AGAは自力で治すことができる?AGAの原因・セルフケア・自力で治せない場合の治療法について解説します
AGAは男性に見られる脱毛症であり、若い男性でも発症する可能性があります。
AGAではなく生活習慣の乱れによる抜け毛の増加を改善するためには、食事や睡眠などの生活リズムを改善することが重要です。
しかし、AGAは自力で治すことができるのでしょうか?
この記事ではAGAの原因・セルフケア・自力で治せない場合の治療法について解説します。
AGAの治療を始めてみる前に出来ることがあるか、抜け毛について不安な方の参考になると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
監修医師:
高藤 円香(医師)
目次 -INDEX-
AGAは自力で治すことができる?
AGAは男性に見られる脱毛症であり、若い男性でも発症する可能性があります。女性の場合はホルモンバランスの変化が原因となり、FAGAと呼ばれる脱毛症を発症することもあるかもしれません。
AGAは自力で完全に治すことは難しいですが、一部の症例では改善することもあります。AGAの発症が疑われる場合、専門の医師に相談しましょう。医師は適切な治療法を提案し、症状の進行を遅らせることができます。
一方、間違った自己流の改善法では効果が期待できません。市販の育毛剤やシャンプーなどは一時的な改善効果がある場合もありますが、根本的な解決にはなりません。正しい治療法を選ぶために、医師の指導を受けることが重要です。
AGAを自力で治すのは難しい
AGA(男性型脱毛症)は自力で治すことは難しいです。AGAは進行型の脱毛症であり、思春期を過ぎて発症する特徴があります。
生活習慣の改善などで抜け毛の量が減る場合もありますが、進行型のAGAは自力での対処ではほぼ不可能です。AGAは進行し続ける可能性があり、自己ケアの手間や時間が無駄になることもあります。
AGAの疑いがある場合は、できるだけ早く専門の医師に相談することが重要です。適切な治療法を受けることで、進行を遅らせたり改善したりすることができます。自力での治療を試みる前に、専門の医師のアドバイスを受けましょう。
生活習慣による薄毛はセルフケアが可能なことも
生活習慣の乱れによる抜け毛の増加を改善するためには、食事や睡眠などの生活リズムを改善することが重要です。
髪の毛は食べたものから作られているため、不規則な食事や栄養不足は髪の毛の成長に悪影響を及ぼす可能性があります。
髪の毛を健やかに成長させるためには、良質なタンパク質を摂取することが必要です。また、亜鉛も髪の毛の成長に関与する重要な栄養素ですので、積極的に摂取するようにしましょう。
髪の毛の成長は睡眠中に活発化するため、十分な睡眠時間を確保することも大切です。入浴やリラックスした状態で就寝することで質の高い睡眠を促すことができます。また、スマートフォンの使用を控えるなど、脳の興奮を避ける工夫も効果的です。
以上のような生活習慣の改善が抜け毛の改善につながる場合もありますが、進行型のAGAに対しては専門の医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。自己流の対策だけでなく、専門家の指導を受けながら適切な対処を行いましょう。
AGAの原因
AGAの主な原因は、ヘアサイクルの「成長期」の短縮です。ヘアサイクルは髪の毛が生え替わる周期で、成長期・退行期・休止期・成長期という順序で繰り返されます。
- 成長期:髪の毛が伸び毛球が成長する期間で、ヘアサイクル全体の約85%から90%(約2〜6年)
- 退行期:毛球の成長が停止し徐々に退縮する期間で、ヘアサイクル全体の約1%(約2週間)
- 休止期:毛球が完全に退化し髪の毛が抜け落ちる期間で、ヘアサイクル全体の約10%から15%(約2〜4ヶ月)
通常、健康な状態の髪の毛は2〜6年かけて成長しますが、AGAが発症すると成長期が短くなり退行期が早く訪れます。そのため、髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまうのです。
日本人の毛髪は平均して約10万本ありますが、各毛髪のヘアサイクルは異なるため、一斉に抜け落ちることはありません。しかし、AGAの進行に伴い、薄毛の範囲が徐々に広がる傾向があります。
男性ホルモンの分泌
AGAの原因の一つとして、脱毛因子を放出するジヒドロテストステロン(DHT)が作られることが挙げられます。DHTは、男性ホルモンであるテストステロンが毛包内の酵素である5α-リダクターゼによって変換されることで生成されるのです。
DHTはアンドロゲン受容体と結合し、成長期を短くする因子であるTGF-βの産生を促します。この結果、髪の毛の成長期が短くなります。
遺伝的要素
AGAの発症原因として、遺伝やストレスも挙げられます。遺伝的な要素によって5α-リダクターゼの活性やアンドロゲンレセプターの感受性が変わり、ジヒドロテストステロンの産生が増えるためです。
遺伝的に5α-リダクターゼの働きが活発であり、さらにアンドロゲンレセプターの感受性が高い場合、AGAの発症リスクが高まります。
ストレス
ストレスはAGAの直接的な原因ではありませんが、長期間のストレスによって自律神経のバランスが乱れ、頭皮の血液循環が悪化することがあります。
このため、髪の毛の成長が妨げられ、薄毛のリスクが高まる可能性があります。
ストレスの改善が抜け毛の改善につながる場合もありますが、進行型のAGAに対しては専門の医師の診断と適切な治療を受けることが重要です。自己流の対策だけでなく、専門家の指導を受けながら適切な対処を行いましょう。
生活習慣による薄毛のセルフケア方法は?
