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生涯、快適に食事や会話を楽しむための精密な「根管治療」と「フルデンチャー」【神奈川県横浜市 八ッ橋歯科医院】

 更新日:2024/01/24
八ツ橋歯科医院
八ツ橋歯科医院

歯の根まで細菌が浸潤しているような場合、そのままでは歯を失ってしまう可能性も。そこで必要となるのは精密な根管治療だ。また、不幸にして多くの歯を失った場合「フィットしてよく噛める」ことを重視したフルデンチャー(総入れ歯)により、食事や会話の楽しみを損なわないようにすることが可能。「歯を失うかもしれない」、または「入れ歯が合わない」などの悩みを抱えているそれぞれのケースで受ける治療のポイントについて、八ッ橋歯科医院の八ッ橋孝彰院長に伺った。


Doctor’s Profile
八ッ橋 孝彰
八ッ橋歯科医院

東京歯科大学大学院にて歯内療法学を専攻。在学中に3回渡米して歯科用顕微鏡マイクロスコープ)のトレーニングを受け、卒業後は医局助手や歯内療法学講座の講師を担当。現在も東京歯科大学保存学講座の非常勤講師として研究と教育に携わりながら、八ッ橋歯科医院の院長として診療を行っている。
日本歯科保存学会専門医、日本口腔インプラント学会専門医。マイクロスコープを導入した根管治療に関しての経験と実績を重ねている。

できるだけ歯を残すためにマイクロスコープによる精密な根管治療

虫歯が進行して歯を失うというのは、どういった状態でしょうか?

歯は表面のエナメル質、その下に象牙質があり、中心に血管や神経が通っている歯髄があります。虫歯は感染症であり、細菌が出す酸が表面のエナメル質を溶かします。進行すると、内部の象牙質や歯髄が侵されていき、さらに進行して歯の根っこの部分にも感染が広がってしまうと歯を失うことになります。
ただし、歯肉から見えている部分がかなり損なわれていても、歯根が無事であれば根管治療で部分的に天然歯を残すことが可能です。虫歯菌に侵された部分をきれいに除去して殺菌し、密閉する根管治療の後は、被せ物のクラウン(冠)を被せます。
できるだけ歯を残すためにマイクロスコープによる精密な根管治療

根管治療は天然歯を一部でも残すための治療ですか?

部分的にとはいえ、天然歯を残すことには大きなメリットがあります。ブリッジや入れ歯では、残された歯に大きな負担がかかって次々に歯を失うリスクが上がります。また、歯を失った部分の顎骨は吸収されて弱くなって萎むため、顔貌の印象も変えてしまいます。さらに、噛み合わせを大きく壊して、顎関節をはじめ全身に悪影響を与える可能性もあります。歯を残すことで、こうしたことが避けられるため、根管治療歯を失う可能性がある場合に特に重要な治療なのです。
歯を失うかもしれない状況で行う治療ということは、かなり精密さが求められますね。

抜くべきか、あるいは抜かなくても治療できるかの診断が大事です。精密な治療は正確な診査診断が基礎になるからです。歯や顎の骨の状態は一人ひとり異なりますし、レントゲンでは状況を正確に把握できません。歯の根は曲がって生えていることもよくありますから、当院ではCTで歯と顎の骨の状態を立体的に確認しています。そして、治療ではマイクロスコープを使って緻密に確認しながら行っています。
マイクロスコープとはどんなものですか?

日本語では歯科用顕微鏡と呼ばれていて、私が大学院在学中に日本に導入され始めました。現在は40倍の拡大が可能なマイクロスコープを使っていますので、1mmのものが4cmの大きさで確認できます。明るい照明もついているので、CTでも確認できないほど細かいヒビなども発見することができるんですよ。
マイクロスコープによる治療が可能になって、これまでだと抜かなければならなかった歯を残せるようになったこと、またより精密な治療ができるようになったことは、歯科治療の大きな進歩だと思います。
それだけ大きく見えると細かい手技も重要ですね。

大学院在学時代に恩師と共に何度か渡米してマイクロスコープトレーニングを受け、早い時期からマイクロスコープによる治療を積み重ねてきたので、私は違和感なく使っています。ただ、症例経験が少ないと慣れるまで緻密な治療は難しいかもしれませんね。
マイクロスコープを使っているから安心と早急に判断してしまうのは危険ですね。

