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インプラントと入れ歯はどう違う?特徴や向いている人・インプラントで総入れ歯にできるのか・併用できるのかも詳しく解説

 更新日:2023/05/09
インプラントと入れ歯はどう違う?特徴や向いている人・インプラントで総入れ歯にできるのか・併用できるのかも詳しく解説

はやさか歯科クリニック
はやさか歯科クリニック

失った歯の代用として活用できるインプラント入れ歯ですが、似たようで大きな違いがあることに注意しましょう。

歯は美味しく食事をしたり、お話をしたりする時に必要な大切なものです。

その代用としての役割を果たすのがインプラント入れ歯なので、それぞれの特徴について知った上で選択することが求められます。

本記事では、インプラント入れ歯の違いを様々な観点からお話しします。ぜひご活用ください。

早坂 優

監修歯科医師
早坂 優(はやさか歯科クリニック)

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「経歴」
大阪大学歯学部 卒業
歯学部賞・弓倉賞
大阪大学歯学部附属病院 口腔総合診療部 研修終了
小室歯科天王寺ステーションビル診療所 勤務
医長・副院長を歴任
はやさか歯科クリニック 開院

インプラントと入れ歯はどう違う?

歯科医師説明風景
まずは、インプラント入れ歯の違いを以下の3つの観点から考察してみましょう。

  • 費用
  • 健康上の問題
  • 手入れ方法

インプラント入れ歯は、ご自身の事情やライフスタイルによってメリット・デメリットが違ってきます。
それぞれの観点から考察し、ご自身に適した治療がどちらなのかをご確認ください。

費用

インプラント入れ歯は、費用の面で大きな違いがあります。その違いは主に、手術の有無・保険適用の可否によるものです。
インプラントは手術が必要なため、費用は数十万円程度と高額になる傾向にあります。また、保険もきかないので、通常の3割負担が適用されません。
ただひとくちにインプラントといっても様々な種類があるため、インプラントのなかにも価格差がある点を押さえておきましょう。
例えば、京セラというメーカーでは1本160,000円であるのに対し、ノーベルというメーカーでは1本390,000円ほどです。
使用している材質や品質によって、費用だけでなくメンテナンス性も変わってくるため、慎重に判断しなければなりません。
また、インプラントを治療する箇所や本数によっても変わってきます。基本的にインプラントは1本ずつの治療になるため、本数が増えればそれだけ費用もかかります。
ただ、その場合は「All-on-4」や「All-on-6」と呼ばれるインプラントを活用する選択肢もありますので、医師と相談すると良いでしょう。
一方、入れ歯の治療費は数万円から可能であり、インプラントに比べて費用負担が少ないことが大きなポイントです。
保険適用が可能な場合もあるため、その場合には数千円程度で治療を受けられるでしょう。
保険適用の入れ歯の他に、保険適用外の入れ歯もあります。
メンテナンス性や機能性から考えると、費用が高くても保険適用外の入れ歯の方が適している場合もあるかもしれません。その場合は50万円強かかる可能性があります。
インプラント入れ歯は、一概に高いものが良いというわけではありません。ご自身の口腔内の状態に合わせた治療を受けることが大切です。
より良い口腔環境に近づけるように、しっかりと医師と相談するようにしましょう。

健康上の問題

インプラント入れ歯は、患者さまご自身の健康上の問題の面でも大きな違いがあります。
インプラントは人工歯根を顎骨に埋め込むため、服用している薬・持病・顎の状態によってはそもそもインプラント治療ができない場合があるのです。
例えば顎の状態が悪くなってきており、噛む力が十分でない場合にはインプラントを埋め込むことはできません。手術に耐えうる体力がない状態でも同様です。
一方、入れ歯は特に問題なく治療を受けられることがほとんどなので、健康上の問題がハードルとなることはあまりありません。

