その歯抜かないで!割れた歯を救う破折歯接着治療(はせつしせっちゃくちりょう)とは【札幌市西区 夢デンタルクリニック】
歯のひび割れは初期段階での痛みがなく自覚することが難しい疾患です。歯のひび割れは虫歯や歯周病を悪化させてしまうため抜歯のリスクが高まり、ひび割れと虫歯、歯周病を併発してしまうと抜歯を宣告される確率が非常に高いです。
特に神経を取ってしまった歯があり、その歯に違和感がある方、噛んだ時に違和感がある方は、歯のひびが原因かもしれません。
そこで今回は夢デンタルクリニック大久保先生に歯のひびの原因や治療法についてお話を伺いました。
割れた歯を抜かずに接着することで治療する「破折歯接着治療(はせつしせっちゃくちりょう)」についても教えていただいたので、ひび割れによる抜歯を宣告された方、義歯に抵抗がある方にも参考にしてくださいね。
夢デンタルクリニック 院長
2009年から夢デンタルクリニックを開院し、通常破折歯は抜歯とされる常識をくつがえし、「破折歯接着治療」やインプラント治療により歯を増やす治療に取り組み、多くの患者さまの口内ケアをサポートしている。 医療現場以外でも、講演活動やYouTubeによる健康増進に関する情報発信を行っている。歯科医師になる以前に経済学部卒業後5年間のサラリーマンを経験している異色の経歴の持ち主。この経験から、患者さまの立場に立ち治療に関する不安や疑問などを丁寧なコミュニケーションで解消してくれる。
歯にひびが入ってしまう原因と予防法とは?
歯にひびが入る原因は、おもに次の4つが考えられます。
1.過去に神経をとる治療をしている
歯の神経をとる治療を行うと、歯の強度が下がる可能性があります。
すると、弱くなった歯に力が加わることで、歯が割れやすくなってしまうのです。歯はもともと筒状の形をしているので、竹のように縦に割れやすい傾向があります。
2.噛む力が強い・歯ぎしりや食いしばりなどの癖がある
噛む力が強いと、歯に強い圧力がかかります。
また歯ぎしりや食いしばりなどの癖があると、歯に圧力がかかる時間が長くなります。
強い圧力による歯への負担が大きくなり、歯が徐々に耐えられなくなり、歯が割れてしまうケースもありますので注意が必要です。
3.外傷
スポーツでの接触や事故などによる外傷も、歯にひびが入る原因の1つです。
4.歯の寿命が長くなっている
高齢になっても歯が残っている人が増えています。このことは良い事なのですが、高齢でも歯があるからこそ、歯にひびが入るリスクが高まっています。
公益財団法人8020推進財団が2005年と2018年に行った「永久歯の抜歯原因調査」によると、破折(はせつ、ひび割れのこと)による抜歯の割合は2018年で増加したという結果が得られています。
この理由について、調査報告では次のように述べられています。
「破折の割合が増えたのは、う蝕や歯周疾患等による抜歯が減少するとともに、抜歯処置を受ける年齢が高くなっていること等の影響があったのではないかと推察されるが、今後の検証を要する。」
こうして原因を見ると、歯に負担がかかることにより歯にひびが入りやすいということがいえるでしょう。
特に神経を抜いた歯はひびが入りやすいので注意が必要です。
一般的にはひびが入ってしまった歯は抜歯を宣言されることが多いのですが、状態によっては「破折歯接着治療(はせつしせっちゃくちりょう)」という最新の治療で残せる可能性も残されています。
歯のひびを放置することで起こることとは?