歯科医師の慣れや経験だけでなく、CTとマイクロスコープを適切に使いこなしても根管治療が難しいケースがあります。
CTはレントゲンに比べて飛躍的に正確な診断が可能ですが、細かいヒビを検出できないこともあります。また歯根が90度近く曲がっている場合、マイクロスコープでも確認できない部分があり、そこは手探りで治療するしかないこともあります。当院では状態やリスクを事前にきちんとお伝えしていますので、気になることがあれば相談にいらしてください。

できるだけ歯を残すためにマイクロスコープによる精密な根管治療
根管治療は歯を残す最後の治療という印象があって、再発が心配です。

虫歯に侵された部分をきれいにとって殺菌し、密閉するわけですから、治療中の感染防止はとても重要です。当院では、治療中に使用する水や、患者さんがうがいをされる水などユニットから供給される水を殺菌水にすることで、治療中の感染リスクを下げています。
殺菌水は純水と食塩を電気分解したもので、薬剤を一切使用していません。ですから飲んでも安心です。もちろん、治療後の定期検診やセルフケアも再発防止には重要ですから、そういったことも含めてわかりやすくお伝えしています。

保険と自費にかかわらず「合う」フルデンチャーを実現した歯科技工士との出会い

残念ながら歯を失ってしまった場合は入れ歯になりますが、やはり自費の方がよいのでしょうか?

現在、入れ歯素材として使われているレジン(歯科用プラスチック)はとても進化していいます。ですから、保険診療だから合う入れ歯がつくれないというのは過去の話だと感じています。
保険診療で使えるレジンはやわらかくて削れやすいので、メンテナンスやつくり直しの頻度が上がるという点はデメリットとしてありますが、噛み合わせを整えてからでしたら、保険診療でもぴったり合う入れ歯をつくって快適に食事や会話ができるケースが増えています。現に当院では金属床をほとんどやっていないのですよ。
保険と自費にかかわらず「合う」フルデンチャーを実現した歯科技工士との出会い

保険診療でも合うものがつくれるのですね。

実は、いい歯科技工士さんと出会えたことでそれが可能になりました。私は現在も勉強会や研修、講習会などで知識や技術をブラッシュアップしているのですが、そこでしばしば会う歯科技工士さんと親しくなり、熱意と知識に共鳴して提携するようになりました。
この歯科技工士さんがつくる入れ歯をはじめとした補綴物は、あらゆる面でクオリティが高くて驚きました。現在はその歯科技工士さんと綿密に打ち合わせをして、より完成度の高いものを患者さんに提供できるようにしています。
フルデンチャーになにを求めるのかによっても違いますよね。

「何でも噛めて、快適」というのは基本として、ほかに人工歯の見た目、顔貌全体のイメージ、手入れのしやすさ、よい状態を長く保てるなど、患者さんのリクエストにできるだけ細かくお応えすることを当院では重視しています。入れ歯は種類もいろいろありますし、口内の状態やお考えによって最適な選択肢を選べるようにしています。
お煎餅など固いものも食べられるようになりますか?

固いものは案外、簡単に噛めるようにできます。実際に入れ歯で噛み切るのが難しいのは、ホウレンソウや小松菜、三つ葉などの青菜類です。青菜類は健康のためにも積極的に摂りたい食材ですから、こうしたものも無理なく噛めるようにすることは特に重要だと考えています。
フルデンチャーは完成してから何度も調整するイメージがあります。

当院では、1~2回の調整で合ってしまうことがほとんどですね。調整をほとんどせずに1回で合うことも珍しくありません。そういう意味でも患者さんの負担を減らすことができています。

保険と自費にかかわらず「合う」フルデンチャーを実現した歯科技工士との出会い
入れ歯は顔の印象を大きく変えてしまうこともありますよね。

実際に、ほうれい線や口元のシワなどは、入れ歯設計のちょっとした変化でずいぶん変わりますね。当院ではその方の本来の若々しさ、生き生きした表情が出せるようにきめ細かく配慮して歯科技工士さんに発注していますし、細かいリクエストがあれば、それにもできるだけお応えしています。

天然歯や人工歯を守るための「噛み合わせ調整」

入れ歯が合わなくなるという話をよく聞きますが、どうして合わなくなるのですが?

