訪問診療の対象になる人は?往診との違いや利用の流れ、費用も解説
訪問診療によって、通院が困難な患者さんでも自宅で医療を受けることができます。
この記事では、訪問診療の対象になる方や訪問診療と往診の違い、訪問診療の利用の流れや費用について解説します。訪問診療を検討中の方は参考にしてください。
監修医師:
田代 眞理(石川クリニック)
1987年 神戸市立中央市民病院 勤務
1990年 大阪市立大学大学院 入学
1994年 大阪市立大学大学院 博士課程修了
1994年 La Jolla Institute for Immunology 留学
1997年 大阪市立大学附属病院 勤務
2001年 高石加茂病院 勤務
2002年 石川クリニック 勤務
目次 -INDEX-
訪問診療の対象になる人
訪問診療の対象になるのは、主に以下のような条件に当てはまる方です。訪問診療を希望する場合は、条件に合うかどうか確認しましょう。
加齢で通院が困難な人
年齢を重ねて外出が難しく、定期的な通院が厳しい方は、訪問診療の対象になります。寝たきり、あるいは寝たきりに準ずる状態だと、今まで通っていたかかりつけの病院への通院が厳しいと感じる人もいるでしょう。
サポートがあれば外出できるものの、通院のために定期的にサポートしてくれる方がいない場合も、訪問診療の対象となることがあります。
障がいの影響で通院が困難な人
年齢にかかわらず障がいがあって外出が困難な方は訪問診療を受けることができます。また、足が不自由で車椅子を使用しているものの、病院までの道がバリアフリーではなく移動が困難な場合も訪問診療を受けられるでしょう。
認知症や精神疾患などの理由で外出や定期的な通院が難しい方も、訪問診療の対象となる場合があります。
退院後に自宅で療養している人
退院後、自宅で療養している人も訪問診療を受けることができます。退院したものの定期的な通院は厳しい人や、胃ろう・人工呼吸器・カテーテルなどの医療機器を使っていて移動が厳しい方も対象です。再度入院をすることに抵抗感があり、自宅や施設での療養生活を送りたい人も訪問診療の対象となります。
この場合、訪問診療を開始しても今まで診察してもらっていた病院に定期的に通院することも可能です。日々の生活のケアや診察は訪問診療で行い、専門的な治療は主治医の先生に診てもらうなど、状況に応じて使い分けることもできます。
自宅で緩和ケアを行いたい人
がんの治療中は、緩和ケアによって心身のつらさをやわらげることがあります。
緩和ケアを病院ではなく自宅で行いたい方も、訪問診療の対象となります。症状が悪化した場合や体調が悪くなった場合には、提携する病院等で診察を受けたり入院したりできるでしょう。
また、介護者の体調が悪くなった場合や心身の負担を感じた場合に利用できる、短期の入院(レスパイト入院)などのサービスを提供している病院や施設もあります。
訪問診療と往診の違い
自宅もしくは施設で、病院で受けられる医療サービスを受けられるようにすることを在宅医療といいます。在宅医療は大別すると、訪問診療と往診の2つに分けることができます。それらの違いについて解説します。
訪問診療の特徴
1週間もしくは2週間に1度の割合のように、医師が曜日や時間を決めて訪問して計画的な医療サービスを提供するのが訪問診療です。訪問診療では、単に体調をチェックするだけではなく、診療・治療・薬の処方・点滴・経管栄養・中心静脈栄養・酸素療法・人工呼吸器の管理・床ずれの処置・認知症のケア・療養上の相談・指導などを行います。
患者さんやご家族の話を聞いたうえで、これまでの病歴・現在の病気・現在の病状に合わせて関係医療機関から情報収集を行います。そのうえで今後の治療計画を立て、患者さんの希望・ご家族の介護力・経済的な事情を踏まえた診療計画・訪問スケジュールを立てることが可能です。
状況に応じて、自宅での療養だけではなく入院の手配を行うこともあります。また、病状が悪くなったり急変したりという際には夜間や休日など訪問日以外でも医師や看護師が訪問して対応したり、24時間体制でサポートしてもらえる場合もあります。
往診の特徴
往診は、通院できない患者さんから要望があった際に医師がその都度訪問して診療を行うことです。事前に病院と相談しておいて、病状が突発的に変化した際などに連絡して診療を依頼することができます。
基本的には治療計画を立てて診療するという意味合いではなく、救急車を呼ぶほどではない突発的な病状の変化に対する臨時対応と位置づけられます。自宅でのケアを前提とした診療を行うことが目的ではなく、応急的な処置を施します。そのため、往診後にすぐに入院となるケースも少なくないといわれています。日常生活のケアや定期的な問診、綿密な治療計画に基づく治療を受けたい場合は、訪問診療を検討するとよいでしょう。
訪問診療の利用の流れ
訪問診療は、計画的な医療サービスを受けられるほか、今後の治療計画に関しても医師と綿密な相談をすることが可能です。訪問診療を利用する際の一般的な流れを確認してみましょう。
電話またはクリニック受診時に相談
訪問診療を希望する場合、まずは電話や受診時に訪問診療を検討したい旨をクリニックに相談します。患者さん本人に限らず、ご家族やケアマネジャーからの連絡でも構いません。相談の際には、患者さんの身体の状態や飲んでいる薬などの情報、訪問診療を利用する場合の費用など、確認しておきたいことをあらかじめ整理しておくとよいでしょう。
病状の確認
