守ることにつながる

がんという病気は進行すればするほど死亡率が上がります。つまり、早期発見することは命を守ることにつながるのです。対策型検診は特にその有効性が高く受診がすすめられています。

早期の段階で見つかる

がんは早い段階で見つかると、治療の負担は軽く済みます。また、前癌病変という癌の一歩手前の状態を検診で見つけることができれば、がんの予防につながります。

日々の安心につながる

がんという病気に漠然と不安を覚えながら生活するのではなく、定期的に検診を受け続けることで、がん検診では異常がなかったという安心感を得ることができます。

がん検診を受けるデメリット

がん検診には少なからず受けることへのデメリットがあります。しっかり理解したうえで検診を受けるようにしましょう。

結果が100%正しいとは言い切れない

検診結果が100%正しいとは言い切れません。異常なしと判定されても、検査で発見が難しい小さながんなどが存在する可能性はあります。

過剰検査につながる

検診結果で「がんの疑い」と判定され追加検査を必要とすることがあります。しかし、精密検査の結果、がんではないこともあります。結果的に不要な検査を受けてしまうことになりますが、ある程度は避けようがないことです。

検査によって体に負担がかかってしまうことがある

検診で受けた検査によって合併症が起こることがあります。

 

例えば、X線検査で用いられるバリウムによって便秘になったり、まれに腸管穿孔(腸管に穴が開いてしまう)になったりすることがあります。また、レントゲン検査やCT検査では、放射線の被曝の問題があります。

まとめ

がん検診はがんの早期発見には欠かすことのできない検査です。デメリットもありますが、がん検診が、がんから命を守ることにつながることを認識して検診を受けましょう。本記事が、皆さんのがん検診への不安解消につながれば幸いです。

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