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「鶏むね肉が体に良い理由」を管理栄養士が解説 どんな健康効果があるのか

 更新日:2023/03/27
「鶏むね肉が体に良い理由」を管理栄養士が解説 どんな健康効果があるのか

価格が手頃で家計の味方になる食材、鶏むね肉。「鶏むね肉は体に良い」という話も耳にしますが、本当なのでしょうか。一体鶏むね肉を食べるとどんな効果があるのか。今回は鶏むね肉に多く含まれる栄養素と健康効果について、管理栄養士の石本さんに詳しく伺いました。

石本 めぐみ

監修管理栄養士
石本 めぐみ(管理栄養士)

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国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。

鶏むね肉のたんぱく質は疲労回復に効果的

鶏むね肉のたんぱく質は疲労回復に効果的

編集部編集部

鶏むね肉のどのような栄養が体に良いのでしょうか?

石本 めぐみさん石本さん

鶏むね肉には、たんぱく質が豊富に含まれています。鶏むね肉100gに含まれるたんぱく質量は21.3gです。豚ロース肉100gには19.3g、牛もも肉100gには19.5gのたんぱく質が含まれているので、同じ肉類を比較しても鶏むね肉のたんぱく質量は多いと言えます。鶏むね肉はほかにも、ビタミンB群やビタミンKといった栄養素が豊富です。

編集部編集部

鶏むね肉のたんぱく質は、体にどのように働きますか?

石本 めぐみさん石本さん

たんぱく質は体の皮膚や髪、筋肉、内臓のもとになる重要な栄養素です。体の中の化学反応をスムーズにする酵素や、病原体やウイルスから体を守る免疫細胞もたんぱく質から作られるため、生命の維持に欠かせません。また、鶏むね肉にはイミダゾールジペプチドというたんぱく質が多く含まれており、疲労回復効果や老化抑制作用があることがわかっています。

編集部編集部

イミダゾールジペプチドについて詳しく教えてください。

石本 めぐみさん石本さん

イミダゾールジペプチドとは、渡り鳥が長距離を何日間も飛び続けられるパワーの源とも言われている、鶏むね肉に特徴的な成分です。イミダゾールジペプチドには抗酸化作用があるため、疲労によって作り出される活性酸素のダメージを抑えて、疲労を軽減する効果が見込めます。抗酸化作用により老化を抑制して体を若々しく保ったり、尿酸値を下げたりする効果も期待できるでしょう。

鶏むね肉はビタミンも豊富

鶏むね肉はビタミンも豊富

編集部編集部

鶏むね肉にはビタミンも多く含まれるのですか?

石本 めぐみさん石本さん

鶏むね肉は、ビタミンB群やビタミンKが豊富です。ビタミンB6が特に多く、同じビタミンB群であるナイアシンやパントテン酸も含まれています。

編集部編集部

ビタミンB群は体にどのように働きますか?

石本 めぐみさん石本さん

ビタミンB6は、食べ物から体に取り込んだたんぱく質の分解に働く栄養素です。細かく分解されたたんぱく質は皮膚や髪、筋肉、内臓といった体の組織、酵素、免疫細胞などの原料になります。血液に含まれる赤血球の成分の合成や、女性ホルモンのバランス調整も、ビタミンB6の役割です。ビタミンB6は、赤血球不足が原因となる貧血や、ホルモンバランスの乱れから起こる月経前症候群(PMS)に悩む女性の味方になるでしょう。ビタミンB群に含まれるナイアシンやパントテン酸は、エネルギーの合成や燃焼に欠かせない栄養素です。

編集部編集部

ビタミンKは体にどのように働きますか?

石本 めぐみさん石本さん

ビタミンKは、骨や歯の形成に関わる栄養素です。骨や歯はカルシウムから作られますが、ビタミンKはカルシウムを骨や歯に沈着させる作用に働くため、骨がもろくなる骨粗しょう症の治療薬にも使われています。また、ケガで出血したときに血が止まるのも、血液凝固作用を持つビタミンKの働きです。

編集部編集部

ビタミンB群やビタミンKが不足すると、体にどのような影響があるのでしょうか?

石本 めぐみさん石本さん

ビタミンB群が不足すると皮膚炎や口内炎、貧血などが引き起こされる可能性があります。ビタミンB群は栄養素をエネルギーへ変換する働きに関わるため、エネルギーが不足して疲れやすくなったり、食欲が低下したりする可能性もあるでしょう。通常の食生活を送っていればビタミンKが不足することはまずありませんが、出血しやすくなったり、止血までに時間がかかったりすることが考えられます。

鶏むね肉は低脂質・低糖質な食材

鶏むね肉は低脂質・低糖質な食材

編集部編集部

鶏むね肉は本当に脂質が少ないのですか?

石本 めぐみさん石本さん

鶏もも肉100gには脂質が14.2g含まれるのに対して、鶏むね肉100gには脂質が5.9gしか含まれていません。さらに、鶏むね肉から脂質が多い皮を取り除くと100g当たりの脂質は1.9gになります。鶏むね肉は脂質が少なくたんぱく質が豊富なので、ダイエットをしている人や筋肉をつけて体を鍛えたい人におすすめの食材です。

編集部編集部

鶏むね肉は糖質も少ないのですか?

石本 めぐみさん石本さん

鶏むね肉だけでなく、鶏肉自体に糖質がほとんど含まれていません。鶏むね肉は低糖質、低脂質な食材なので、肥満を解消したい人はぜひ活用してください。

編集部編集部

鶏むね肉の栄養を効率よく摂取する方法を教えてください。

石本 めぐみさん石本さん

鶏むね肉の脂質が少ないという特徴を活かすのであれば、油を使用せずに料理ができる、ゆで調理や電子レンジでの蒸し調理がおすすめです。鶏むね肉の皮を取り除けば、さらに脂質を抑えられます。水に溶けやすいビタミンB群の流出を防ぐには、鶏むね肉に片栗粉や薄力粉をまぶしてから焼いたり、スープに加えて栄養素が溶け出た汁ごと食べたりするのがよいでしょう。

編集部まとめ

鶏むね肉はたんぱく質やビタミンB群、ビタミンKが豊富に含まれ、脂質や糖質が少ない食材であることがわかりました。疲労回復効果や老化抑制作用を持つ、イミダゾールジペプチドという成分にも注目したいですね。様々な健康効果を持つ鶏むね肉を、積極的に食事へ取り入れていきましょう。

この記事の監修管理栄養士