手入れ方法

特に普段と違ったお手入れが必要になるのは、入れ歯です。
インプラントの場合は、普段の歯磨きと同じように歯をブラシで磨き、フロス・マウスウォッシュを定期的に行って綺麗にメンテナンスをします。
顎に人工的な歯根を入れるのがインプラントなので、入れ歯のように日常的に取り外してお手入れすることはありません。ただ定期的に歯科医院でメンテナンスを受けるようにしましょう。
一方の入れ歯は簡単に取り外しが可能なため、取り外した状態でお手入れをします。入れ歯専用の洗浄剤につけたり、消毒したりして清潔に保ちましょう。
入れ歯を取り外した後の歯茎の面も汚れが溜まっていると炎症を起こしてしまうので、従来通り優しくブラッシングしたり、マウスウォッシュをしたりすることが大切です。
入れ歯と歯茎の間に異物が挟まってしまうこともあるので、適宜お手入れしてください。
適切なお手入れを行うことで、口内環境を清潔に保ち、口臭・口内炎・歯周病などの予防につながります。
持続期間にも影響を及ぼす可能性があるため、綺麗に管理することが大切です。

インプラントの特徴

治療風景
ここからは、インプラント入れ歯のそれぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。まずはインプラントからです。
インプラントには、以下のような特徴が挙げられます。

  • 審美性が高い
  • 自分の歯で噛む感覚がある
  • 健康な歯に負担をかけない

それぞれ詳しく解説します。

審美性が高い

インプラントは歯を失った部位に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療法であり、自然な歯とほとんど見た目が変わりません。
自然で美しい仕上がりになることから、審美性が高いとされています。
患者さまによって歯の色は異なりますが、豊富な種類から色合いを選択できるため、ご自身の口腔状態に合わせたインプラント治療が受けられます。
希望する場合には、インプラントでより白い歯にすることも可能なため、理想の口元を加味した上で検討すると良いでしょう。

自分の歯で噛む感覚がある

インプラントは、入れ歯と違って人工的な歯根を顎の骨に埋め込みます。そのため、自然な歯と変わらない咀嚼力を実現できるのが何よりの魅力です。
自分の歯で噛む感覚があり、「はずれるかもしれない」という不安を抱くことなく食事を楽しめます。固い食べ物でも自然な歯と同じように噛むことが可能です。

健康な歯に負担をかけない

インプラントは、歯を失った部位に人工歯根を埋め込むことで、健康な歯に負担をかけることなく歯列を補完できます。
失った歯だけで治療が完結するのがインプラントの良さです。健康的な歯を残しつつ、快適な口腔環境を実現したい方はインプラントが良いでしょう。
今後のリスクも検討した上で、インプラント入れ歯のどちらが適切かを判断することが大切です。

入れ歯の特徴

歯の模型
それでは、次に入れ歯の特徴について確認していきましょう。入れ歯には、以下のような特徴が挙げられます。

  • 治療できないケースが少ない
  • 治療できる歯科が多い
  • 保険適用で治療可能
  • 治療期間が短い

それぞれ詳しく解説します。

治療できないケースが少ない

入れ歯は、歯を失った部位に上から人工歯を被せるだけで治療が完了します。そのため、一般的には治療できないケースが少ないです。
インプラントは骨に人工歯根を埋め込む治療のため、以下のような方は治療できない場合があります。

  • 骨の量が少ない
  • 他の歯で歯周病を患っている
  • 喫煙する習慣がある
  • 糖尿病や高血圧を患っている

上記のケースに当てはまる場合は、インプラントよりも入れ歯による治療の方が向いている可能性があります。
インプラントは手術をする必要があるため、健康的な状態であることが最も望ましいです。
インプラントを希望した場合でも、医師の判断によって入れ歯の方が良いと判断される可能性がある点を事前に把握しておきましょう。

治療できる歯科が多い

入れ歯は、治療がインプラントよりもシンプルなため、歯科医院で行われる治療の中でも普及率が高いと言えます。そのため、どの歯科医院を受診しても治療できることが多いです。
入れ歯は歯科医師が行う治療ですが、歯科技工士が個別に入れ歯を製作する場合もあります。
歯科技工士が製作した入れ歯は完成度が高いことが多く、よりご自身にあった入れ歯の治療を受けられるのが魅力です。
地域によっては入れ歯に特化した歯科医院もあるため、納得できる歯科医院を選ぶようにしましょう。

