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妊娠中の旅行は、何に気をつければ行っても大丈夫?

 更新日:2023/03/27

妊娠中でも旅行に行きたい! と思っている女性も多いはず。少し前に「マタニティ旅行」という言葉が流行したが、妊娠中の旅行は本当に安全なのか。行くとしたらどこに行けばいいの? 旅行に適した時期は? 妊娠中の旅行についての様々な疑問を高山産婦人科・内科の高山先生に伺った。

高山 慶一郎

監修医師
高山 慶一郎(高山産婦人科・内科 院長)

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1982年に東海大学医学部を卒業、1984年に東京慈恵会医科大学附属病院産婦人科に入局。1999年より茅ヶ崎市立病院産婦人科医長、2012年より部長を歴任。2014年に高山産婦人科・内科を開業。医学博士。日本産科婦人科学会専門医、日本臨床細胞学会細胞診専門医の資格も有する。

決しておすすめはできない妊娠中の旅行

決しておすすめはできない妊娠中の旅行

編集部編集部

妊娠中はどの時期に旅行に行けばいいですか?

高山 慶一郎高山先生

産婦人科医師としては、妊娠中の旅行は、基本的にはどの時期でも良しとは言えません。たとえ妊娠安定期であっても、切迫流産などのリスクはありますからね。ただ、どうしても妊娠中に旅行に行きたいということであれば、「妊娠安定期の12週から24週の間に」と伝えています。

編集部編集部

行き先がどこであろうとですよね?

高山 慶一郎高山先生

そうですね。移動という行動自体、妊婦さんの身体には負担がかかります。

編集部編集部

妊娠中の旅行は、何に気をつければいいでしょうか?

高山 慶一郎高山先生

旅行に行く前に必ずかかりつけの産婦人科医に相談するようにしましょう。現状で旅行に行っても大丈夫か判断してくれると思います。妊婦だから……と毎日家にこもっていたら気が滅入るでしょうから。旅先で綺麗な景色をみて、おいしい空気を吸って、おいしいものを食べれば気分転換になりますよね。

もし行くなら移動の少ない近場へ

もし行くなら移動の少ない近場へ

編集部編集部

もし行くなら、できるだけ移動の少ない近場のほうがいいわけですね。

高山 慶一郎高山先生

長期の海外旅行に比べたらまだ近場のほうが、いざというときに安心ではあります。旅先で破水して入院するなどのリスクはゼロではありませんからね。海外で入院となったら何百万円とかかります。さらにはもし未熟児が生まれてしまったら、半年以上旅先で入院、なんてこともあるかもしれません。

編集部編集部

移動の際は何に気をつければいいでしょうか?

高山 慶一郎高山先生

振動に気をつけてください。振動は、胎盤が子宮からはがれる原因になったり、子宮を刺激して子宮収縮(お腹の張り)の原因になったりします。また、水様性の下痢になると、腸がすごく動いて子宮に刺激を与えますし、腸の炎症物質の影響で子宮の収縮が起こることもあります。ですから旅先では、お腹を壊さないように注意することも大切です。

編集部編集部

移動の乗り物は何がいいでしょうか?

高山 慶一郎高山先生

いずれも一長一短ありますので、行く先や状況に合わせてご判断ください。車なら、途中で好きなときに休みながらマイペースで行けるのはいい点ですが、多少なりとも振動がありますし、渋滞にはまると母体に負担をかけるリスクはあります。電車は、時間通りに目的地に行けますが、乗り換えがある場合は大変かもしれません。飛行機は、移動時間は短いですが飛行機は気圧の変動でお腹が張りやすくなりますから注意が必要です。

編集部編集部

冠婚葬祭で遠出しなければ行けなくなったときは、どうしたらいいでしょう?

高山 慶一郎高山先生

行かれる直前に診察を受けて、遠出しても大丈夫か確かめていただくといいですね。ただ、一人での遠出は控えた方がいいでしょう。移動の途中にまったく見ず知らずの土地で何かあったら大変ですからね。

編集部編集部

旅行に行く場合に用意して行ったほうがいいものはありますか?

高山 慶一郎高山先生

保険証と母子手帳はもちろんですが、妊婦検診のときのデータも持っていくことをおすすめします。いざ旅先で病院に行く状況になったとき、妊娠の経過がわかりますから、先方の先生の参考になるはずです。

36週過ぎたらドクターストップの可能性も

36週過ぎたらドクターストップの可能性も

編集部編集部

診察を受けて、ドクターストップがかかることもありますか?

高山 慶一郎高山先生

もちろんありますよ。36週くらいで子宮口が開いてきているときなどは、ドクターストップの可能性は大いにあります。同じ36週でも、診察して子宮口などに問題がなければ行くことは可能です。

編集部編集部

上記以外で気をつけることはありますか?

高山 慶一郎高山先生

飛行機に乗る場合、出産予定日まで28日以内でしたら、搭乗日の7日以内に発行された医師の診断書が必要になります。出産予定日まで7日以内(搭乗日を含む)の場合は、医師の同伴が必要です。いずれにしても、36週を過ぎてどうしても飛行機に乗らなければいけない場合は、各航空会社にご確認いただくといいでしょう。

編集部まとめ

妊娠安定期の12週から24週の間なら旅行は安全、というのは素人の勝手な思い込みのようで、安定期であっても切迫流産のリスクはゼロではないことを覚えておきましょう。行く場合はできるだけ移動の少ない近場がおすすめとのこと。また旅行の際は、行く前に必ずかかりつけの産婦人科医師へ相談するようにしましょう。

医院情報

高山産婦人科・内科

高山産婦人科・内科
所在地 〒253-0105 神奈川県高座郡寒川町岡田5-5-8
アクセス JR相模線「寒川駅」から徒歩15分
診療科目 産婦人科・内科

この記事の監修医師