いびき治療の重要性|見逃しがちな睡眠時無呼吸症候群の初期症状や治療方法
更新日:2025/09/10

いびきは「疲れているだけ」「体質だから」と軽く考えられがちですが、実は深刻な病気のサインであることも少なくありません。特に、睡眠時無呼吸症候群(SAS)は初期症状が気づかれにくく、放置すると命に関わる危険もあります。大切な人が「いびきをかいているな」と感じたとき、それは受診を勧めるタイミングかもしれません。 本記事では、いびきと睡眠時無呼吸症候群の関係、初期症状、そして専門的な治療方法についてわかりやすく解説します。

監修医師:
坂口 雄介(ひばりが丘みみはなのどクリニック)
プロフィールをもっと見る
東邦大学医療センター大橋病院 入局
東京慈恵会医科大学附属病院
獨協医科大学附属病院
東京慈恵会医科大学附属病院
獨協医科大学附属病院
目次 -INDEX-
いびきは病気のサイン?
いびきは、身体の調子やストレスなどによって誰でも発生する可能性がありますが、身体からの重要な警告かもしれません。いびきを軽く考えて放置すると、睡眠の質を低下させるだけでなく、健康全般に悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、いびきを放置した際に考えられるリスクや、睡眠時無呼吸症候群との関係を解説します。
いびきは自覚するのが難しい
いびきは眠っている間に起こるため自身で自覚をするのが難しく、家族や同居人から指摘をされて初めて気付くケースがほとんどです。また、指摘されても無自覚なため、改善の重要性を感じない場合もあり、診察や診断を進める際の障害になることもあります。 いびきを自覚すると同時に、いびきは身体からの何らかのサインだと意識することが大切です。いびきを放置するリスク
いびきとは、睡眠時の呼吸の際に空気の通り道が狭くなり、喉が振動して音が鳴る現象です。鼻詰まりや疲労などによる短期的ないびきであれば問題ありませんが、肥満や顎が小さいなどが理由のいびきを放置するのは大きなリスクにつながります。 いびきを放置すると、慢性的な睡眠不足につながり日中の眠気や集中力低下を引き起こす可能性があります。さらに、血圧や心臓への負担が増し、健常人と比べて合併症リスクは高血圧・脳卒中は3倍、心臓病の発症は2~4倍、メタボリックシンドロームは3.4倍、2型糖尿病は5倍、心筋梗塞・脳卒中での死亡リスクは2~4倍高まる可能性もあります。いびきと睡眠時無呼吸症候群の関係
いびきが深刻な病気とつながる代表例が、睡眠時無呼吸症候群(SAS)です。これは眠っている間に何度も呼吸が止まる病気で、重症化すると心筋梗塞や脳卒中など命に関わる事態にもなり得ます。実際、いびきの裏にこの病気が隠れているケースは少なくありません。 最初はただのいびきだったものが、肥満や筋肉の弱まりによって気道が閉じやすくなるケースもあります。慢性的ないびきを自覚した際は、睡眠時無呼吸症候群へと重症化しないように早期に治療を行うのが重要です。睡眠時無呼吸症候群(SAS)の初期症状
睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、自覚できる初期症状が乏しいため、発見が遅れやすい病気です。以下の症状が見られる場合は、早めに医療機関で相談することが大切です。
睡眠時の慢性的ないびき
毎晩のように大きないびきをかくのは、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の典型的なサインです。慢性的にいびきをかいている場合は睡眠時無呼吸症候群(SAS)の初期症状の可能性が高く、また発症していなくても予備軍であるケースが少なくありません。 いびきは慢性化しても自身で気付くことは少なく、家族や同居人から指摘されて初めて気付くケースがほとんどです。慢性的ないびきを指摘された場合は軽く考えずに、医療機関の受診を検討しましょう。寝返りやトイレで夜中に目が覚める
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症していると酸素不足による覚醒反応を繰り返すため、眠りが浅くなりちょっとした身体の動きや尿意によって目が覚めやすくなります。 熟睡できないことで「寝ても疲れが取れない」という感覚が強くなり、翌朝からだるさを抱えたまま一日を過ごすことになります。寝起きの頭痛やだるさ、口腔内の不快感