AGA(男性型脱毛症)は自力で治すことは難しいですが、生活習慣の改善などで抜け毛の量が減る場合もあります。ご自身で出来るセルフケア方法は下記で詳しく解説していきましょう。
- しっかりと睡眠をとる
- バランスのよい食事を心がける
- 適度な運動をする
- ストレスをためない
- 頭皮に合ったシャンプーを使う
- 喫煙を控える
しっかりと睡眠をとる
生活習慣の改善は抜け毛量の増加に効果があり、睡眠の改善が重要です。
睡眠中には髪の毛の成長を促す毛母細胞の分裂が活発に行われるため、十分な睡眠時間を確保することが重要です。
良質な睡眠を得るために、就寝前の入浴やスマホの使用を避けるなどの工夫をしましょう。
バランスのよい食事を心がける
髪の毛は食べ物から作られるため、不規則な食事や栄養不足は髪の成長に悪影響を与えます。タンパク質の摂取は薄毛改善に必要です。亜鉛も重要な成分であり、髪の毛に必要なアミノ酸の再合成に役立ちます。髪や頭皮の健康には以下の成分が重要です。
- タンパク質
- ビタミン類
- ミネラル
- イソフラボン
これらの成分はAGAの症状緩和に間接的に関与することが期待されています。
特にイソフラボンは、AGAによる薄毛の原因である5αリダクターゼの活性を抑制する効果があり、イソフラボンは大豆製品などに多く含まれています。
ビタミン類は体内で生成されないため、食事やサプリメントから積極的に摂取することが重要です。
適度な運動をする
運動不足はAGAの直接的な原因ではありませんが、生活習慣の乱れの一因として関連性があります。運動不足や生活習慣の乱れは、AGAの発症リスクを高める可能性があるでしょう。
特に運動不足は頭皮環境に影響を与えることがあります。血流不良が起こり、頭皮の状態が悪化し、薄毛のリスクが高まる可能性があるのです。血行不良によって頭髪の成長に必要な栄養が不足するため、適度な運動によって血流を改善しましょう。
運動は薄毛の直接的な改善効果を持つわけではありませんが、頭皮環境を整えるために重要です。適度な運動によって血流が改善されると、頭皮や髪に必要な栄養が適切に供給されるため、健やかな頭皮環境を促進することができます。
したがって、運動不足を改善し適度な運動習慣を取り入れることは、薄毛改善や頭皮の健康にとって重要です。ただし、運動だけでAGAを完全に予防できるわけではないため、総合的なアプローチが必要でしょう。
ストレスをためない
ストレスを軽減し自律神経のバランスを整えることは、生活習慣による薄毛改善において重要な要素です。自律神経は交感神経と副交感神経で構成されており、持続的なストレスは交感神経を優位に働かせます。
交感神経が優位になることで脳や身体の活性化が促されますが、夜間まで交感神経が優位の状態が続くと自律神経の乱れを引き起こすでしょう。
交感神経が優位になると血管が収縮し、頭皮への血液供給が減少します。その結果、髪の毛の成長に必要な栄養が不足し、薄毛のリスクが高まる可能性があるのです。
ご自身のストレスを軽減し自律神経のバランスを整えることは重要です。リラックス法やストレス管理の方法を取り入れることで、自律神経のバランスを整えることができます。これにより血液の流れが良くなり、健康な頭皮環境を促進し、薄毛の改善につながるでしょう。
頭皮に合ったシャンプーを使う
薄毛改善に取り組む際は、自身の肌質に合わないまたは刺激の強いシャンプーを避けることが重要です。一部の市販のシャンプーには、髪や頭皮にとって望ましくない成分が含まれている場合があります。
特に洗浄力の強すぎるシャンプーを使用すると、頭皮を保護するための皮脂も一緒に洗い流され、頭皮のバリア機能が損なわれます。
皮脂は頭皮の保護に必要な役割を果たしており、単にべたつきの原因として見られることがありますが、実際には頭皮の健康を維持するために重要な役割を果たしているのです。
市販のシャンプーは主に洗浄を目的としており、頭皮ケアを十分に行うことはありません。薄毛改善を目指す場合には、頭皮ケアを重視したアミノ酸系のシャンプーを選ぶことがおすすめです。
喫煙を控える
AGAの予防や対策には、喫煙を控えるようにしましょう。
喫煙によって体内に入るニコチンは、血管を収縮させる作用があり、栄養の運搬が滞り髪に必要な栄養素が頭皮に届きにくくなる可能性があります。
また、飲酒に含まれるアルコールは、アセトアルデヒドという物質に変化します。このアセトアルデヒドは、AGAの原因とされる男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)の増加を促す可能性があります。したがって、過剰な飲酒は避けるべきです。
