白内障手術で使用する眼内レンズの種類や特徴、選び方のポイントを解説!
白内障は、一度発症すると自然に治癒することはなく、手術によって治療する必要があります。多くの方が、白内障手術によって快適な視界を取り戻しています。
白内障手術に用いられる眼内レンズには種類があり、レンズによって見え方は異なります。
この記事では、白内障手術で使用する眼内レンズの種類と選び方を解説します。白内障手術を検討中の方は参考にしてください。
監修医師:
安田 向壱(めめ眼科船橋)
目次 -INDEX-
白内障とは
眼は、外からの情報を得るための重要な器官です。眼の疾患を患うと生活に大きな支障をきたします。
眼の疾患のなかでも身近な白内障とは、どのような疾患なのか解説します。
白内障の症状
眼は、水晶体と呼ばれる透明なレンズが光のピントを合わせ、像を結ぶ網膜に届けることで映像を認識します。
白内障とは、この水晶体が白く混濁してしまう疾患です。本来は透明なはずの水晶体が混濁すると、網膜に達する光の異常錯乱や透過性の低下が引き起こされます。これにより、視界のかすみ・ぼやけを感じたり光をまぶしく感じたりするなどの症状が起こり、視力が低下していきます。
ただし、軽度の場合は見え方に影響が出にくく、一過性の症状と誤認して放置してしまう患者さんも少なくありません。
白内障の原因
白内障には大きく分けて、出生時もしくは出生後早期から発症する先天性白内障と、さまざまな要因により発症する後天性白内障があります。
後天性白内障の主な原因は加齢です。水晶体の50%はたんぱく質で構成されており、加齢とともに水晶体のタンパク質が活性酸素で変化して混濁が生じます。白内障は40代あたりからみたれ、50代で増加、80代で多くの方が罹患するといわれています。
加齢のほかにも、糖尿病やアトピーなどの疾患、長期のステロイド使用、ぶどう膜炎・網膜剥離などの眼の病気、外傷などが白内障の原因と考えられています。
白内障を放置するリスク
白内障を放置していると視力低下が進み、失明する危険性が高くなります。2011年のWHOの発表によると世界の視覚障害原因の33%、また失明原因の51%を白内障が占めているそうです。
日本国内では失明にまで至るケースは少ないものの、放置していても症状が改善することはありません。
視力の低下や見え方の変化は日常生活全般に影響を及ぼすため、白内障の疑いがある方は放置しないようにしましょう。
白内障の治療方法
白内障が軽度の場合は、進行を遅らせる点眼薬で経過観察を行います。一方、白内障による視機能低下の自覚症状があり、かつ患者さんが改善を望む場合には手術によって治療します。
白内障手術は、角膜(黒目)と強膜(白目)の境目付近に2~3mm程度の小さな切開を行い、そこから超音波手術装置を眼内に挿入します。装置により混濁した水晶体を取り除き、水晶体の代わりとなる眼内レンズを挿入して視力の改善を図ります。創口は自然に閉鎖するため、原則として縫合する必要はありません。ほとんどのケースで局所麻酔が用いられ、20分程度の手術時間で終了します。手術中・手術後に強い痛みが出ることは極めて少なく、日帰り手術(※)を行う医院も多く、患者さんに負担の少ない手術となっています。
(※)術前の検査、術後の経過観察が必要です。
白内障手術で使用する眼内レンズとは?
