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本当に合う義歯を見つけるために。診断が導く多様な選択肢とミラクルデンチャー【奈良県奈良市 ブランカ歯科医院】

 公開日:2025/12/15

本当に合う義歯を見つけるために。診断が導く多様な選択肢とミラクルデンチャー
本当に合う義歯を見つけるために。診断が導く多様な選択肢とミラクルデンチャー

保険の入れ歯だけでなく、金属床義歯などの自費の入れ歯があることは広く知られるようになった。自費の入れ歯は材料や工法に制限がなく、審美性や機能性をとことん追求できる。インプラントの流行により入れ歯自体に「古い治療」というイメージがあるかもしれないが、実はさまざまな新しい入れ歯が開発されている。そのなかでも近年、注目を集めているのが「ミラクルデンチャー」だ。これはどんな入れ歯なのか? また根本的な問題として噛める・外れない入れ歯をつくるためには何が大切なのだろうか? 奈良市芝辻町の「ブランカ歯科医院」は、ミラクルデンチャーを中心とした快適な入れ歯治療に取り組んでいる数少ない歯科医院のひとつ。同院の田端和高院長に詳しく話を伺った。

Doctor’s Profile
田端 和高(たばた かずたか)
ブランカ歯科医院 院長

1976年鳥取市生まれ。徳島大学歯学部卒業後、千葉県医療法人尚歯会に入局。2003年よりブランカ歯科医院所長、2011年院長就任。徳島大学歯学部解剖学講座では北村清一郎先生に師事。「患者さんと一緒に取り組む入れ歯治療」を掲げ、20年以上にわたり入れ歯治療の研究・臨床に携わる。検査を重要視する一方、患者のライフスタイル・望む未来にも目を向け、一人ひとりに合った理想的な入れ歯づくりを目指す。

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保険か自費かの前に、精密検査で自分の口の現状を知る

せっかく入れ歯をつくったのに、「合わない」「ズレる」「強く噛めない」といった悩みを抱えている人は少なくないと聞きました。なぜこういったことが起きるのでしょうか?

多くの場合、元をたどれば検査不足に原因があります。顎の動き・噛み合わせ・粘膜の状態まで詳しく調べたうえで診断・設計すれば、入れ歯は十分に「噛める道具」となる可能性が高まります。

保険か自費かの前に、精密検査で自分の口の現状を知る

検査をどこまでやるかは、歯科医院によって異なるのですか?

保険診療の場合、検査内容はどの歯科医院でも共通です。自費診療の場合は、歯科医院によって異なります。残念ながら、保険診療のルール内では時間をかけた詳しい検査を行うということができません。

貴院ではどんな検査をされていますか?

噛み合わせの状態を解析する検査、咀嚼力を測定する検査、顎の動きを調べる検査、歯の形・傾きを調べる検査、歯と顎骨の位置関係を調べるCT検査などを行っています。これら多角的な検査の結果を、入れ歯の設計に反映させます。

検査をどれだけ正確にできるか、歯科医院によって違いはあるのでしょうか?

検査ではさまざまな道具・装置を使用します。それらを導入していることが前提となりますが、講習・勉強会などを受け正しく使用できるか、検査結果を入れ歯の種類選択や設計に生かせるかといったところで、やはり差は出てくると思います。

口腔内スキャナーも導入されていると聞きました。こちらはどのように使いますか?

お口の中に差し込み、非接触で口腔内の形態のデータを取得します。いわゆる「歯型取り」のための機器です。粘土のような印象材は不要で、不快感なく、精密な型取りができます。

精密な検査ができない保険診療の場合、自分に合う入れ歯づくりはやはり難しくなるのでしょうか?