一方、症状がある場合には虫歯や歯周病のような症状を訴えます。
ひび割れた歯を顕微鏡で観察してみると、破折している部分から歯周病や虫歯になっていることもあります。
歯にひびが入ってすぐの段階では、自覚症状がないケースもあるといいます。
しかし、歯のひびの部分から虫歯菌や歯周病菌が侵入し、そこから徐々に歯のトラブルにつながる可能性も否定できないそうです。
- お口の中がねばつく
- 歯磨きの際に血が出る
- 口臭が気になる
- 歯茎が痛かったりかゆかったりする
- 歯茎が赤く腫れている
- 硬いものが噛みにくい
- 歯茎が上がったことにより、歯が長くなったような気がする
- 歯並びが乱れる(前歯が出てくる、歯と歯の間に隙間ができる)
- 食べ物が挟まる
さらに大久保先生によると、ほかにも次のようなお口の症状を訴えるケースがあるといいます。
- 神経を取った歯に違和感がある
- 噛んでいるときに違和感がある
- 歯の根の治療をしているが、なかなか改善せず、一進一退を繰り返している
- 何度も同じ差し歯がとれる
- 冷たいものがしみる
- 歯がぐらつく
歯のひび割れによるこれらのお口のトラブルは、放置していても自然によくなっていくものではないそうです。
むしろ放置することで虫歯や歯周病が悪化し、より状況は悪くなってしまう可能性があります。
そのため歯のひび割れは放置せず、なるべく早めに歯科医院での治療を受けるといいでしょう。
歯にひびが入った場合に行う治療とは?
ひび割れの度合いが軽い場合 (よく見ないとわからない程度) |
・多くの場合、経過観察 ・ひびから虫歯や歯周病などのトラブルが進行する可能性もあるため、定期的な歯科検診が必要 ・状態によっては破折歯密着治療で治療することが可能です |
ひび割れした歯に神経がある場合 | ・虫歯がある場合は、まずその治療を行う ・可能であれば銀歯やセラミックのかぶせ物をして経過観察 ・トラブルが続くようであれば抜歯になる ・抜歯した場合は、ブリッジや部分入れ歯、インプラントの処置が必要 |
ひび割れした歯に神経がない場合 | ・抜歯を宣言されることが多いですが、状態によっては破折歯密着治療で歯を残すことも可能です ・抜歯した場合は、ブリッジや部分入れ歯、インプラントの処置が必要 |
破折歯接着治療(はせつしせっちゃくちりょう)は保険診療では認められていないため、自費診療になります。また、今回ご紹介している治療法は破折歯接着治療の標準的な方法ですが、すべての患者さんに当てはまるわけではありません。具体的にどのような治療を行うかについてはお一人おひとりの状態によって異なるといいます。
自己判断せず、歯科医の診察を受けて適切な処置をしてもらうのがいいでしょう。
また、歯のひびの治療について、大久保先生は個人的な見解と前置きしたうえで次のようにお話ししてくださいました。
それでは、先生のおっしゃる「歯のひびを治す治療」とはどのようなものなのでしょうか?
