ニキビ治療にはどんなものがある?ニキビの種類と効果的な予防方法について紹介します
顔を中心に「プツっと」ニキビができていたことがある方は多いのではないでしょうか。1箇所あるだけでも気になり、早く治したいと感じる方は多いでしょう。
普段ニキビができたときに正しい治療方法を行っていますか。正しいニキビ治療を行わないと治りが遅かったり跡に残ったりする要因に繋がります。
この記事ではニキビ治療について詳しくご紹介します。治療方法のほか、予防方法についてもご紹介しますのでこの機会にニキビ治療のことについてきちんと知り、最適なニキビ治療を行えるようにしましょう。
監修医師:
竹内 想(名古屋大学医学部附属病院)
目次 -INDEX-
効果的なニキビ治療を受けよう
あるとき「プツっと」とできるニキビに悩まされたことがある方も少なくないでしょう。通常ニキビと呼ばれていますが、正しくは「尋常性ざ瘡(じんじょうせいざそう)」といいます。
90%以上の方が経験したことがある、皮脂が過剰分泌したり毛穴が詰まったりする慢性炎症疾患となります。皮脂が出やすく詰まりやすいおでこを含むTゾーン・フェイスラインであるUゾーン・頬・背中にできやすいです。
ニキビ治療とひとくちにいってもさまざまあり、主に薬剤で治療していく方法が一般的です。薬剤には外用薬と内服薬があります。
外用薬の中でもいくつかに分けられ、以下の薬剤が有効です。
- 毛穴詰まりを抑制するクリンダマイシンや過酸化ベンゾイルを含有するべピオゲル
- アダパレンを含有するディフェリンゲル
- クリンダマイシンを含有するダラシンTゲル(ローション)
また、肌に存在する常在菌でアクネ菌を抑制させる薬剤として、アクアチムクリームやクリンダマシンゲルがあります。特に炎症を起こしている赤ニキビや化膿したニキビ(膿疱)に有効です。
内服薬もさまざまな種類がありますが、ドキシサイクリンやミノサイクリンがニキビ治療薬としてよく使われます。
また外用薬や内服薬以外の治療方法として、高濃度グリコール酸やトリクロロ酢酸を用いた角質剥離や細胞再生効果のあるケミカルピーリングも候補として挙げられます。
ご自身にできるニキビの種類に合った効果的なニキビ治療を行っていくことが重要です。症状があるときだけではなく、根本から原因を突き止め治療を続け予防を行っていくことが何よりも大切です。
ニキビには種類がある
ニキビはでき初めから治る段階まで同じ状態ではありません。最初は目に見えない程の小さな詰まり(微小面皰(びしょうめんぽう))で徐々に変化していきます。
今回は主に見られる黒ニキビ・白ニキビ・化膿したニキビ・ニキビ跡の4つについてみていきましょう。
黒ニキビ(開放面皰)
毛穴が詰まっているとニキビは肌表面が盛り上がった状態となります。黒ニキビ(開放面皰)は、毛穴の先が開いているため空気に触れることで酸化し黒くなる状態のニキビです。
また皮脂が過剰分泌されることで毛穴の出口が開き、色素生成細胞であるメラノサイトによりつくられるメラニンによって黒くもみえます。
皮脂の分泌がしやすく空気に触れやすい頭皮・顔・首などによくみられます。黒ニキビは状態が進むと白ニキビになる状態と赤ニキビになる状態があるのです。
この段階で症状を改善していくためにも、スキンケア方法や食生活など日常生活の改善が必要です。
白ニキビ(閉鎖面皰)
白ニキビ(閉鎖面皰)とは黒ニキビとは逆で、毛穴の先が閉じている状態です。毛穴の中には皮脂が溜まり、ニキビを発生させる菌であるアクネ菌の塊もみられます。