欠損歯が少なく、残っている歯や歯茎・顎の骨の状態がよければ、保険の入れ歯でも満足いただけることはあります。反対にお口の状態が悪ければ、保険の入れ歯でご満足いただくのは難しくなると思います。

「保険の入れ歯だからダメ」ということではなく、その入れ歯でカバーできるかをまずは調べることが大切なんですね

おっしゃるとおりです。カバーできない、より見た目や機能にこだわりたいという場合に、自費の入れ歯が有力な選択肢になります。また同じように、お口の状態によってはインプラントのほうが適しているということもあります。

インプラントのほうが適しているケースの具体例について、教えてください

欠損歯が少なく健康な歯が多く残っているケース、ブリッジで対応できない最奥の歯を失ったケース、しっかりと強く噛みたいケースなどです。
ただインプラントは、「歯周病などで顎の骨の量が少ない」「基礎疾患がある」といった場合には適応外となることもあり、入れ歯と比べると条件は厳しくなります。

保険か自費かの前に、精密検査で自分の口の現状を知る

「自分の口・身体の状態にはどれが合うか」を調べてもらえば、適切な治療法が見つかりそうですね

治療において大切なのは、患者さん一人ひとりにとっての「満足のいく基準」をクリアすることです。審美性・機能性・費用・治療期間などの希望をお伺いし、年齢・ライフスタイル・望む未来を考慮したうえで詳しい検査を行えば、どの入れ歯の、どんなタイプが合うかが見えてきます。ぜひ一度、詳しいカウンセリングと検査を受けていただきたいですね。

画期的な構造で審美性と機能性を両立させたミラクルデンチャー

画期的な構造で審美性と機能性を両立させたミラクルデンチャー

ミラクルデンチャーとは、どのような部分入れ歯ですか?

ミラクルデンチャーは、残存歯の根元を包み込むように支える独特の構造を持つ部分入れ歯で、金属のバネを使わず軽く・小さく仕上げやすい点が特徴です。従来の義歯で動きやすかった方でも、安定しやすいと感じるケースがあります。また、力が分散されやすい構造のため、従来義歯より残存歯への負担が軽減される場合もあるとされています。

実際にミラクルデンチャーを選ばれる方が多いのは、どのような理由によるのでしょうか?

従来の義歯で「外れやすい」「違和感が強い」「見た目が気になる」といったお悩みがあった方が、日常生活を過ごしやすい義歯として選ばれることが多いです。軽く・小さく作れるため装着感が自然で、話しやすさや見た目の良さを評価されることもあります。また、独自構造により結果的に残存歯の負担が軽くなるケースもありますが、すべての方に当てはまるわけではなく、診断による見極めが大切です。

ミラクルデンチャーが適しているのは、どのようなケースでしょうか?

金属バネの見た目が気になる方、義歯の大きさや違和感に悩みがあった方、外れやすさに不安があった方などに向く場合があります。また、残っている歯への負担をできるだけ抑えたい方にも適していることがあります。ただし、ミラクルデンチャーが最善とは限らず、歯周状態や噛み合わせによっては他の義歯の方が合う場合もあります。診断を通じて複数の選択肢を検討することが重要です。

ミラクルデンチャーに、保証期間などはありますか?

タイプに応じて、1~5年の保証期間を設けています。紛失・事故による破損などを除き、この期間には修理やつくり替えなどの治療費用が発生しません。詳しい内容は、受診の際にご説明させていただきます。

では、ミラクルデンチャーにデメリットはありますか?

ほかの入れ歯と比べて特別にここが劣っている、ということはありません。ただ、ミラクルデンチャーは開発者である中川瑛雄先生の講習を受け、筆記試験をクリアした歯科医師のみ取り扱えます。そのため、対応している歯科医院は限られます。あとは、着脱方法が普通の入れ歯と少し異なります。

着脱方法が違うというのはどういったことでしょうか?

普通の入れ歯は歯列に対して垂直方向にはめますが、ミラクルデンチャーはやや入れ歯を斜めに差し込んでからパチッと入れる感じになります。この「斜めにしないと入らない」というのがポイントで、ミラクルデンチャーの安定性・外れにくさにつながっています。少し練習すれば問題なくご自身で着脱できますので、ご安心ください。

画期的な構造で審美性と機能性を両立させたミラクルデンチャー

多種多様な自費の入れ歯。治療用義歯を使用するという選択も

多種多様な自費の入れ歯。治療用義歯を使用するという選択も

貴院ではミラクルデンチャー以外の自費の入れ歯にも対応されていますか?

