目次 -INDEX-

  1. Medical DOCTOP
  2. 医科TOP
  3. 三大疾病
  4. がん
  5. 「大腸がんの症状・チェック方法」はご存知ですか?検査法・ステージ分類も解説!

「大腸がんの症状・チェック方法」はご存知ですか?検査法・ステージ分類も解説!

 公開日:2024/02/12
「大腸がんの症状・チェック方法」はご存知ですか?検査法・ステージ分類も解説!

大腸がんには、どのような症状やチェック方法があるかご存知でしょうか。本記事では、大腸がんに気づくきっかけについて、下記内容を中心に徹底解説します。

  • ・大腸がんの症状
  • ・大腸がんの要因チェック方法
  • ・大腸がんの検査方法

大腸がんの症状やチェック方法について理解するためにも参考にしてください。
ぜひ最後までお読みください。

中路 幸之助

監修医師
中路 幸之助(医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター)

プロフィールをもっと見る
1991年兵庫医科大学卒業。医療法人愛晋会中江病院内視鏡治療センター所属。米国内科学会上席会員 日本内科学会総合内科専門医。日本消化器内視鏡学会学術評議員・指導医・専門医。日本消化器病学会本部評議員・指導医・専門医。

大腸がんの症状

大腸がんの症状には、どのようなものがあるのでしょうか。大腸がんと気づくきっかけについて解説します。

血便

血便は、大腸がんの重要な初期症状の1つです。大腸がんが発生するとがん組織は成長と拡散のために多くの栄養を必要とし、「新生血管」を形成します。新生血管は本来、体には不要なものであり、特に脆弱な構造をしています。この新生血管の脆弱性が、血便の原因となります。
大腸の内部では便の通過による摩擦が起こり、これによって新生血管が破れて出血した結果、便に血が混じることになります。明らかに目に見える赤い血、または黒く変色した便としてあらわれることがあり、血便の状態は消化管内での出血の場所と量によって異なります。

貧血

貧血は、体内の赤血球やヘモグロビンが不足し、身体組織への酸素供給が不十分である状態を指します。これまで貧血を経験していない方が突然貧血症状を自覚する場合や、貧血が持続する場合には、大腸がんが隠れている可能性があります。
大腸がんによる出血は、しばしば慢性的な貧血を引き起こします。この出血は肉眼では見えにくい微細なものであり、日常生活の中で気づかないことも多いようです。しかし、この出血によって徐々に赤血球が減少し、貧血症状があらわれるようになります。また、貧血によって、ふらつき、めまい、疲労感、集中力の低下などの症状があらわれることもあります。

お腹の痛み・張り

大腸がんは、大腸内に腫瘍が形成されることによって、便の通過を妨げることがあります。その結果、便秘、腹痛、腹部の張りなどの症状が生じる可能性があります。大腸がんの腫瘍によって便の通過が妨げられると、便が蓄積し、腸の膨張や圧迫感を引き起こします。これが腹痛や腹部の張りの原因となります。
しかし、がんが盲腸や上行結腸、横行結腸などの場所にある場合、便がまだ固形になっていないため腹痛がはっきりとあらわれないことがあります。このような場合、がんが大きくなるまで自覚症状があらわれにくいことがあり、症状が出たときにはがんが進行している可能性があります。

体重の減少

がんが発生すると、体内でタンパク質や脂肪がより多く分解されることがあります。これは、がん細胞が成長するために、追加のエネルギーを必要とするためです。その結果、食事や運動の習慣が変わらないにもかかわらず、体重が減少することがあります。急な運動や食事制限など、生活習慣における特別な要因がないにもかかわらず、1ヶ月の間に3kg以上体重が減少した場合、大腸がんである可能性があるため注意が必要です。

大腸がんの要因チェックリスト

大腸がんは、遺伝的な要因だけでなく、日常の生活習慣や食生活によっても大きく影響されることが知られています。健康な大腸を維持し、大腸がんのリスクを低減するためには、自身の生活習慣を見直し、必要に応じて改善することが重要です。以下のチェックリストを参考に、あなたの生活習慣が大腸がんのリスクを高めていないか確認しましょう。

