歯科医が語るインプラント治療における痛み、抜歯が必要な状態【横浜市港北区 和田デンタルクリニック】
口腔内の状況によっては抜歯を提案されることもあるインプラント治療。しかし、本当に歯を抜かなければならないのかどうか、疑問を持つ人も少なくない。抜歯後すぐにインプラント治療を行う「抜歯即時埋入」のメリット・デメリットをはじめ、痛みに関することなど不安は一つでも解消しておきたいもの。そこで今回は、インプラントに詳しい和田デンタルクリニックの和田晃院長に、インプラント治療における痛みや抜歯が必要な状態について詳しくお話を伺った。
和田 晃
和田デンタルクリニック 院長
昭和大学歯学部卒業後、医療法人春光会横浜インプラントセンター岩本歯科医院にて、インプラントを中心とした診療に7年間従事。2013年、同医療法人THE IMPLANT TOKYO 分院長となり、年間数百件の難症例の根管治療や、インプラント、審美歯科治療を多数手がける。2017年、和田デンタルクリニックを開院。
インプラント治療は手術後に痛みが出るケースもある
インプラント治療にはさまざまな方法があるそうですが、方法によって痛みや腫れの出方は違うのでしょうか?
条件を満たしていれば、患者さんが希望する方法で治療していただくことは可能なのでしょうか?
インプラント手術中に痛みは感じるものなのでしょうか?
インプラントの手術中に患者さんの体調が悪くなった場合はどのように対処されていますか?
手術前に、患者さんの体調に関するチェックは綿密に行いますし、インプラント治療に適応可能な方だけ手術いたしますので、手術中に体調が悪くなるケースはほぼ皆無と言っていいでしょう。当院でもこれまでそのような例はありません。もちろん100%のものはありませんから、何かあったときにすぐに対処できるよう、体制と設備は万全にしています。
抜歯と同時にインプラント治療が行えるケースがある
では、デメリットについてはどうでしょうか?
ほとんどありませんが、2回法と比較すれば感染のリスクが少しあります。また、初期固定が得られない場合があるので、インプラント治療を希望される方が誰でも受けられるというわけではありません。顎の骨の状態が悪い、骨造成が必要な方には不向きな場合もあります。
抜歯即時埋入の適用条件とは何でしょうか?
インプラントを埋め込む顎の骨の骨量や、顎の骨の厚さが十分に足りていることがまず挙げられます。また抜歯する歯や周りの骨の感染の度合いが低いこと。さらに術後の感染のリスクが抜歯即時埋入によるメリットを上回らないことなどがあげられます。
特に骨量や骨格に関しては人それぞれ異なりますから、精密な検査と正確な診断のもとに適用可能かどうかを慎重に見極めていく必要があります。
インプラント治療と一口に言っても、それぞれの治療法に特徴があるのですね。
インプラント治療で抜歯を勧められた場合の注意点は
インプラント治療を受ける際、抜歯が求められる状態について教えてください。
状況にもよりますが、虫歯や歯周病が重度に進行している場合や歯が大きく割れている、治療効果が見られないといった場合は抜歯を行うことも一つの選択肢になってくると考えていただければと思います。
状態の悪い歯を抜歯せずに放置していると、どのようなリスクがあるのでしょうか?
たとえば、歯周病の場合だと、痛みはなくても慢性的な炎症で骨が溶けていってしまいます。ですから、歯周病を放置していると、抜歯した後にインプラントを希望されてもインプラントを埋めるための十分な骨がなく、骨移植が必要となってしまうケースがあります。すると、肉体的にも精神的にも、さらに経済的にも患者さんに大きな負担となってしまいますね。
抜歯が必要と判断された場合、注意したほうがいい点があったら教えていただけますか。
天然歯はかけがえのないものです。最近の流れはできるだけ自分の歯を残すことが大事となっていますが、歯科医師の経験や技量、考え方によって治療内容は大きく異なってきます。
一つの方法としては、抜歯が必要と判断された場合は、その判断に客観性を持たせるためにセカンドオピニオンを行うことです。場合によっては、他院で「抜歯しかない」と言われた患者さんでも、セカンドオピニオンで精密な根管治療を行うことで、抜歯を回避できる可能性があります。
貴院ではインプラントのほかに根管治療にも力を入れていらっしゃいますね?
セカンドオピニオンを活用することも大事ということがよくわかりました。
そうですね。しかし、自分が理想とする答えを求めすぎるあまりに、歯科医師を信用しなかったり、クリニックを転々としてしまうようなことは避けていただきたいと思います。インプラント治療では状態の悪い歯の抜歯が求められますが、セカンドオピニオンを活用することで、状況と治療次第で正常な歯に戻せる歯があるということです。あきらめる必要はありません。患者さん一人ひとりお口の中の状態は違いますので、安心して治療を受けていただけるよう、これからも診療に取り組んでいきます。
インプラント治療ではセカンドオピニオンの活用が大事
今回の取材で、インプラント治療では手術後に痛みや腫れが出る場合があり、手術が従来の2回法だけでなく、抜歯とインプラント埋入を同日に行う「抜歯即時埋入」が広まりつつあることがわかりました。インプラント治療中に抜歯を求められた場合は、その判断に客観性を持たせること、そして歯の状態によっては精密根管治療などで歯を残せる可能性もあることから、セカンドオピニオンを活用することがインプラント治療を成功させる鍵となるようです。
最近はホームページなどで、治療実績を写真付きでわかりやすく示している歯科医院も多くなりました。受診を検討される際は、そちらも事前にチェックしながらかかりつけの歯科医を持つことが、長く健康的に歯を保つ上で大切といえるのではないでしょうか。