詳しく確認していきましょう。
歯のひびを治す治療:破折歯接着治療とは
破折歯接着治療とは、ひび割れた歯に接着剤を流し込んで物理的にひびを埋める治療法のことをいいます。
ひびが小さかったり、ひび割れしていてもぐらつきがなくしっかりしている場合には、歯に専用の接着剤を流し込んで修復を試みるのです。この方法は、口腔内接着法(こうくうないせっちゃくほう)と呼ばれています。口腔内接着法の場合の治療期間・費用の目安は2ヵ月・15万~20万円程度です。
一方、ひびが大きかったり、ひび割れた歯がぐらついたりしている場合には、口の中で治療を続けるのは困難です。
そのため、このような症例の場合にはあえて一度抜歯し、お口の外で歯を接着してからもとの場所に歯を戻すための施術をします。
この方法を、口腔外接着法(こうくうがいせっちゃくほう)といいます。口腔外接着法の場合の治療期間・費用の目安は3~4ヵ月・20万~30万円程度です。
口腔外接着法の方が長期間の治療になる
口腔内接着法、口腔外接着法のいずれの方法でも、破折歯接着療法を実施する前にひび割れた歯の治療が必要です。
炎症や痛みなどのトラブルがなくなってから、レントゲン撮影やCT検査を行い、破折歯接着療法を行うかどうか、行う場合は口腔内接着法か口腔外接着法かを判断します。
口腔内接着法では、歯のひび割れた部分を削り取り、接着剤で補填して治療終了というのがほとんどのケースです。
一方、口腔外接着法ではひび割れた歯を抜いたあと、歯の汚れを落としてから接着を行うのが一般的だといいます。
接着後に歯をもとの場所に戻しますが、そのままでは歯はグラグラと不安定な状態です。
そのため、歯を戻したらギブスのようなもので固定します。このまま1か月ほど置き、完全に固定すれば治療完了というのが標準的なケースです。
破折歯接着療法のメリットとは
破折歯接着療法のメリットは何といっても自分の歯を生かすことができるという点です。
抜歯してしまった場合は、そのあとブリッジや部分入れ歯、インプラントのいずれかの方法を選ばなくてはなりません。
ブリッジや部分入れ歯はほかの歯への負担が大きくなり、結果として隣の歯を失うリスクを抱えています。
インプラントは良好な治療成績を期待できる治療ですが、人工物が口の中に入ることを怖がる患者様もいます。
一方破折歯接着療法では、自分の歯を生かすことができるため、これまでと同様のケアを行うだけで効果が期待できます。
また、接着療法を受けた歯は強度を保つために銀歯やセラミックの歯をかぶせることが多いです。こうすることで、ひび割れた歯が弱っていても、お口の環境を大きく変えることなく生活を送ることができるでしょう。
破折歯接着治療は、だれでもどの歯でも行うことができる、という訳ではありません。
歯の状態やひびの入り方が悪い場合には、治療を受けられないことも考えられます。
特に口腔外接着療法では「CTやレントゲンでは大丈夫だと思ったが、実際の歯を見てみると接着療法は困難」と判断されるケースもあり、結局抜歯せざるをえないという可能性も考えられるのです。
このように、どんな歯でも必ず治せる訳ではないというのが、破折歯接着療法のデメリットです。
また、破折歯接着療法は非常に繊細な治療のため、歯科医の熟練された技術が必要になります。
さらにマイクロスコープという顕微鏡のような装置がなければ治療を行うのは困難とされています。
このように、医師の技術や装置の有無により、破折歯接着療法を受けられる歯科医院が限られるということもデメリットの一つです。
歯のひびは放置しないで歯科医への受診を
むしろ放置することによって、虫歯や歯周病など、新たな歯のトラブルの原因になる可能性があります。
歯のひびに気づいたら早めに歯科を受診して歯科医の判断を仰ぐことが大切です。
ただし現状ではひび割れの治療法としては、抜歯が中心となっています。
破折歯接着治療が受けられる医院は限られている為、抜歯宣告を受けることがほとんどです。
歯を残したいという方は破折歯接着治療が受けられる医院を探して相談してみてはいかがでしょうか?
医院情報
所在地 | 〒063-0033 北海道札幌市西区西野3条7丁目5-15 |
アクセス | JRバス/琴似西野線 琴29「西野3条6丁目」より徒歩1分 地下鉄東西線宮の沢駅からのタクシーご利用をお勧めします。 |
診療内容 | 一般歯科・矯正歯科・審美歯科・インプラント外来・破折歯接着修復外来 |
破折歯接着修復適性診断 (CT撮影・冠除去・写真撮影・仮歯作製等込) |
33,000円(税込) |
根管治療 | 前歯・小臼歯 22,000円(税込) 大臼歯 33,000円(税込) |
破折歯接着修復処置 (コア築造・スタンダード補綴物込) |
220,000円(税込) ※補綴物が前歯部オールセラミックス冠の場合プラス38,500円(税込) |
診察料 | 6,600円(税込)/回 |