保険適用で治療可能

入れ歯は、失った歯を補完するための治療のため、インプラントとは違って保険が適用できます
3割負担で治療を受けられるので、インプラントよりも治療負担を軽減できるのが嬉しいポイントです。
ただし、保険適用には一定の条件があり、治療内容や材料によっては希望する条件を実現できない場合があります。
また、保険適用の入れ歯よりも保険適用外の入れ歯の方がご自身に適していることもあるため、口腔内の環境や予算に合わせて選択することが大切です。

治療期間が短い

入れ歯にはインプラントのように手術が必要ないため、治療期間が短いというメリットもあります。
保険適用外のこだわった入れ歯の場合は、型取りや噛み合わせの確認を何度も行って製作するため、治療期間はそれだけ長くなりやすいです。
ただ保険適用の一般的な入れ歯の場合には、装着するまでの期間が短く、トータルな治療期間も短く済みやすい傾向にあります。
インプラントのように治療による身体的な負担も大きくないため、気軽に受けやすい面も特徴的です。

インプラントが向いている人

歯科用CT
インプラント入れ歯にはどちらにも一長一短あり、どちらを選ぶべきか判断に迷われる方は多くいらっしゃいます。
ここからは、それぞれの治療法に向いている人についてご紹介しますので、ご自身の希望する状況について確認しながらご覧ください。
まずはインプラントが向いている人から確認していきましょう。

しっかり噛みたい

インプラントの最大の特徴は、自然の歯に近い咀嚼が可能な点です。
しっかり噛むことは、健康的な食生活や消化吸収に必要なことです。歯が欠けたり失われたりした状態では、食べ物を十分に咀嚼することが難しくなる場合があります。
そこで、インプラントが有効な治療法となります。
インプラントは、歯を失った部位に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療法です。
人工歯根がしっかりを人工歯を支えるため、しっかりと咀嚼がしやすくなります。歯の状態を気にせずに食事やお喋りを楽しめるのは、インプラントの何よりの魅力です。

入れ歯に抵抗がある

入れ歯は簡単に取り外しできる反面、外して消毒している状態を他人に見られることを恥ずかしく思う方もいらっしゃるでしょう。
毎食後にお手入れすることが望ましいため、職場で入れ歯を取り外して洗浄する様子を見られてしまうことも十分に考えられます。
また、職業柄、歯の見た目が重視される場合もあるでしょう。
お手入れや歯の見た目から、入れ歯に抵抗がある場合にはインプラントがおすすめです。
インプラントは審美性が高く、自然の歯と同じお手入れ方法で構いません。
残っている歯と同じ色合い・透明感を実現した人工歯を取り付けられるので、一目ではインプラントだとわかりにくくなります。

ブリッジ治療ができない

ブリッジ治療とは、失った歯の両隣の歯に人工歯をセメントで接着する治療法です。
違和感が少なかったり、審美性が高かったりする魅力がありますが、土台となる歯が健康的でなければ実現できない場合が多い傾向にあります。
人工歯を固定するために歯を削る必要があり、ブリッジを支えるだけの力がないと厳しいためです。
ブリッジ治療ができない場合には、インプラント治療が適している場合があります。
インプラント治療は歯を失った部位に人工歯を固定するため、周囲の歯を削ることがありません。他の歯を支えにする必要もないため、失った歯だけで治療が完結します。
ただ、インプラント治療には外科的な手術が必要であり、場合によってはインプラントを希望しても入れ歯の方が適していると判断されることも十分にあり得ます。
まずは、ご自身の口腔状態について診てもらうことから始めましょう。