初期の白内障手術は混濁した水晶体を取り除くだけのものだったため、患者さんは手術後に強度の遠視となってしまっていました。その後誕生したのが、人工水晶体の眼内レンズです。
眼内レンズは、丸いレンズ本体と、眼内にレンズを固定するための2本の支持部で構成されています。レンズの直径は約6mmと小さく、ほとんどがやわらかいアクリル樹脂でできています。そのため、レンズの直径より小さな切開でもレンズを折りたたんだ状態で挿入することが可能です。
眼内でも安定する素材で作られており、手術後の患者さんの生活がより快適なものとなるよう今なお進化を続けています。
眼内レンズの種類・特徴・注意点
眼内レンズを選択するうえで、どのような種類があるかを知っておくことは重要です。それぞれの特徴と注意点を理解していれば、自分に合った眼内レンズを決定できるでしょう。
以下に、眼内レンズの種類と特徴を解説します。
眼内レンズの種類
眼内レンズには、大きく分けて単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2種類があります。
実際の水晶体は自在にピントを合わせますが、眼内レンズは人工物のため自動でピントを合わせることはできません。あらかじめ設定された距離に焦点が合うように作られています。
また、もともと乱視がある患者さんは乱視矯正眼内レンズも選択可能です。トーリック眼内レンズと呼ばれ、こちらも単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズがあります。トーリック眼内レンズの適応となるかは医師が判断します。
単焦点眼内レンズ
単焦点眼内レンズは、ある1点の距離に焦点を合わせる眼内レンズです。
眼内レンズを用いた白内障手術が始まって以来用いられてきたもので、白内障患者さんの90%以上が装用しているといわれています。
単焦点眼内レンズの特徴
単焦点眼内レンズを用いる際は、患者さんが焦点を合わせたい距離を決めて手術を行います。焦点が1点に定まっていることにより、クリアな視界を得やすいのが特徴です。見え方のコントラストが鮮明で、焦点の範囲内であれば暗いところでも見やすいでしょう。
単焦点眼内レンズは保険適用のため、手術費用を抑えられるのもメリットです。単焦点のトーリック眼内レンズも保険適用となります。
単焦点眼内レンズの注意点
焦点が1点にしか合わないため、焦点が合わない距離を見る場面では眼鏡が必要です。
例えば、手元に焦点が合うようにした場合、1m程度の中間距離より遠いものには焦点が合わないため眼鏡で調整することになります。反対に、遠方に焦点を合わせた場合は、新聞やスマートフォンなど手元を見る際に眼鏡が必要になるでしょう。
患者さんの生活に合わせて、どの位置に焦点を合わせるか検討することが大切です。
多焦点眼内レンズ
多焦点眼内レンズは、ある2点や3点の距離に焦点を合わせる眼内レンズです。焦点の数によって、2焦点レンズや3焦点レンズなどの呼び方をします。
多焦点眼内レンズの特徴
多焦点眼内レンズでは手元の30~50mの近方や1mまでの中間距離、また5m以上の遠方のうち2点か3点に焦点が合うため、眼鏡の必要性が減少します。手元と遠方の両方に同時に焦点が合い、裸眼で日常生活を送れる方もいるでしょう。また多焦点眼内レンズは種類が豊富で、より自分の希望に合ったレンズを選びやすい点もメリットです。
多焦点眼内レンズの注意点
複数箇所に焦点が合うものの、見え方のコントラストや暗いところでの見え方は単焦点眼内レンズに劣ります。手術後には、多焦点眼内レンズの見え方に慣れるまでにしばらく時間を要するでしょう。また、夜間は車のヘッドライトやネオンサインがまぶしく感じることもあります。
また、緑内障や網膜の病気がある場合、多焦点眼内レンズの適応外となるので注意しましょう。
費用面では、保険適用外となるため単焦点眼内レンズに比べて高額となります。医院によって異なりますが、片眼で200,000〜400,000円(税込)程が費用相場です。
眼内レンズの選び方のポイント
使用する眼内レンズによって見え方が異なるため、眼内レンズを選ぶ際には慎重な検討が必要です。より快適な視界を手に入れるために、押さえておきたい選び方の3つのポイントを解説します。
生活スタイルに合う焦点距離で選ぶ
眼内レンズを選ぶ際に重要なのは、焦点距離が自分の生活スタイルに合っているかどうかです。普段の生活から、どの距離に焦点を合わせるのがよいかをじっくり検討しましょう。
例えば、車の運転をする機会が多い方や家の外でアクティブに行動するのが好きな方は、5m以上の遠方に焦点距離を合わせるのがよいでしょう。