ニキビは見た目にも関わり、気になるからといって潰そうとする方もいますが控えましょう。ご自身で詰まっている皮脂を押し出そうとすると、アクネ菌や詰まった皮脂がきちんと排出されず中に残ってしまう可能性が高いです。
また、手の雑菌を毛穴の中に入れてしまうことにも繋がり、よりニキビを悪化させてしまいます。
さらに爪や指先で押し出そうとしても医療機器を使用していないため肌の表面に爪跡がつき、その後の肌の見え方にも影響されてしまいます。
ご自身では触らずに適切な治療を行っていきましょう。
化膿したニキビ(膿疱)
黒ニキビが悪化し炎症を起こし(紅色丘疹)、さらに膿んだ状態を膿疱(のうほう)といいます。毛穴周りの肌組織が破壊され詰まっていた皮脂などが漏れ出て炎症を進めます。
人によっては赤く腫れ上がり、触れなくても痛みを伴う状態があるのです。
治療を進めて炎症が治まりニキビ自体が平らになっても一時的に赤みが残る場合がありますが、表皮の新陳代謝であるターンオーバーを繰り返すことで時間の経過とともに消えていきます。
瘢痕(ニキビ跡)
瘢痕(はんこん)とはニキビ跡と呼ばれている状態です。白ニキビを潰すことや炎症が強く肌が盛り上がったケロイド状態により痕が残ることがあります。
瘢痕にも種類があり、肌表面が凹んだり(萎縮性瘢痕)や盛り上がったり(肥厚性瘢痕)や色素沈着からもなるのです。
瘢痕はニキビが治った後も残り続けることがあり、見た目にも影響されるため長期間に渡り悩ましい問題となります。特に肌表面が凹んだ状態の萎縮性瘢痕はメイクで隠すことは難しいものです。
瘢痕には外用剤での治療よりもレーザー治療が有効です。タイプによって照射する回数が変わりますが、回数を重ねるごとに改善が見られるでしょう。
ニキビの種類ごとに適切な治療方法がある
ニキビはそのときの状態により種類が異なることをお伝えしましたが、ニキビの種類ごとに治療方法も変わってきます。
まず黒ニキビは毛穴詰まりに有効なディフェリンゲル(アダパレン含有)が強く推奨されています。毛穴詰まりを抑制させる抗生物質の一つでもあるクリンダマイシンと過酸化ベンゾイル配合のべピオゲルも有効です。
これらの薬剤は硬くなった毛穴詰まりを和らげる作用が働くため、使い始めは赤みや痒みが出る場合もあります。特に初めて使う際には、皮膚科専門医と相談しながら肌に合う薬剤を使用してください。
白ニキビは黒ニキビと同様にディフェリンゲルやべピオゲルが有効です。
特に過酸化ベンゾイルは毛穴詰まりを改善するほか、アクネ菌にも有効とされています。炎症が起きそうなときに使うと改善が見られるでしょう。
また薬剤を用いた治療のほか、毛穴に詰まっている皮脂を医療機器の針で穴を開け押し出す面皰圧出(めんぽうあっしゅつ)という治療方法もあります。
医療器具を使い適切な処置で詰まっている皮脂などを取り出すので、治癒も早く瘢痕が残りにくい方法です。
化膿し赤みのあるニキビには、いくつかの治療方法を取り入れたり2種類の薬剤を併用したりする治療方法をとります。
アクネ菌を抑える働きがある有効な塗り薬として、アクアチムクリームやクリンダマイシンを用います。副作用はほとんどありませんが、人によっては出る可能性もあるので使い始めは様子をみながら使っていきましょう。
また化膿したニキビには塗り薬のほかに、ドキシサイクリンやミノサイクリンなどの内服薬を用います。ただし、耐性菌の増加を防ぐためにも長期間の服用は控えましょう。飲み続けてしまうと効果が弱くなり効きにくくなってしまいます。
また腸内細菌数を抑えたり、女性であれば膣の常在菌を抑えてしまい膣炎を発症したりすることにも繋がってしまうのです。
投与は飲み始めてから3ヶ月までとし、6〜8週間を目処にニキビの状態を確認し継続するかどうかを判断します。
