「黄色いあざ」で考えられる病気はご存知ですか?医師が解説!

Medical DOC監修医が黄色いあざで考えられる病気などを解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「黄色いあざ」ができる原因はご存知ですか?医師が考えられる病気も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
甲斐沼 孟(上場企業産業医)
目次 -INDEX-
「黄色いあざ」症状が特徴的な病気・疾患
ここではMedical DOC監修医が、「黄色いあざ」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。
打撲
打撲とは物に強く打ち付けて転倒するなどした場合に起こる怪我です。
打撲は「打ち身」とも呼ばれていて、大半の場合において患部を動かすことができて、傷口はなく内出血(あおたんや黄色いあざ)ができます。
打撲はスポーツが原因で起こることが多く、バスケットボールやサッカー、柔道など相手選手との衝突で打撲が起こるケースが多く見られます。
氷のうなどで患部を冷やすことで症状が落ち着くことがほとんどです。
なかなか痛みが治まらない、何となく体がしびれてきたと感じるようであれば、骨折などの疑いがありますので、できるだけ早く整形外科など専門医療機関を受診しましょう。
黄疸
黄疸とは目に見える皮膚の黄染の意味ですが、正確にはビリルビンという物質による皮膚の黄染と考えられます。
ビリルビンは、古くなった赤血球や損傷した赤血球を再利用する過程の中で、ヘモグロビン(酸素を運ぶ赤血球の一部)が分解されるときに生成されて、血流によって肝臓に運ばれ、そこで胆汁(肝臓で作られる消化液)と結合します。
ビリルビンは胆管を通って消化管に移動して、大部分のビリルビンは便中に排泄されますが、少量は尿中に排泄されますが、万が一ビリルビンが肝臓や胆管を正常に通過できない場合にはビリルビンは血液中に蓄積して、皮膚に沈着して黄色いあざができることがあります。
また、多くの黄疸の患者では、便とともにビリルビンが排除されず、尿中に排泄されるビリルビンの量が増加することによって尿の色が濃くなり、便の色が薄くなると言われています。
心配であれば、消化器内科など専門医療機関を受診して相談しましょう。
老人性紫斑
老人性紫斑は、加齢によって血管や周囲の組織がもろくなり、少しの外力をきっかけに手足や顔面などに内出血が生じる状態であり、加齢現象のひとつとして生じます1)。
加齢に伴って血管や血管を保護する周囲組織が脆弱になることによって発症し、主に手足や顔などの部位に紫色から黄色のあざが出現します。
周囲の正常な皮膚とあざの境界は比較的明瞭であり、複数の箇所にわたってあざが見られることもあります。
心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診しましょう。
アレルギー性紫斑病
アレルギー性紫斑病は、小児に多い病気です。
発症機序としては、IgA免疫複合体が血管に沈着する血管炎であり、さまざまな感染症に伴って産出されたIgAの免疫複合体が、全身の毛細血管壁に付着することで発症します。
代表的な症状としては、左右対称で盛り上がった紫斑の様な発疹が認められ、他にも、腹痛や嘔吐、肉眼的血尿、関節炎などが挙げられます。
黄色いあざだけでなく、これらの症状が見られる場合には、アレルギー性紫斑病が疑われますので、小児科や膠原病内科、アレルギー専門外来などを受診しましょう。
肝機能障害
肝機能障害は、肝炎ウイルス感染、過剰なアルコール摂取、脂肪肝、薬剤副作用などを含めて、肝細胞が何らかの原因で障害を受けて、肝細胞の機能が低下する病気です。
初期の段階では、自覚症状がほとんどないため、非常にわかりづらいですが、病状が進行すると、典型的な症状としては眼球を含めて全身に黄疸が現れます。他にも、全身倦怠感や食欲低下、皮膚の掻痒感、腹水などが認められます。
早期に病気を発見するためには、定期的な健康診断による経過観察が重要です。
心配であれば、消化器内科など専門医療機関を受診してください。
血小板減少性紫斑病
血小板減少性紫斑病は、自己免疫異常にともなって、血球成分の一つである血小板が減少して、通常より出血しやすくなる病気です。
免疫異常が発生する機序はいまだに複雑であり、明確に判明していませんが、手足などを打撲していないのにもかかわらず、全身に黄色いあざが認められる、あるいは歯肉部位や鼻粘膜から出血サインがよくある場合には、血小板減少性紫斑病を疑いましょう。
症状が進行すると、出血傾向が助長して重症化するケースもあるため、心配であれば、早急に膠原病内科や血液内科など専門医療機関を受診してください。
血友病
血友病は、血液凝固因子と呼ばれるタンパク質の一部が不足欠乏している病気であり、先天性(遺伝が関係する生まれつき)のものと後天性(遺伝は関係せず発症する)のものに分類されます。
代表的な症状は、関節内の出血(膝・肘など外力がかかりやすい部分)であり、関節部に痛みや腫れが生じます。
また、出血症状や血が止まりにくい症状が認められ、全身に黄色いあざができやすいなどの特徴が挙げられます。
出血しやすい部位は先天性と後天性で異なり、先天性の場合は主に関節内や筋肉内に出血が見られる一方で、後天性で関節内出血が見られるケースはごく稀といわれています。
血友病は遺伝性のため、家族や親せきなどに血友病を罹患している患者さんが存在する場合には、自分自身も発症する可能性があります。