飲酒や喫煙の習慣がある場合は、薄毛だけでなく健康面にも悪影響を及ぼすことを考慮し、卒業することを検討してください。
自力で治せない場合の治療法
セルフケアと併せてクリニックでの治療を検討する場合、主に以下の2つの方法があります。
- 経口薬:クリニックで処方される特定の薬を服用し、ホルモンの働きを抑制したり髪の成長を促進したりすることで薄毛を改善
- 外用薬:頭皮に直接塗布する特定の薬剤を使用し、頭皮の血流を改善し髪の成長を促進する効果
これらの治療方法には、薄毛の改善や髪の成長促進などの効果が期待されます。ただし、一部の治療薬はジェネリック医薬品が利用できない場合や、保険が適用されない場合があり費用が高額になる可能性があります。
ご自身の希望や予算を考慮し、医師との相談を重視しましょう。
経口薬
経口薬は、一般的に飲み薬のことを指します。
AGAの原因である男性ホルモンを抑制するために、「フィナステリド」や「デュタステリド」といった薬が選択肢となりますが、いくつかの薬は相互作用や副作用がありますので、注意が必要です。
AGA治療において「ミノキシジル」もよく知られています。この薬は世界的に広く使用され、発毛効果が高いと考えられています。
「ミノキシジル」によって期待される効果は、成長因子の増加を促し、頭皮の血行を改善することです。
頭皮の血行が良くなると、髪に栄養が適切に供給され、発毛が促進されるとされています。
AGA治療では推奨度を5段階に分けて評価しています。フィナステリド・デュタステリドは推奨度Aで、ミノキシジルは推奨度Dです。
外用薬
「ミノキシジル」は、内服薬としてだけでなく、外用薬(塗り薬)としても知られています。外用薬の場合、頭部全体ではなく、薄毛の兆候のある部位にのみ塗布します。
塗る際には均一に塗ることが重要であり、塗布範囲のムラを避けることが発毛効果の一貫性を保つために大切です。
「ミノキシジル」は内服薬と比べて、外用薬の方が効果や副作用が穏やかと考えられています。
ただし、外用薬をたくさん塗布すればより早く発毛するということはありません。むしろ副作用の原因となる可能性があるため、正しい用法・用量を守って使用することが重要です。
AGAかどうかセルフチェックする方法は?
自己診断の方法として、鏡やスマートフォンを使ってセルフチェックすることもあります。
これはハミルトン・ノーウッド分類という米国の医師ハミルトン氏による指標です。
耳の上部から頭頂部に向かって引いた線と後退した生え際との距離が2㎝以内である場合、AGAの可能性が高いとされています。
気になる方は、鏡やスマートフォンを使ってセルフチェックをしてみてください。
更に、簡単なセルフ診断を載せておくので、当てはまる方は早めにクリニックで診断しましょう。
- タバコを吸っている
- 寝不足が続いている
- 食事の栄養バランスが悪い
- 額の生え際が後退してきたと感じる
- 頭頂部の地肌が透けて見えるようになってきた
- 同年代と比べて髪が薄いと感じる
- 以前に比べて抜け毛が増えてきた
- 細く柔らかい毛や短い毛が増えてきた
- 家族や親族に薄毛の人がいる
AGAは早めにクリニックで治療を
医療機関を訪れることで専門的な診察や検査により、自己チェックでは分からない頭皮や毛髪の状態を詳しく把握し、AGAの診断が可能です。
診察では、皮膚科や内科の専門の医師が頭皮・毛髪の状態・髪質を丁寧に視診・触診します。また、診察により皮膚や内科疾患の可能性も判断できます。必要に応じて追加の検査や治療を検討し、患者さんとの相談の上で進めるのです。
診察によっては、薄毛のタイプや進行度も判明するでしょう。AGAは前頭型(U型)、頭頂型(O型)、M字型(M型)などのタイプがありますが、早期の段階では特徴がはっきりしないこともあります。
クリニックの診察では、自分では判別しにくいAGAのタイプや進行度が把握でき、それに合わせて発毛治療の提案も受けることができます。
編集部まとめ
AGAは男性に見られる脱毛症であり、若い男性でも発症する可能性があります。
セルフケアでストレスや生活習慣を改善するのも重要ですが、セルフチェックで当てはまる項目が多いほどAGAの可能性は高いです。
クリニックの医師は専門的な立場から頭皮や毛髪の状態を詳しく把握し、薄毛のタイプや進行度を判断し、効果的な治療法を提案します。
AGAは進行性の症状であるため、自己判断に迷う場合は早めに医師に相談しましょう。