「プロテインは体に悪い」これって実際どうなの?
プロテインはたんぱく質を気軽に補給できる栄養補助食品です。しかし、「プロテインは体に悪い」「トレーニングしている人だけが飲むもの」と思っている人も多いかもしれません。今回は、プロテインの成分や飲み方、食生活への取り入れ方について管理栄養士の小山さんに解説していただきました。
監修:
小山 有美(管理栄養士)
栄養士の短大を卒業後、福祉施設・病院での調理、献立作成などを経験後、管理栄養士資格を取得。高齢者向けの栄養講話や料理教室を企画・運営、食事や栄養についてのコラム執筆も行なっている。
プロテインは優秀な栄養補助食品
編集部
プロテインは、どのような人が飲むべきなのでしょうか?
小山さん
プロテインはたんぱく質を補うための栄養補助食品です。ストイックに筋トレをしている方だけではなく、たんぱく質が不足しがちなすべての方におすすめしたい栄養補助食品ですね。厚生労働省の調査によると、戦後から増え続けていた日本人のたんぱく質摂取量は2000年を過ぎたころから急激に下がっています。たんぱく質不足を解消するカギの1つがプロテインになります。
編集部
プロテインの種類は様々ですが、選ぶときのポイントを教えてください。
小山さん
たんぱく質には動物性由来のもの(肉、魚など)、植物性由来のもの(大豆、野菜類など)があります。プロテインも原材料により、「ホエイプロテイン」「ソイプロテイン」「カゼインプロテイン」の3つに分けることができます。簡単に説明すると、
・ホエイプロテイン……体内への吸収が早く、筋肉の修復向け
・ソイプロテイン……低脂質なのでダイエット中の人向け
・カゼインプロテイン……体内への吸収速度が遅く、満腹感が得られる。就寝前、ダイエット中の間食におすすめ
たんぱく質ごとに効用や吸収率等が違いますので、目的に合ったプロテインを選びましょう。
編集部
プロテインは1日のどのタイミングで飲むのがおすすめですか?
小山さん
運動を習慣にしている人は運動後30分以内がゴールデンタイムと言われており、壊れた筋肉を修復する効果が期待できます。 たんぱく質補給が目的の場合は3食の食後や夜寝る前、もしくは間食をプロテインにするという方法もあります。
プロテインを飲み過ぎると、体に不調が起こることも
編集部
「プロテインは体に悪い」と聞いたことがあります。実際にはどうなのでしょうか?
小山さん
適量を守って飲めば、「体に悪い」ものではありません。ただ、飲み過ぎるとたんぱく質の摂り過ぎになってしまいますので気を付けましょう。たんぱく質の適量を知り、足りない分を補うようにして飲めば、飲みすぎを回避できます。
編集部
たんぱく質の適量を知る方法はありますか?
小山さん
1日に必要なたんぱく質量は、おおよそ体重1㎏当たり1~1.5gと言われています。食事で必要量を補えない場合などに、プロテインを取り入れましょう。
編集部
プロテインを飲み過ぎると、どんな不調が起こりますか?
小山さん
1つ目は、腎臓への負担です。たんぱく質が体内で分解されてできた老廃物は、最終的に腎臓で処理されます。たんぱく質摂取量が増え、処理する老廃物量が増加すると腎臓に負担がかかってしまい、腎機能の低下につながることもあります。2つ目は、腸内環境の悪化です。プロテインを飲んでお腹がゆるくなった、お腹にガスが溜まったという経験をしたことはないでしょうか。たんぱく質を摂り過ぎると腸内に悪玉菌が増え、腸内環境を悪化させると言われています。適量を守ってプロテインを飲むことはもちろんですが、腸内環境を整える乳酸菌や食物繊維、水分をしっかり摂ることも重要です。
プロテインをアレンジして、飲み飽きない工夫を
編集部
「プロテインは美味しくない」というイメージがあり、あまり飲みたくありません……。
小山さん
プロテインが日本に広まり始めた1980年代~90年代は、プロテインは美味しくないのが当たり前でした。しかし、現在ではジュース感覚で飲めるフレーバーが数多く登場し、毎日美味しく飲み続けられるものに改良されています。一度試してみてはいかがでしょうか。
編集部
水に溶かして飲むだけでは飽きてしまいそうです。アレンジする方法はありますか?
小山さん
牛乳や豆乳、食物繊維が豊富なアーモンドミルクに溶かして飲むこともできます。また、ヨーグルトに混ぜる、スムージーに混ぜるという方法もいいですね。味のないパウダータイプのプロテインであれば、味噌汁やシチューなどに入れると、手軽にたんぱく質の補給ができます。
編集部
食事+プロテインだとカロリーオーバーが気になります。食事をプロテインのみに置き換えてもいいですか?
小山さん
食事は炭水化物、脂質、たんぱく質の3大栄養素をバランスよく摂ることが基本です。プロテインだけではたんぱく質のみに栄養素が偏ってしまいます。3大栄養素がバランス良く補給できないと、プロテインで摂ったたんぱく質が体内でうまく使われず、効果が半減してしまうかもしれません。たんぱく質が不足していると感じた食事の後、もしくは間食時にプロテインを足すようにしましょう。カロリーが気になる場合は脂質の低いソイプロテインを選ぶと良いでしょう。
編集部まとめ
飲み過ぎによるたんぱく質の過剰摂取を避ければ、プロテインは優秀な補助食品であることがわかりました。フレーバーも様々ですので、上手に取り入れると健康維持やダイエットの味方にもなります。食生活にプロテインを取り入れてみませんか?