内服薬のみや外用薬でも抗菌薬との併用は避け、外用薬を使うのであれば過酸化ベンゾイルやアダパレンとの併用がよいでしょう。アダパレンは抗炎症作用を持ち、どのような状態のニキビにも全般に使用が推奨されています。
最後に瘢痕には外用薬よりも色素沈着ならケミカルピーリング・凹みならレーザー治療がよいでしょう。
まずケミカルピーリングは、グリコール酸やトリクロロ酢酸の薬剤を主に使用し、皮膚再生を促します。人により浮腫や糜爛などが起こることもあり、薬剤の濃度・ph・皮膚状態・施術後のケアなど注意点が多く、必ず医師のもとで施術を行うようにしてください。
レーザーはフラクショナルレーザーを用い、正常な皮膚を残した状態でマイクロビームを一定の密度で皮膚に照射していきます。治療回数を重ねるごとにニキビ改善効果が見られるでしょう。
そのときのニキビの状態を把握し、正しい治療を行っていくことが重要です。
主なニキビ治療を紹介
ニキビができてしまったときに効果が見込めるニキビ治療方法を知っておくことは重要ですが、そもそもニキビができにくい肌を目指していくことも重要です。
瘢痕(ニキビ跡)
先述している薬剤のディフェリンゲル・べピオゲル・アクアチアクリーム・クリンダマイシンゲルなどを、ご自身のニキビの状態に合わせて使用していくことが望ましいです。
上記の薬剤は皮膚科専門医で処方されるため保険適用になります。ニキビや肌の状態は個人差があるため医師と相談のうえ、どのような治療方針で行っていくのか決めましょう。
ご自身に合わない・効果がみられない薬剤を使用していても治りが遅くなり、新たなニキビが発生する可能性もあるため、医師と相談しながら効率よくニキビ治療を進めていきましょう。
ケミカルピーリング(自由診療)
先述したようにケミカルピーリングではトリクロロ酢酸や高濃度グリコール酸を用い、肌の新陳代謝であるターンオーバーを促す施術です。
瘢痕に効果が期待できる施術ですが、人によっては副作用が強い場合があります。
また、施術後は日焼け止めの使用が推奨されるため遮光が十分にできない・妊娠や授乳中・アレルギー性接触皮膚炎があるなど、何らかの事情で施術が行えない場合もあるので施術できるかどうか医師とよく確認しましょう。
そのほかケミカルピーリングは保険適用外治療になりますので、費用面においても注意してください。
ニキビ治療の前の予防も大事
ニキビができてしまったときに効果が見込めるニキビ治療方法を知っておくことは重要ですが、そもそもニキビができにくい肌を目指していくことも重要です。
ニキビ治療を行っていく際に時間や費用がかかり、人によっては長期間ニキビに悩まされないといけません。
ニキビの予防対策はさまざまありますが、まずはストレスを溜めないように心がけましょう。特に環境や人間関係による心理的ストレスは、ニキビを悪化させるといわれています。
またストレスを受けると肌老化を促す活性酸素がつくられ、健康な細胞に悪影響を与え免疫力が低下することでニキビの原因であるアクネ菌などが繁殖しやすくなってしまいます。
体質や肌状態によりニキビができやすい・できにくいはありますが、ご自身と相性がよく継続できる予防法を取り入れてニキビができにくい肌を目指しましょう。
ニキビの効果的な予防方法
ニキビの効果的な予防方法についてみていきましょう。先述したストレス対策も重要ですが、スキンケア・睡眠・毎日の食事も予防に欠かせません。
ご自身の日常生活に合わせ無理なく取り入れやすい方法や変更できることがあるのなら、ぜひ取り組んでいきましょう。
丁寧なスキンケア
ご自身のそのときの肌状態に合ったスキンケアを行なっていくことは重要です。
