インプラント専門医として、治療に悩む人に有益な情報を伝えたい【香川県高松市 プライム総合歯科クリニック】
失われた歯の治療法としてインプラントが定着しつつあるが、クリニック選びに悩む人は多い。外科手術を伴うインプラント治療は、専門医が執刀するかどうかで予後が変わるケースもあるため、クリニック選びは慎重にしたいもの。では、実際に治療はどのように行われ、安心できるクリニックを見つけるにはどうすればよいのか。インプラント治療の症例数において、香川県でも豊富な治療数を誇るプライム総合歯科クリニックの石井弘之院長に話を伺った。
石井 弘之(いしい ひろゆき)
プライム総合歯科クリニック 院長
2000年に長崎大学歯学部を卒業後、2005~2007年までふじわら歯科クリニックで副院長を務める。その後、2008年に医療法人グローバル会スマイル歯科院長に就任。2015年からは理事長となる。その間、インプラント治療の最前線で実績を積み、2021年12月、プライム総合歯科クリニックを開院。所属学会は「日本口腔インプラント学会」「日本顎咬合学会」ほか。
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しっかり噛めるインプラントだが、自分に合った治療かどうかの確認を
入れ歯やブリッジではなく、インプラントを選ぶメリットはどこにありますか?
抜歯が必要と診断された場合、代替歯は入れ歯、ブリッジ、インプラントからの選択になります。ブリッジは外科的手術がないので手軽ですが、装着するには両隣の歯を削らなければならず、装着後もその歯には負担がかかります。少なからず、健康な歯にまで影響を与えてしまいます。
入れ歯の場合は、口の中でフィットさせるのがなかなか大変です。また、自然の歯のようにしっかり噛めないことで食べても味がよくわからなかったり、痛みが出たりして、不都合を感じることがよくあると思います。その点、インプラントは顎の骨に固定されているので、しっかりと噛める。ご自分の歯と同じように食事を楽しめるというのは、インプラントを決断する上で大きなポイントになると思います。
ともあれ、それぞれのメリット、デメリットをしっかり確認し、理解した上で、ご自分に合った治療の選択をされることが大切です。
人によって、インプラント治療の向き不向きはあるのでしょうか?
インプラント治療の成功率は、およそ99%だと言われています。ほとんどの方にとってインプラントは有効な治療法なのですが、残る1%の人には向かなかったということになります。その1%になる理由は、糖尿病がかなり進行していたり、重度の歯周病で状態が悪くなっていたりするような場合です。
とはいえ、それらの疾患も治療でしっかり回復を図ることさえできれば、インプラント治療は決して不可能ではありません。そのため、場合によっては内科的治療を優先していただくようお願いすることもあります。また、歯ぎしりがひどい方、歯周病をお持ちの方も、事前の治療でリスクコントロールを行います。なお、インプラント治療に年齢の上限はありません。
インプラント治療をする際、適切なタイミングはありますか?
歯を失う最大の原因は歯周病です。歯周病が進行すると、歯を支えている歯槽骨が溶けて歯がぐらつき始めます。もしインプラント治療をご希望であれば、歯槽骨への影響が少ない間に施術されることをおすすめします。
歯周病の影響があると、インプラント治療はできないのでしょうか?
インプラント治療はできますが、その前に別の処置が必要になります。インプラント治療では、歯槽骨にインプラント体を埋め込んで人工歯根をつくるため、その骨の量が足りなかったり薄かったりしている場合は、歯周組織治療を行います。
当院では、患者さんの腕から少量採血をし、取り出した成分を使って骨の再生を促進させる「CGF」という方法を用いています。
CGFの最大のメリットは、ご自身の血液由来の成分を治療に使うため、拒否反応や感染症のリスクを最小限に抑えられる点にあります。骨造成の治療として、人工的に骨を増やす「GBR」もあるのですが、人工物を多く使うと、どうしても感染症や経年劣化のリスクが上がるため、当院では人工骨を補う必要があるときでもCGF治療と併用して、安全な治療を行っています。
なお、CGF治療ができるのは、厚生労働省の許可を取得した歯科医院だけです。
予後のよいフラップレス手術が中心。治療の説明には万全を尽くす
インプラントに関心はあっても、外科的手術に不安を感じる人も多いと思いますが?
手術に対する説明は、時間をかけて行います。カウンセリングで患者さんが心配に思うことをお聞きし、ご理解いただけるまで丁寧にお話しして、不安を取り除けるようスタッフ全員で努めているところです。手術の説明では、デジタル技術の進展に伴い、精度が格段に向上している現実をお伝えしています。
治療に際しては、まずCT撮影した画像と歯型のデータを重ね合わせて3Dモデルをつくり、口腔内の神経や血管の位置を立体的に把握していきます。それにより、インプラント体をどの位置に、どれくらいの深さで埋入すればよいのかをコンピュータでシミュレーションし、精密に割り出すことが可能になっています。
当院では新しい設備を導入し、豊富な経験のもとに安全性の高い治療をご提供できるよう努めております。
手術の方法について教えてください
手術は、痛くありませんか?
手術は局所麻酔で行います。麻酔の量は、抜歯のときより少ないくらい。麻酔がしっかり効いたのを確認してから行いますので、手術中に痛みが出ることはまずありません。
手術がどうしても怖い患者さんの場合は、静脈内鎮静法で半分眠っているような状態の間に行うことも可能です。麻酔は麻酔科医が担当し、安全に手術を進めます。
手術後の痛みや腫れについてはどうでしょうか?
手術当日は痛み止めを服薬します。痛みには個人差がありますが、治療本数が少ない場合は、翌日から痛み止がいらなかったという患者さんもいるほどです。腫れについては、ほとんどない患者さんが多いですね。
治療が完了するまで、どれくらいの期間を必要としますか?
セカンドオピニオンも活用して、信頼できるクリニックで治療
インプラント治療での、クリニック選びのポイントを教えてください
わかりやすく、丁寧な説明があるかどうかというのは、重要なポイントになると思います。
もう一つは、執刀医の経験と実績です。インプラント治療は専門医でなくてもできる治療ですが、それでも決して片手間にやれるものではありません。
私はインプラント専門医として懸命に取り組み、これまで多くの治療に従事してきました。さまざまな症状の患者さんを診てきていますが、なかには過去に手術を行い、予後が悪く当院に来られた方も多くいらっしゃいます。
治療の説明に納得できないところがあったり、不安が解消されなかったりする場合は、セカンドオピニオンの受診をおすすめします。当院でもセカンドオピニオンは受け付けております。
設備が十分整っているかどうかも大切なポイントです。検査のためにはレントゲンやCTは欠かせません。当院の場合は、口腔内スキャナーやCGF治療で使う遠心分離機なども完備しています。
最後に、インプラント専門医として、読者にメッセージをお願いします
編集部まとめ
インプラント治療を受けるかどうか、患者にとっては重い決断だと思います。だからこそ、セカンドオピニオンの利用は有効です。主治医の診断が適切かどうかの判断はもちろん、適正な価格なのか、アフターフォローは手厚いかなど、不安に感じていることを別の角度から確認することができます。悔いのない治療のために、しっかりと情報を集めてから治療に臨まれてください。