対して、室内で過ごすのが多い方や本や新聞をクリアな視界で読みたい方は、手元の30cm程度に焦点距離を合わせるのが適しています。
このように、普段の生活スタイルを具体的にイメージして検討することが大切です。
費用を考慮して選ぶ
使用する眼内レンズによって費用が異なります。白内障手術自体は保険適用となりますが、眼内レンズの種類で費用が大きく異なるため、費用を考慮するのも大切です。
なるべく費用を抑えたい方は、保険適用される単焦点眼内レンズがおすすめです。
多焦点眼内レンズの場合は、選ぶレンズや手術を受ける医院によって費用が変動します。
医師とよく相談のうえ、眼内レンズの種類を選ぶとよいでしょう。
利便性を優先して選ぶ
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズのどちらがより自分に合っているかを選ぶのが難しく感じる場合には、利便性を優先する選び方もあります。
両者の大きな違いは、日常的な眼鏡の併用が必要になるかどうかです。どちらのレンズを使用しても眼鏡が必要になる可能性はありますが、多焦点眼内レンズの方が眼鏡の使用頻度は少なくなるため、頻繁に眼鏡を使用するのが煩わしいと感じる方は多焦点眼内レンズが向いているでしょう。
反対に、仕事や趣味で細かい作業をする機会が多い方は、多焦点眼内レンズの見え方の質では不十分に感じる恐れがあります。そのような場合には、裸眼でもよりクリアで鮮明に見えやすい単焦点眼内レンズの方が適しているでしょう。
白内障手術や眼の悩みはめめ眼科船橋にご相談を
白内障やその他の眼の症状でお困りの方は、めめ眼科船橋を受診してみてはいかがでしょうか。
めめ眼科船橋は、白内障・緑内障・網膜硝子体などの手術にも注力している眼科医院です。以下に、めめ眼科船橋の3つの特長を紹介します。
駐車場完備!Web・LINE予約や土曜の診療で通いやすさに配慮
2024年5月に新規開院しためめ眼科船橋は、患者さんの通いやすさに配慮しているといいます。
提携駐車場は合計120台分あり、車でのアクセスが便利です。
また、WebやLINEからの予約が可能です。待ち時間を軽減するとともに、LINEで自分の順番をいつでもチェックできるので、待合室で密になるのを防げます。
平日は18時まで、土曜も14時まで診療が行われているので、平日は忙しく通院が難しい方も土曜の診療を検討できるでしょう。
めめ眼科船橋は、「見える喜びをあなたにも」をモットーに、地域に根ざした眼科医療の提供を目指しています。
眼内レンズの知識が豊富な眼のスペシャリストによる白内障手術
めめ眼科船橋の安田向壱院長は、日本眼科学会 眼科専門医や、チン小帯脆弱やチン小帯断裂の患者さんに対する白内障手術の安全性を高める水晶体嚢拡張リングの認定医資格も有する、経験豊富な眼のスペシャリストです。日本網膜硝子体学会などにも所属しています。
大学病院で外来診療・手術治療を中心に研鑽を積み、その経験で培った多彩な知識と技術により患者さんに負担の少ない手術を提供されています。
また、大学附属病院で多焦点眼内レンズの責任者を務めるなど眼内レンズの知識も豊富なため、レンズの種類に悩んでいる方も安田院長に相談すればより自分に合うものを選べるでしょう。
一般眼科から日帰り硝子体手術まであらゆる眼のお悩みに対応
眼の健康を維持するためには、問題の早期発見が欠かせません。そのため、めめ眼科船橋では高度な医療を提供するために先進的な設備を導入しています。
近視や遠視、乱視等と角膜のカーブ(曲率半径)、眼圧や角膜形状解析などを短時間かつ自動で測定できる機器や、後発白内障や緑内障の治療ができる新しいレーザー治療機器、眼科手術用顕微鏡、白内障・硝子体の両方の手術ができる機器など、一般外科から白内障手術まで、患者さんのあらゆる眼のお悩みに迅速に対応できる環境が整っています。
また、白内障手術だけでなく、硝子体・緑内障の日帰り手術や硝子体注射も提供するなど、患者さんのあらゆる症状に対応できるよう環境を整え、適切な医療を行われています。
些細な眼の症状でも、めめ眼科船橋に相談してみてはいかがでしょうか。
めめ眼科船橋の基本情報
アクセス・住所・診療時間・費用・治療回数・治療期間
京成本線 実籾駅徒歩15分
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▲:9:00~14:00
受付終了時間は診療時間終了の30分前までです
【費用(税込)】多焦点眼内レンズ
【治療期間】
【治療回数】
参考文献