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「乳がん検診結果」が「要精密検査で不安…」どうしたらいい?医師が徹底解説!

 公開日:2024/05/31
「乳がん検診結果」が「要精密検査で不安…」どうしたらいい?医師が徹底解説!

乳がん検診で要精密検査と診断され不安な女性へ、Medical DOC監修医が癌が見つかる確率やカテゴリーの見方・精密検査の内容等を解説します。

山田 美紀

監修医師
山田 美紀(医師)

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慶應義塾大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、総合病院や大学病院にて形成外科、外科、乳腺外科の研鑽を積んできた。医学博士。日本外科学会 外科専門医、日本乳癌学会 乳腺認定医、検診マンモグラフィー読影認定医(A判定)の資格を有する。

乳がん検診とは?

乳がん検診とは乳がんによる死亡率を減少させる目的で行われます。ブレストアウェアネス(自分の乳房を意識して生活すること)の項目の一つであり、特に40歳以降は2年に1回の乳がん検診を受けることがすすめられています。
乳がん検診で要精密検査になると、不安になってしまうことがあるかもしれません。しかし、大半は良性です。今回の記事では、乳がん検診でどのような検査を行うのか、そして要精密検査になったらどんな検査を行うのかなどについて解説していきます。

乳がん検診の種類

乳がん検診では医師による視診・触診とマンモグラフィや乳腺エコー検査などの画像検査を行います。

視診

医師が乳房の観察を行います。乳房の左右差、皮膚の赤み、乳頭の湿疹、乳房や乳頭の陥凹や変形がないかを確認します。

触診

医師が乳房と脇や鎖骨付近のリンパ節を直接触ってしこりの状態を調べます。しこりを触れる場合は、場所、大きさ、硬さ、しこりの境界がはっきりしているか、動きは良いかなどを確認します。

乳房超音波(エコー)検査

乳房に超音波(エコー)を当てる検査です。乳房にしこりがないかをチェックします。特に若い女性は乳腺の密度が高い「高濃度乳腺」の方が多く、マンモグラフィではしこりがわかりにくい場合があります。その場合でも超音波でしこりの有無の診断が可能です。

マンモグラフィ

マンモグラフィは乳房のX線撮影です。乳房をできるだけ引き出して、板で乳房を薄くなるまで圧迫して撮影します。そのため多少痛みを伴いますが、乳房をおし広げることで、診断しやすい画像となり、被ばく量も減らすことができます。マンモグラフィでは、しこりは少し白い塊として写り、良性腫瘍、がんいずれの場合もあります。また、石灰化はマンモグラフィーで白い砂のような影として写り、カルシウムが沈着したものです。良性の場合も悪性の場合もあります。

乳がん検診の結果の見方

乳がん検診の結果は「異常なし」、「良性」、「要経過観察」、「要精密検査」などという結果が返ってきます。

乳がん検診の結果・判定・カテゴリーの見方

診断カテゴリーは5段階に分類されます。カテゴリー1は「異常なし」、カテゴリー2は「良性」、カテゴリー3は「良性、しかし悪性を否定できず」、カテゴリー4は「悪性疑い」、カテゴリー5は「悪性」です。カテゴリー1,2は「異常なし」「良性」または「要経過観察」と判断され、カテゴリー3以上で「要精密検査」となります。「要精密検査」のうち、後に乳がんと診断される割合は5%程度です。必ずしも「要精密検査」=乳がん、ということではありませんが、「要精密検査」の場合は、速やかに乳腺科を受診しましょう。「要経過観察」の場合はすぐに受診する必要はなく、結果報告書に記載されている時期に受診しましょう。

乳がん検診で要精密検査と診断されたらどんな検査をする?

カテゴリー3以上で「要精密検査」となり、なるべく早く乳腺科を受診する必要があります。この精密検査は保険診療となり、1~3割の自己負担となります。精密検査ではマンモグラフィや乳腺エコー検査に加えて、細胞診、組織診、摘出生検を行う場合があります。これらの結果は顕微鏡で検査を行い、10日~2週間程度で結果が出ます。

細胞診

マンモグラフィやエコー検査などの画像診断で良性か悪性かの判断が難しい病変がある場合に、乳腺に細い針を刺して細胞を採取する穿刺吸引細胞診(せんしきゅういんさいぼうしん)を行います。エコー検査で異常のある部分を確認しながら、細胞を採取します。細胞診だけでは確定診断を行うことが難しいので、確定診断をするために、組織診が必要なことが多いです。

組織診

画像診断で良性か悪性かの判断が難しい病変や乳がんを疑う病変がある場合に、局所麻酔をしてやや太い針を刺して組織を採取する組織診を行います。エコー検査やマンモグラフィで異常のある部分を確認しながら、組織を採取します。

摘出生検

多くの場合は組織診で診断することが可能ですが、稀に組織診でも診断が難しいことがあります。そのような場合は、局所麻酔をして病変全体を摘出する摘出生検をすることがあります。傷が大きくなりますが、病変の全体像を観察できるため、細胞診や組織診よりも情報が多くなります。

乳がん検診でわかる病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「乳がん検診」で発見できる病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