はい。金属の床を使い薄くつくれる「金属床義歯」、少数のインプラント入れ歯を支える「インプラントオーバーデンチャー」、Oリングやマグネットで安定を得る「アタッチメント義歯」、残存歯に取り付けた金属と入れ歯側のキャップで安定を得る「コーヌス義歯」などを取り扱っております。また必要・ご希望に応じて、「治療用義歯」を使用することもあります。

治療用義歯とはどのようなものですか?

最終的な入れ歯をつくる前に使用する入れ歯です。普段使いしていただきながら噛み合わせを確認し、2~3回つくり直し、しっかりと噛めることを確認してから、最終的な入れ歯を設計・作製します。

よりよい噛み合わせを追求するための仮の入れ歯なんですね。治療用義歯は、どんな症例で必要になりますか?

主に、噛み合わせや歯茎の状態に問題がある症例で必要になります。治療用義歯をつくる場合は治療期間(最終的な入れ歯が完成するまでの期間)が長くなりますので、患者さんのご理解・ご了承を得てから作製します。

インプラントはよく「メンテナンスが大切」と言われます。入れ歯もメンテナンスは必要ですか?

入れ歯を長く快適に使うため、残存歯の健康を守るため、3~6カ月ごとのメンテナンスは必須です。当院では、歯のクリーニング、噛み合わせの検査、咀嚼力の検査、マイクロスコープによる入れ歯のチェック、入れ歯の洗浄、ピカッシュという装置による銀イオンコーティングなどを行っています。

貴院の自費の入れ歯の検査費用について教えてください

まず検査費用として、1,650円~27,500円(税込)が必要となります。幅があるのは患者さんのお口の状態によって必要になる検査・必要ない検査があるためです。事前にその内容や内訳については詳しくご説明いたします。

多種多様な自費の入れ歯。治療用義歯を使用するという選択も

自費の入れ歯の治療費についてはいかがですか?

ミラクルデンチャーは、欠損歯の本数・難症例であるか否か等の条件に応じて、308,000円~825,000円となります。ただ、上限近くになるケースは稀で、ほとんどは300,000円台に収まります。
また、金属床義歯(総入れ歯)が275,000円~660,000円、金属床義歯部分入れ歯)が165,000円~495,000円、インプラントオーバーデンチャーが770,000円~1,980,000円、コーヌス義歯が275,000円~880,000円、アタッチメントが55,000円/個となっています。
そのほか、治療用義歯を作製する場合は、110,000円~275,000円がかかります。費用はすべて税込みです。

最後に、読者の方にメッセージをお願いします

私が入れ歯治療に力を入れるきっかけとなったのは、祖父に入れ歯をつくった経験です。よく噛んで食べられることが表情を明るくし、みるみる元気になっていった祖父の姿は、入れ歯が心・全身の健康に深くかかわることを私に教えてくれました。そのような体験を、これからも一人でも多くの方にお届けできればと考えております。どうぞ、お気軽にご相談ください。

編集部まとめ

私たちはついつい「治療」ばかり注目してしまいますが、その治療をよりよいものとするのが「詳しい検査」であることがよくわかりました。対応できる検査の充実度が歯科医院によって違うというのも、あまり知られていないことかもしれません。「ミラクルデンチャーはあくまで選択肢のひとつ」と田端先生はおっしゃいます。ホームページなどをカタログ的に見て入れ歯選びをするのではなく、まずは詳しい検査に対応しており、豊富な選択肢を持つ歯科医院に相談してみるのがよさそうです。

ブランカ歯科医院

医院名

ブランカ歯科医院

診療内容

入れ歯義歯 インプラント治療 口腔外科 など

所在地

奈良県奈良市芝辻町4丁目1番1号
カーサフラッシュナカイ1階

アクセス

近鉄奈良線「新大宮」駅より徒歩2分
JR大和路線「奈良」駅より徒歩16分
近鉄奈良線「近鉄奈良」駅より徒歩20分

この記事の監修歯科医師