主な治療は、凝固因子を含む製剤投与が基本となりますので、心配であれば、血液内科など専門医療機関を通院受診しましょう。
カビ
胸などの部位に黄色いあざが認められる際には、真菌(カビ)が原因である場合が考えられます。
特に、皮膚にもともと常駐している癜風菌やマラセチアと呼ばれる真菌が夏場などにおいて、汗で蒸れて過剰に繁殖して発症し、あざのように見える斑点が増えて広がってから異常に気付く場合もあります。
適切に処置しないと、再発することもあるため、普段からシャワーで汗を流して、保湿剤などを用いてスキンケアするように配慮しておきましょう。
心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診するように心がけましょう。
扁平母斑
扁平母斑は、あざができる病気でほとんど生まれつきにあるものですが、場合によっては、思春期になってから発生する例もあります。
生まれつきのものも思春期になってから発症したものも、ほとんど悪性化することは考えられませんので、大きな心配は不要です。
治療は特に必要がありませんが、見た目や外見を気にする場合には、レーザー治療が検討されます。心配であれば、皮膚科など専門医療機関を受診するとよいでしょう。
脂腺母斑
脂腺母斑は、先天的(幼少時など)に黄色いあざができる病気であり、主な発生部位としては、顔面や頭部が多いといわれています。
注意点としては、時間経過とともに、病変部が悪性化する恐れもあるので、日々患部の大きさや形状が変化しないか観察する必要があります。
専門的治療を積極的に希望されるケースが多く、低年齢の段階で切除することがよく認められます。
心配であれば、皮膚科や形成外科など専門医療機関を受診しましょう。
遅発性扁平母斑
遅発性扁平母斑は、思春期前後に発生する病気であり、周囲の皮膚より茶色っぽく見えるあざが出現します。
あざ自体を触ってみると、表面はザラザラである一方で、境界ラインはギザギザしているという特徴的な所見を示しています。
命に直接的に関わる病気ではありませんが、外見が気になる方が多いため、治療方法としては、レーザー治療が使用されます。
前向きに切除治療したい場合には、皮膚科や形成外科など専門病院を受診してください。
「黄色いあざ」症状についてよくある質問
ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「黄色いあざ」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
黄色いあざを早く治す方法はありますか?
甲斐沼 孟(医師)
黄色いあざの対処方法としては、安静にすることが第一であり、より早い回復を目指して、ヘパリン類似物質などの市販薬を用いると効果的に働く場合もあります。
体にできた黄色いアザは通常どのくらいの期間で治りますか?
甲斐沼 孟(医師)
打撲などが原因で身体に黄色いあざが出現している場合には、早ければ1週間~数週間程度であざは自然に吸収されていくでしょう。
黄疸とはどんな症状ですか?黄色っぽい痣ができるのも黄疸ですか?
甲斐沼 孟(医師)
黄色っぽいあざが出来る際にも黄疸の可能性があります。黄疸では、血中にビリルビン(黄色の色素)が過剰になって高ビリルビン血症を発症することで、一般的に皮膚や眼球粘膜が黄色くなる症状が現れます。
ぶつけていないのに黄色いあざがあるのですが白血病なのでしょうか?
甲斐沼 孟(医師)
ぶつけた記憶がないのに、身体に黄色いあざが認められる際には、白血病も検討する必要があります。白血病は、血液を作り出す造血幹細胞に異常が生じ、正常な血液を作る細胞が作られなくなる病気ですので、心配であれば専門病院で検査を受けましょう。
まとめ 黄色いあざが気になったら専門医療機関を受診しましょう
黄色いあざが出来る原因は、何かに体をぶつけて打撲するなどの外部からの衝撃が体内に入ることによって、皮膚や皮下組織を壊してしまい、出血が体の中にとどまることで起きます。
また、高齢者は老人性紫斑など弱い外力でも内出血を起こしてしまいますし、肝臓が悪い方の場合には黄疸が出現して身体の皮膚などに黄色いあざ所見が認められることがあります。
心配であれば、整形外科や皮膚科、消化器内科、血液内科、膠原病内科など専門医療機関を受診して相談するように努めましょう。
今回の情報が参考になれば幸いです。
「黄色いあざ」症状で考えられる病気
「黄色いあざ」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
皮膚科の病気
- 老人性紫斑
整形外科の病気
消化器内科の病気
- 黄疸
- 肝機能障害
膠原病内科の病気
血液内科の病気
何かに体をぶつけて打撲するなどの外部からの衝撃を受けると、皮膚や皮下組織を壊れて出血することが原因で黄色いあざは起こりえます。そのようなケガのエピソードがない場合には、何らかの病気が潜んでいることがあります。
「黄色いあざ」に似ている症状・関連する症状
「黄色いあざ」と関連している、似ている症状は7個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
関連する症状
- 発熱する
- 立ち眩みがする
- 鼻出血が起こる
- 歯茎から出血する
- 倦怠感がある
- 痣が消えない
- ぶつけてないのにあざができる
「黄色いあざ」症状の他にこれらの症状がある場合でも「老人性紫斑」「打撲」「黄疸」「肝機能障害」「血管炎」「白血病」などの疾患の可能性が考えられます。発熱や立ち眩み、出血症状がある場合には、早めの医療機関への受診を検討しましょう。