訪問診療の頻度や治療内容などの治療計画を立てるために、訪問診療の利用を希望する患者さんの今までの病歴、現在の病気や病状、生活環境を確認します。治療方針に関しては患者さんとご家族の希望や生活環境を考慮して医師と話し合いながら決定します。
診療内容・費用・注意事項などの確認
患者さんの病状の確認をして治療計画の方向性が決まったら、具体的な訪問回数や診療内容を決めます。診療内容は、患者さん本人だけではなくご家族の意見も取り入れながら医師と相談して決めていきます。
自宅での暮らし方や注意事項、緊急時の連絡方法、介護福祉制度についてなど、疑問があれば相談しておきましょう。
大体の診療内容が決まったら、次は費用や注意事項の確認です。費用に関しても、患者さんやご家族の経済的な事情を考慮したうえで決定します。費用は、1割負担なのか3割負担なのか、患者さんの状態や地域によっても異なります。
利用開始
診療内容や費用、注意事項などを確認して問題がなければ契約手続きを進め、訪問診療の利用が開始となります。
一般的に、1週間もしくは2週間に1度のペースで医師や看護師が訪問し、患者さんやご家族の話を聞きながら継続的に診療をしていきます。訪問日は全身状態の診察を基本としつつ、点滴・お薬の処方・経管栄養など患者さんの状態に合わせた医療措置が行われます。緊急時は事前の説明の通りに連絡し、対応してもらいましょう。
訪問診療の利用開始後でも、患者さんの状態やご家族の状況の変化に応じて診察日や診察内容を変更することが可能です。困ったことがあれば、クリニックに相談してください。
訪問診療の費用
訪問診療にかかる費用はサービス内容や地域によって異なるため、ここでは一般的な費用を紹介します。
一般的には1割負担の患者さんが月に2回の訪問診療を受けた場合の費用の目安は7,000~8,000円です。薬の処方を受けた場合は、上記に加えて1,000~3,000円の費用が発生するでしょう。処方された薬をお近くの調剤薬局までご自身で取りに行くか、配達を使うかによっても発生する費用は異なります。
また、診療で採血や心電図検査のような検査をした場合や、人工呼吸器のような医療機器を使用する場合も追加費用が必要です。
上記は1割負担の患者さんの目安ですので、3割負担の患者さんはこの3倍ほどが費用の目安となります。例えば、月に2回の訪問診療を受けた場合の金額は20,000円前後になるでしょう。月単位でのお支払いが多く、訪問診療の際に直接お支払いするか銀行振込でお支払いする方法が一般的です。
訪問診療のことなら石川クリニックにご相談を
大阪府で訪問診療を受けられるクリニックをお探しなら、地域のかかりつけ医として幅広く診療している大東市の石川クリニックに相談してみてはいかがでしょうか。
ここからは、石川クリニックの特徴を紹介します。
老人福祉施設の管理医としての経験もある院長
石川クリニックでは、一時的に体調が悪い患者さんに臨時的に診療を行う往診とは異なり、治療計画に基づき定期的にご自宅で治療や健康管理を行う訪問診療に対応しています。石川クリニックの院長は内科だけでなく救急医療や放射線の治療の経験を積んできた医師で、疼痛管理にも精通しています。老人福祉施設の管理医として長く勤務してきた経験を活かし、特定の臓器だけではなく全身の状態を診ることに努め、患者さんとご家族の生活環境も含めた治療方針を立てることを大切に患者さんとご家族のサポートに力を入れています。
周辺の医療機関・介護業者とも連携した診療
石川クリニックは、訪問診療だけでなく一般内科や循環器内科・生活習慣病・整形外科・健康診断などの診察も行っています。頭痛・発熱・下痢・便秘・咳・鼻水・嘔吐・腹痛などの急性症状や、糖尿病・高血圧・脂質異常症といった慢性疾患の治療、怪我などの外科的処置を要する疾患など、地域のかかりつけ医として幅広く診療しています。
理由はわからないけど今までとは違う不調がある、というような症状の相談にも対応しており、薬剤療法に限らず、食生活や運動量の見直し・体重のコントロール・禁煙といった対処法も取り入れて診療しているそうです。必要に応じて周辺の医療機関や介護業者とも連携しているので、患者さんやご家族にとって相談しやすいクリニックといえるでしょう。
疾患や外傷に対する治療のほか栄養管理なども提供
石川クリニックの訪問診療では、加齢や疾患の影響で免疫力が低下したり、足腰が弱くなり転倒して怪我をしたりする可能性を考慮して、疾患の予防や怪我の予防も含めた診察を行っています。そうした予防治療だけでなく患者さんの栄養管理も行うことで、入院せずに自宅で過ごせるよう配慮されているそうです。また、患者さんが少しでも長く自宅で過ごす時間を確保できるような看取りを含めて診療しています。
移動が困難で通院が難しい患者さんはもちろん、自宅での看取りを希望する方、現在の生活を大きく変えずに治療を受けたい方は相談してみてはいかがでしょうか。
石川クリニックの基本情報
アクセス・住所・診療時間
JR学研都市線 野崎駅より徒歩15分
診察時間 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | 日 | 祝 |
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9:00~13:00 | ● | ● | - | ● | ● | ● | - | - |
16:00〜19:00 | ▲ | ● | - | ● | ▲ | - | - | - |
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