入れ歯が合わなくなる原因には、口内の状態の変化、特に噛み合わせの変化が大きく関わっています。噛み合わせは変化するものですから、入れ歯も数カ月に一度調整をすることで、長く快適に使うことができます。合わなくなったものをそのままにしておくと噛み合わせがどんどん壊れていって余計に合わなくなってしまうため、早めに調整を受けるようにしてください。
天然歯や人工歯を守るための「噛み合わせ調整」

噛み合わせはそんなに変化するものなのですね。

噛み合わせは虫歯や知覚過敏、歯周病など口内トラブルだけでなく、食べ物の好み、季節、ちょっとしたライフスタイルの変化によっても変わります。入れ歯の調整だけでなく、噛み合わせ自体を定期的に整えることも重要です。
顎は大きな関節ですし、首や肩、頭に近いため、噛み合わせの治療が全身へのさまざまな負担や不調の解消につながることもあります。
噛み合わせは健康にも関わるのですか?

噛み合わせは入れ歯などの人工歯でも重要ですが、天然歯や全身の健康にも大きく関わります。噛み合わせが正しければ歯や歯肉、顎の関節などにかかる負担を最小限にできます。これにより、虫歯や歯周病のリスクを抑えることができます。
しっかり噛むことは、消化吸収にかかる負担も減らしてくれますし、必要な栄養素を無理なく摂れるというメリットもあります。また、無理なく噛めることで顎や首、肩など周辺の筋肉への負担も減りますし、噛む回数を増やすことで脳への血流も増加します。
調整をしないまま放置しているとより合わなくなってしまうのですね。

噛み合わせの乱れがあると、それを補完するために無駄な力がかかり、それによってさらに噛み合わせが乱れていきます。調整ができないほど噛み合わせが壊れてしまうと入れ歯はつくり直すしかありません。フィット感が悪くなったから安定剤を使うと余計に噛み合わせを壊してしまう可能性もありますので、違和感があったらすぐにいらしてください。
合わなくなりにくい入れ歯をつくることはできますか?

噛み合わせが乱れたまま入れ歯をつくってしまうと、もともと無理があるためすぐに合わなくなっていきます。入れ歯を何度もつくり直しているというケースは、噛み合わせが原因であることがとても多いのです。噛み合わせの治療をまず行って、口内の状態が改良されてから入れ歯をつくることで、調整頻度の少ない、よりフィットして快適に使える入れ歯をつくることができます。
噛み合わせ治療をまず受けておくことが重要なのですね。

そうです。ただ、残念なことに日本の保険診療には「噛み合わせ治療」というカテゴリーがないため、噛み合わせ治療は自費になってしまいますが、メリットを考慮して検討する価値がある治療です。

天然歯や人工歯を守るための「噛み合わせ調整」
最後に読者に対してメッセージなどをお願いします。

八ッ橋歯科医院は、父が昭和38年に開業してから長く地域の方にご信頼いただいてきた歯科医院です。私が二代目を引き継いでからも、気軽に相談できる歯科医院として地域に根差した歯科診療を行っています。できれば抜きたくないという進行した虫歯、合わない入れ歯、詰め物や被せ物がとれたなどのケースにも幅広く対応しています。
根管治療など精密さを求められる治療では、CTやマイクロスコープを使用し、識と技術力の高い歯科技工士さんと提携することでご希望にきめ細かく合わせた入れ歯・ブリッジ・詰め物・被せ物をおつくりしています。歯科定期検診や噛み合わせ調整などにも対応していますので、お口のお悩みがありましたらどんなことでもご相談ください。

編集部まとめ

進行した虫歯をできるだけ抜かないための根管治療は、CT検査をもとにした正確な診断やマイクロスコープを使った精密な治療、そして感染防止対策がしっかり行われているかどうかが重要。そして、マイクロスコープは導入の有無だけでなく、ドクターの経験も注意したいポイントなのだと感じました。フルデンチャーに関しては、機能だけでなく顔貌への影響など考慮すべきことがいくつもあるので、じっくり相談することが最善の選択肢を選ぶために必要です。そして、噛み合わせのチェックも不可欠だとわかりました。入れ歯は長く快適に使いたいからこそ、歯科医院がどんな歯科技工士さんと提携しているかも確認しておきたいですね。

医院情報

八ツ橋歯科医院

八ツ橋歯科医院
所在地 〒232-0027
神奈川県横浜市南区新川町4丁目25
アクセス 横浜市営地下鉄ブルーライン 吉野町駅 徒歩1分
京浜急行電鉄本線 南太田駅 徒歩10分
診療内容 歯科一般 根管治療 入れ歯 インプラント 歯科口腔外科 小児歯科 他

この記事の監修歯科医師