睡眠時無呼吸症候群(SAS)の患者さんにとって、寝起きの頭痛はよく見られる傾向です。これは睡眠時の酸素不足による低酸素血症や高炭酸ガス血症、単純な睡眠不足などに原因があると考えられています。またそれに伴う身体のだるさも症状の一つです。このほかにも、口呼吸による寝起き時の口腔内の不快感も症状として挙げられます。 これらの不快感は単なる寝不足ではなく、睡眠時無呼吸が原因となっている可能性があります。日中の眠気や集中力の低下
睡眠時無呼吸症候群(SAS)を発症すると、睡眠時に酸素不足による覚醒反応を繰り返すことになります。そのため睡眠時間に対する実睡眠時間や深い睡眠も減少してしまい、日常生活に支障が出るケースも少なくありません。 日中に強い眠気が襲ってくる、集中力が続かない、会議中や授業中に眠ってしまう、車の運転中に強い眠気に襲われるといったケースも少なくありません。これは本人だけでなく周囲の安全にも直結する重大な問題です。耳鼻科医による睡眠時無呼吸症候群やいびきの治療
いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療と聞くと呼吸器内科や睡眠に関する外来を思い浮かべる方もいるでしょう。しかし、気道上部の閉塞や気道の狭さが影響する睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療は、耳鼻科医の専門的な診察が欠かせません。耳鼻科で治療する場合、どのような検査や治療が行われるのかを解説します。
検査と診断の流れ
まずは、問診で睡眠の状況や日中の症状を丁寧に確認します。そして睡眠時無呼吸症候群(SAS)の疑いがある場合、簡易型検査装置を使用したスクリーニング検査を行います。スクリーニング検査とは睡眠時の呼吸や血中酸素の状態を測定し、睡眠呼吸障害の程度(AHI)を調べる方法です。検査方法には指先に付けたセンサーによって睡眠時の動脈血の酸素飽和度を調べるパルスオキシメトリ法や、鼻と口先に装着し睡眠時の無呼吸や低呼吸を確認するフローセンサ法などがあります。 自宅でできる簡易検査から、専門施設で行う精密検査まであり、症状に応じて使い分けられます。こうした客観的なデータをもとに、的確な診断が行われます。いびきの治療方法
治療方法は、症状の程度や原因によって異なります。軽度の場合は生活習慣の改善や減量、マウスピースの使用で改善が期待できます。中等度以上の睡眠時無呼吸症候群(SAS)では、CPAP(シーパップ)と呼ばれる装置を使って気道を確保する治療が一般的です。鼻や喉に解剖学的な問題がある場合は、手術を検討することもあります。 いずれにしても、耳鼻科医による適切な治療は、患者さんの生活の質を大きく改善します。睡眠時無呼吸症候群やいびきを治療する重要性
いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)を放置すると、健康を損なうばかりか命の危険につながる可能性もあります。一方で症状の自覚は他人の指摘から始まるケースも多く、デリケートな問題も含んでいる点に注意が必要です。ここでは治療の重要性や、どのように治療を進めるのがよいかを解説します。
他人事ではない「身近な命」を守る
いびきを放置して睡眠時無呼吸症候群(SAS)に悪化すると、高血圧や心臓病、糖尿病などにつながる危険性があります。場合によっては命に関わるケースも少なくありません。 いびきの発覚は本人の自覚よりも、周囲が気付いて指摘するケースがほとんどです。「最近いびきが大きい」「呼吸が止まっていた」と感じたら、ためらわずに受診を勧めることが大切です。受診を勧める際の伝え方と注意点
いびきは深刻な病気につながる危険性がある反面、自覚することが難しいため、周囲が受診を勧めることが重要です。いびきをかくことを恥ずかしいと感じている方も少なくないため、「うるさいから」「自分が眠れないから」といった伝え方ではなく、重症化すると命の危険にもつながる点や不眠を心配するなど、相手の健康を気遣って寄り添う姿勢が大切です。身近な方の言葉が、受診への大きな一歩につながります。迷ったら一度相談!早期受診が大切
慢性的ないびきを放置した場合、重症化することはあっても自然に改善するケースはほとんどないといわれています。ご自身や周囲のいびきに悩んだ際は、まずは一度医師に相談することが大切です。 早期に受診することで睡眠時無呼吸症候群(SAS)やほかの合併症の罹患を避けるだけでなく、慢性的な寝不足や集中力の低下など日常的な不調の改善にもつながります。 「ただのいびき」と考えず、少しでも不安を感じたら迷わず耳鼻科を受診し、早期発見・早期治療で健康と命を守りましょう。いびき治療はひばりが丘みみはなのどクリニックにご相談を
いびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、単なる生活習慣の問題ではなく、全身の健康に深く関わる重大な症状です。早期の受診と専門的な治療が欠かせません。
ひばりが丘みみはなのどクリニックでは、耳鼻咽喉科専門の医師が患者さん一人ひとりの症状を丁寧に診察し、適切な検査と治療を提供しています。ここからは、ひばりが丘みみはなのどクリニックの特長を詳しく紹介します。
耳鼻咽喉科専門の医師による丁寧な診察
いびきの原因は人によって異なり、鼻づまりや扁桃肥大、アレルギー、肥満など多岐にわたります。ひばりが丘みみはなのどクリニックの院長は日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 耳鼻咽喉科専門医・補聴器相談医の資格を持つ、耳鼻咽頭のスペシャリストです。患者さんの症状を総合的に評価し、診療から治療まで患者さんが理解しやすいよう、目で見てわかりやすい丁寧な治療を心がけられています。 Web問診や検査データなどを使用して、患者さんが納得いくまで治療方法を説明してくれるので、気になったことは何でも相談するとよいでしょう。睡眠検査やCPAP治療など専門性の高いいびき治療
ひばりが丘みみはなのどクリニックでは、いびきに対して簡易型検査装置だけでなく、通常では入院が必要になる精密検査も可能です。
精密検査が必要と判断された患者さんには、自宅で行える終夜睡眠ポリグラフ検査の手配もしています。検査の結果、治療が必要と判断された場合にはCPAP治療をはじめとしたさまざまな治療の提案が可能です。また、治療方法を提案する際は、咽頭ファイバーや血液検査、CT検査などを行い、専門的な判断から患者さんの状況に合った治療を選択されています。
耳・鼻・のどの症状やアレルギーの診療にも対応する地域密着のクリニック
ひばりが丘みみはなのどクリニックではいびきや睡眠時無呼吸症候群(SAS)の治療だけでなく、鼻炎や副鼻腔炎、アレルギー、補聴器の相談など幅広い症例に対応しています。 アレルギーに対しては舌下免疫療法のような専門性の高い治療も行うなど、小さなお子さんからご高齢の方まで、地域に密着した治療を行われています。さらに患者さんの健康に配慮し、放射線被ばく量の少ない副鼻腔CTを取り入れています。 いびきや睡眠に関する不安がある方は、専門的な診断と治療を通じて安心して眠れるようにサポートしてくれるひばりが丘みみはなのどクリニックに相談してみてはいかがでしょうか。ひばりが丘みみはなのどクリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療期間・治療回数
西武池袋線 ひばりヶ丘駅 徒歩10分
| 診療時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 09:30~13:00 | - | ● | ● | ● | ● | ▲ | ー | ー |
| 15:00~18:00 | - | ● | ● | ● | ● | - | ー | ー |
参考文献
- どう取り組むいびきと無呼吸
- 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~ 睡眠時無呼吸症候群 / SAS(すいみんじむこきゅうしょうこうぐん)|厚生労働省
- 睡眠時無呼吸症候群とは?|一般財団法人運輸・交通SAS 対策支援センター
- 睡眠関連呼吸障害|国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部
- 健康づくりのための睡眠ガイド 2023
- 118.睡眠時無呼吸を伴う患者における睡眠中の寝返りに関する検討
- 早朝頭痛を認めた片頭痛患者における閉塞性睡眠時無呼吸症候群の検討
- 睡眠時無呼吸症候群を耳鼻咽喉科で治療できること知っていますか?|一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
- 自動車運送事業者における睡眠時無呼吸症候群対策マニュアル~SAS対策の必要性と活用~
- 外来医療(その3)