入れ歯が向いている人

ユニット
では、入れ歯が向いている人はどのような条件があるのでしょうか。ここからは、入れ歯が向いている人についてご紹介します。

両隣の歯が残っている

失った歯の両隣にまだ歯が残っている場合は、入れ歯の中でもブリッジという治療法が適しています。
ブリッジは部分入れ歯よりも入れ歯特有の違和感が少なく、審美性も高いことが特徴です。
ただ、両隣が健康的な歯であっても被せるために削る必要があるため、インプラントよりも負担は少ないとはいえ、部分入れ歯よりも負担が大きくなります。

歯茎がしっかりしている

歯茎がしっかりしている場合も同様に、インプラントよりも入れ歯の方が向いている場合があります。
歯茎がしっかりしていることは、入れ歯を支える土台が安定していることを指します。つまり、入れ歯特有のぐらつきや不安定な感覚を抱きにくい可能性があるのです。
入れ歯インプラントよりも治療を受けやすいメリットがあるため、歯茎がしっかりしているのであれば、負担少なく快適な口腔環境を実現できる可能性があります。

インプラントで総入れ歯にすることはできる?

歯科医師
インプラントで総入れ歯にすることは、可能です。
ただ、一般的なインプラントは失った歯の部位に埋め込む治療法のため、総入れ歯になると入れる必要のあるインプラントも多くなります。
そのため、費用も高額になりやすいです。
しかし、インプラントの中にはAll-on-4と呼ばれる治療法があります。
All-on-4」は、上下それぞれの顎に4本のインプラントを埋め込むだけで人工歯を支える治療法です。
費用や身体負担を減らしながら総入れ歯インプラントで実現できるため、今まで総入れ歯で我慢していた方でも実現できる可能性があります。

入れ歯からインプラントに変えられる?

モニター付きユニット
前述のように、入れ歯からインプラントに変えることも可能です。
入れ歯に違和感がある方や、入れ歯の入れ替え時期が近づいてきている方は、インプラントを検討してみても良いでしょう。
インプラントは、自然の歯に近い口腔環境を実現できるのが魅力です。
ただ、患者さまの状態がインプラント治療に適していないと判断された場合には、インプラントへの変更を希望しても実現できない可能性があります。
入れ歯からインプラントに切り替える際には、歯科医師と相談し、自分にぴったりな治療法を選択することが重要です。
また、インプラントは外科的な手術が必要であるため、手術のリスクや手術後のケア方法についても十分に理解しておきましょう。

インプラントと入れ歯を併用した治療も可能

受付と待合室
インプラント入れ歯を併用した治療とは、インプラントオーバーデンチャーと呼ばれる治療法のことです。
インプラントを2〜4本挿入し、その上に入れ歯を固定させる治療法のことで、総入れ歯をよりしっかりと固定させたイメージです。
一般的な入れ歯は粘膜で噛む力を支えているのに対し、インプラントオーバーデンチャーインプラントや残存歯が噛む力をサポートします。
そのため、一般的な入れ歯よりもしっかりと咀嚼できるのが特徴です。
ただ現在では前述の「All-on-4」が主流となってきているため、医師の判断と併せて検討することをおすすめします。

インプラントと入れ歯で迷っているなら

スタッフ集合写真
インプラント入れ歯のどちらを選択すべきか迷っている場合は、まずは歯科医師と相談することをおすすめします。
前提条件として、健康状態や口腔内の状態によっては選択肢が限られてくることもあるためです。
治療目的・予算・ライフスタイルなど、患者さまの状況によって適した治療法は異なります。
それぞれの特徴を把握したうえで、判断するようにしましょう。

編集部まとめ

医院外観
インプラントは、人工歯根を顎に埋め込むため、自然な歯に近い審美性や機能性を実現できる点が魅力です。

一方で入れ歯は、治療が簡単で負担が少なく、どのような方でも受けやすい点が魅力です。

それぞれに一長一短があり、治療費の予算や目的によって適した治療法が違ってきます。まずはご自身の口腔状態を正確に把握することが大切です。

インプラント入れ歯も、いかに理想とする口腔環境を実現できるかが焦点となります。美味しく食事を取り、楽しくお喋りをするためにも、医師と相談して慎重に検討しましょう。

医院情報

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