肌を触るときは擦らずやさしく触るように心がけましょう。特に、洗顔をする際に余分な皮脂を取り除こうとゴシゴシと強く擦るような洗い方をしている方は見直しましょう。
肌を擦ることで刺激を与えてしまいニキビがある場合、悪化する恐れがあります。洗顔ネットなどを使い十分は泡をつくり、肌に手が触れないように泡で洗う感覚で行いましょう。
肌を直接触らなくても表面や余分な皮脂はきちんと落ちます。また、皮脂が気になるからといって1日に何回も洗顔することも控えましょう。
肌に必要な潤いまで洗い流されてしまい、肌が乾燥しないようにとより皮脂を出そうを働いてしまいます。
また、化粧水や乳液などのスキンケアアイテムはニキビができにくい処方であるノンコメドジェニックの使用が好ましいでしょう。
肌の水分と油分のバランスに注目することも念頭に置いてください。個人差はありますが年齢を重ねるごと水分量は低下し油分量は増加します。
肌状態を確認しつつ、スキンケア方法を変えていきましょう。
さらに日々の紫外線対策も重要です。紫外線に含まれる UVA波やUVB波は皮膚の中で活性酸素を発生させ、肌老化や炎症を引き起こす要因に繋がります。
特に、ニキビ治療中の方で強い紫外線に当たってしまうと副作用が出る場合もあります。家の中にいても紫外線は窓ガラスを通して入ってきますので、日中屋内外に問わず日焼け止めを使用してください。
睡眠を十分にとる
日々十分な睡眠が取れていないと肌の再生に必要な成長ホルモンの分泌が行われず、ターンオーバーが正常に行われません。皮脂の分泌はホルモンによって制限されています。
眠り始めの深い眠り(ノンレム睡眠)のときに、成長ホルモンの分泌が盛んになります。しかし、睡眠不足が続くことで成長ホルモンの分泌が低下してしまうのです。
またホルモンバランスが崩れることにも繋がるので、ニキビが悪化しやすくなってしまいます。できるだけ決まった時間に睡眠を取るようにし、正常な肌の再生を促していきましょう。
栄養バランスを整える
普段何気なく摂っている食事もニキビ予防に非常に重要です。高脂質や高カロリーな食事には動物性脂質や糖質が多く含まれ、皮脂の分泌を高めてしまうため過剰摂取は控えましょう。
ただし高脂質や高カロリー食品がまったくいけないのではなく、脂質や糖質は身体をつくるうえでエネルギー源となる食品でもあります。
食事はタンパク質を基本とし、緑黄色野菜やビタミンを多く含むメニューにしましょう。また、腸内環境を整えると善玉菌が増え悪玉菌になる有害物質が減るため、肌改善にも繋がります。
極端な食生活を行うのではなく、栄養バランスを考えた食事を摂りましょう。
ニキビ治療についてもっと詳しく知りたい場合は
ニキビができてしまったときはご自身で対処するのではなく、まずは皮膚科専門医を訪れましょう。医師が症状を診断し、適切な治療を進めていくことで改善に導きます。
放っておいても症状の改善は難しく、正しい治療を行わないとさらなるニキビが発生することにも繋がるでしょう。
正しい治療を行い予防法を取り入れていくことで、改善が見込める症状です。悩まずにまずは皮膚科専門医を受診し、医師と相談しながら治療方針を決めていきましょう。
編集部まとめ
ニキビは顔に1つあるだけでも気になり憂鬱な気分にさせる症状です。人により治療期間がかかる場合はありますが、ご自身の肌やニキビの状態を把握し正しい治療方法を取り入れることで改善が見られるでしょう。
また、ニキビが発生しないように日常生活に予防方法を取り入れていくことも重要です。治療方法と予防方法を上手に取り入れ、ニキビと向き合っていきましょう。
参考文献