家族歴:親族にがんを患った方がいる場合、大腸がんのリスクは高まります。

食生活:肉類を主体とした食事を頻繁に摂っていたり、食物繊維の摂取が不足していたりする場合、大腸がんのリスクは高まります。

喫煙習慣:タバコを吸う習慣がある場合、大腸がんのリスクは高まります。

運動不足:定期的に運動をしていない場合、大腸がんのリスクは高まります。

過度な飲酒:飲酒によりアルコールを過剰に摂取している場合、大腸がんのリスクは高まります。

上記のポイントに該当する項目がある場合、大腸がんのリスクが高まっている可能性があります。適切な食生活の維持、禁煙、適度な運動などを心がけることが大切です。

大腸がんの検査方法

大腸がんの検査方法について解説します。

便潜血検査

便潜血検査は、便に含まれる微量の血液を検出することで、大腸がんやポリープの存在を調べる非侵襲的な検査方法です。大腸がんやポリープがある場合、これらの組織が腸内を移動する際に、便との摩擦により微量の血液が便に混じることがあります。この検査は、目に見えないわずかな出血も検知することが可能で、大腸がんやポリープの早期発見が可能とされており、特別な食事制限を必要とせず、比較的簡単にできる検査です。

全大腸内視鏡検査

全大腸内視鏡検査は、大腸がんやポリープなどの病変を診断するための精密な検査方法です。しかし、まれに出血や腸に穴が開く(穿孔)などの合併症が発生するリスクがあります。また、比較的高度な技術を要する検査であるため、すべての患者に実施することは困難であり、現時点では対策型検診(住民検診)としては推奨されていません。全大腸内視鏡検査は、大腸がんやポリープの早期発見と診断に有効とされている方法ですが、リスクや技術的な要件を考慮して、慎重に使用されるべきです。検診としては限定的な使用が推奨されており、特に便潜血検査などの他のスクリーニング検査で異常が見つかった場合に、精密検査として使用されます。

大腸のX線検査(注腸造影検査)

大腸のX線検査は、全大腸内視鏡検査で確認が困難な場合に使用される、代替的な検査方法です。X線検査は、特に内視鏡が届かない大腸の奥部の検査に有効とされています。しかし、全大腸内視鏡検査と比較すると、病変の詳細な確認や組織採取ができないという限界があります。X線検査は、特定の条件下で全大腸内視鏡検査の代替手段として利用され、大腸がんやポリープなどの大腸疾患の診断に役立つ重要な検査です。ただし、内視鏡検査と比較して診断精度や詳細度に違いがあるため、それぞれの検査の適用範囲を適切に理解し、利用することが重要です。

大腸CT検査

大腸CT検査は、肛門からガスを注入して大腸を拡張させた後、X線を使用して撮影する検査方法です。
検査では、ガス(通常は空気または二酸化炭素)を肛門から注入し、大腸を拡張させます。これにより大腸の内壁が均一に広がり、内部の詳細が明確になります。大腸CT検査は大腸がんやポリープのスクリーニングに役立つ方法であり、特に内視鏡検査に適さない場合や、大腸を全体的に確認する必要がある場合に選択されます。

大腸がんのステージを決める3因子

大腸がんのステージを決める3因子について解説します。

T因子

T因子(壁深達度)は大腸がんの進行段階を評価するための基準であり、がんが大腸の壁のどの深さまで進入しているかを示しています。T因子は以下のように分類されます。

Tis:がんが粘膜内にとどまり、粘膜下層には及んでいない状態であり、がんが最も初期の段階であることを意味する。
T1a:がんが粘膜下層まで到達しているが、浸潤距離が1000μm未満である。
T1b:がんが粘膜下層まで到達しており、浸潤距離が1000μm以上であるが、固有筋層には及んでいない。
T2:がんが固有筋層まで浸潤しているが、それを越えていない。
T3:がんが固有筋層を越えて、さらに深く浸潤している。
T4a:がんが漿膜表面に接しているか、漿膜を破って腹腔に露出している。
T4b:がんが直接、他の臓器に浸潤している。

N因子

N因子(リンパ節転移因子)は、がんのステージングにおいて、リンパ節への転移の有無と程度を評価するための指標です。大腸がんの分類では、がんのリンパ節転移の状態を明確にするために用いられます。N因子は以下のように分類されます。

N0:リンパ節転移を認めず、がんがまだリンパ節には拡散していない。
N1:腸管傍リンパ節と中間リンパ節の転移総数が3個以下である。
N1a:転移個数が1個である。
N1b:転移個数が2~3個である。
N2:腸管傍リンパ節、中間リンパ節の転移総数が4個以上である。
N2a:転移個数が4~6個である。
N2b:転移個数が7個以上である。
N3:主リンパ節に転移を認める。下部直腸癌の場合、主リンパ節および、側方リンパ節に転移を認める。

M因子

M因子(遠隔転移因子)は、がんのステージングにおいて、がんが原発部位から体の他の部分へ転移しているかどうかを評価するための指標です。大腸がんではがんの遠隔転移の有無と範囲を示します。M因子は以下のように分類されます。