乳がん

乳がんは乳腺の組織に発生する悪性腫瘍です。乳腺は乳管と小葉からできており、多くは乳管から発生します。主な症状は乳房のしこりです。乳がんの発生には、女性ホルモンが関係しています。経口避妊薬やホルモン補充療法、初経が早い、閉経が遅い、出産歴がない、初産年齢が高い、授乳歴がないなどが乳がん発症リスクを高めます。飲酒、喫煙、閉経後の肥満などの生活習慣も乳がん発症リスクを高めます。また、血縁者に乳がんの方がいる女性は乳がん発症リスクが高いです。遺伝性乳がんの多くでBRCA1遺伝子またはBRCA2遺伝子の変異があることがわかっています。
治療は、手術、放射線治療、薬物療法(内分泌療法、化学療法、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害剤)などがあります。しこりなどの症状がある場合は、早めに乳腺科を受診しましょう。

乳腺症

乳腺症は乳腺の良性変化の総称で、30~40歳代に多いです。囊胞(のうほう)、乳管内乳頭腫、腺症などのさまざまな病態を含みます。症状として乳房のしこり、硬結、痛み、乳頭分泌などを自覚する場合があります。乳腺症は女性ホルモンが関係しており、閉経後に症状がなくなることが多いです。乳腺症は特に治療は必要ありません。硬結や痛みは月経前に増大し、月経後に縮小します。月経周期と関係のないしこりがある場合は、早めに乳腺科を受診することをおすすめします。

乳腺炎

乳腺炎は乳汁のうっ滞や細菌感染によって起こる乳房の炎症です。赤み、腫れ、痛み、膿、しこりなどの症状があります。授乳中に母乳が乳房内にたまり、炎症がおこる「うっ滞性乳腺炎」が多いです。母乳の通りが良くなるようにマッサージを行います。乳頭から細菌が入り、「化膿性乳腺炎」になると、抗生剤や切開して膿を出す処置を行う場合があります。また、授乳期以外でも乳腺炎になることがあります。陥没乳頭があると乳輪下に膿がたまる乳輪下膿瘍になることがあり、乳腺炎を繰り返す場合は手術が必要になる場合があります。乳腺炎は乳がんとは関係ありませんが、痛みを伴わずに乳房が腫れる場合は、炎症性乳がんの可能性もあるため、症状があれば早めに乳腺科を受診しましょう。

線維腺腫

線維腺腫は10歳代後半から40歳代の人に多い良性腫瘍です。女性ホルモンのバランスが原因ではないかと考えられています。ころころとよく動くしこりです。しこりに気が付いた段階で乳腺科を受診しましょう。マンモグラフィや乳腺エコーなどの画像検査や針生検などで線維腺腫と診断された場合は、治療は必要なく、乳がんの発症と関係はありません。しかし、しこりが大きくなった場合は、摘出手術を行うことがあります。

「乳がん検診で要精密検査・不安」についてよくある質問

ここまで乳がん検診の内容・発見できる病気などを紹介しました。ここでは「乳がん検診で要精密検査・不安」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

乳がん検診で要精密検査と診断される確率はどれくらいですか?

山田 美紀山田 美紀 医師

乳がん検診で「要精密検査」と判定される確率は2021年の検診のデータで6.2%と報告されています。

乳がん検診で要精密検査と診断されたら、乳がんを疑うべきでしょうか?

山田 美紀山田 美紀 医師

​​要精密検査=乳がんでは決してありません。カテゴリー3(良性、しかし悪性を否定できず)以上を要精密検査とします。2021年のデータで精密検査の結果、乳がんと診断された方は乳がん検診受診者の0.33%、精密検査受診者のうちの5.25%でした。

乳がん検診結果が要精密検査で不安なのですが放置しても大丈夫でしょうか?

山田 美紀山田 美紀 医師

もし乳がんだったらと不安になってしまいますが、乳がんは早期発見、早期治療で完治を望める病気です。そして要精密検査の大半は良性なので、受診することで安心できることもあります。要精密検査となった場合はなるべく早めに乳腺科を受診しましょう。

乳がん検診で要精密検査になりやすい女性の特徴や体質はありますか?

山田 美紀山田 美紀 医師

乳腺に良性のしこりや石灰化がある人は乳がんでないにもかかわらず、要精密検査になってしまう場合があります。

まとめ 乳がん検診で要精密検査と診断されたら不安がらずに検査へ

乳がん検診で要精密検査と判定されると不安に感じますが、要精密検査=乳がんではありません。精密検査を受けることで乳がんの早期発見ができるだけではなく、さらに情報を得ることで不安の軽減にもつながります。早めに乳腺科を受診しましょう。そして、異常なしと診断された場合でも今後乳がんにならないということではないので、定期的に乳がん検診を受けることが大切です。

「乳がん検診」の異常で考えられる病気

「乳がん検診で要精密検査・不安」「乳がん検診が要精密検査」から医師が考えられる病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

乳腺科の病気

乳がん検診で要精密検査=乳がんではありません。要精密検査のうち9割以上が良性です。乳がんでなくても、経過観察や治療が必要となるケースがあります。自己判断せずに、乳腺科を受診することが大切です。

この記事の監修医師