M0:遠隔転移を認めず、がんが原発部位に限局しており、体の他の部分には拡散していないことを意味する。
M1:遠隔転移を認める。
M1a:1つの臓器に遠隔転移がある(腹膜転移は除く)
M1b:2つ以上の臓器に遠隔転移がある(腹膜転移は除く)
M1c:腹膜転移を認める。
M1c1:腹膜転移のみを認める。
M1c2:腹膜転移およびその他の遠隔転移を認める。

大腸がんのステージとステージごとの生存率

大腸がんのステージとステージごとの5年生存率について解説します。

ステージ0

ステージ0の大腸がんは、がんが大腸の最も内側の層、すなわち粘膜に限局している状態を指します。この段階ではがんはまだ初期であり、周囲の組織やリンパ節、遠隔部位への転移はありません。このステージの大腸がんは治療可能な段階であり、高い生存率を示します。

ステージ1

ステージ1の大腸がんは、がんが粘膜を超えて固有筋層まで進行しているが、それ以上の深部への侵入やリンパ節または遠隔への転移がない状態を指します。このステージでの5年生存率は92.3%となっています。
この高い生存率は、がんがまだ比較的局所的であり、周囲の組織や遠隔部位への転移がないことを示しています。ステージ1の大腸がんは手術によるがんの除去が中心となり、この段階での治療成功率は高いといわれています。

ステージ2

ステージ2の大腸がんは、がんが固有筋層を超えて、大腸の周囲に広がっている状態を指します。この段階では、がんはまだリンパ節や他の遠隔部位へは転移していないものの、原発部位から周囲の組織に侵入しています。ステージ2の大腸がんの5年生存率は85.5%となっています。
ステージ2の場合、がんがより広範囲に広がっているため治療はより複雑になる可能性がありますが、早期に適切な治療を受けることで引き続き良好な治療成果が期待できるステージです。

ステージ3

ステージ3の大腸がんは、がんの到達の深さに関わらずリンパ節に転移している状態を指します。ステージ3の場合、がんは大腸からリンパ節に広がっており、5年生存率は75.5%となります。

ステージ4

ステージ4の大腸がんは、がんが肺、肝臓、腹膜などの他の遠隔臓器に転移し進行した状態を指します。このステージでは、がんは原発部位から離れた別の部位へと広がっているため、治療が複雑になります。ステージ4の大腸がんの5年生存率は18.3%とされており、これは大腸がんの中で最も予後が不良な段階です。

大腸がんについてよくある質問

ここまで大腸がんを紹介しました。ここでは大腸がんについてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

大腸がんの代表的な症状はどのようなものですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

大腸がんの代表的な症状は下記のとおりです。

血便:便に血が混じることであり、血液は赤い色をしている場合もあれば、黒く変色している場合もあります。
便通異常:便秘や下痢など、通常とは異なる便のパターンの変化があります。便秘や下痢が交互に起こることもあります。
腹痛:腹部に不快感や痛みを感じることがあります。これは大腸がんが腸の壁に影響を及ぼしている場合に起こりえます。

早期の大腸がんは直径2cm以下の小さながんが多く、症状がほとんどないか、あっても軽いものがほとんどです。早期発見のためには、健康診断、特に大腸がん検診を受けることが重要です。肛門出血が初期の徴候としてあらわれることもあり、これが検査や診断のきっかけとなることが多いとされています。

大腸がんの進行は早いですか?

中路 幸之助医師中路 幸之助(医師)

大腸がんの進行は一般的に遅いとされており、他の臓器への転移があっても切除が可能な場合が多いため、治る可能性が高いがんの1つといわれています。大腸がんは、早期に発見し適切な治療を受けることで、高い治癒率を期待できます。特に、外科手術による根治は、早期の大腸がんに対して効果が期待されます。

まとめ

ここまで、大腸がんの症状やチェック方法について解説してきました。
大腸がんの症状やチェック方法についてまとめると、以下の通りです。

⚫︎まとめ

  • ・大腸がんの症状には、血便、貧血、お腹の痛みや張り、体重の減少がある
  • ・大腸がんの要因をチェックするためには、家族歴、栄養のかたよった食生活、喫煙習慣、運動不足、過度な飲酒について確認することが重要である
  • ・大腸がんの検査方法には、便潜血検査や全大腸内視鏡検査、X線検査、大腸CT検査がある

大腸がんと関連する病気

大腸がんと関連する病気は1個あります。
各病気の症状・原因・治療方法などの詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

胃腸科の病気

具体的な症状や治療法については、担当の医師と相談しましょう。

大腸がんと関連する症状

大腸がんと関連している、似ている症状は4個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

これらの症状が持続する場合、または新たにあらわれた場合、医師の診察を受けることが大切です。

この記事の監修医師