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「打撲(だぼく)」と骨折の見分け方はご存知ですか?医師が監修!

 更新日:2023/03/27
「打撲(だぼく)」と骨折の見分け方はご存知ですか?医師が監修!

打撲は生活をしていて、何かにぶつかったり転倒したりして身体を強く打ったことで起こりやすいです。打撲は状態によっては軽くみられる場合があります。

しかし、ただの打撲だと思っていても実は骨折や皮下組織にダメージを受けている可能性があるのです。状態によっては後遺症の危険もあるため、注意が必要になります。

今回は、打撲の症状・応急処置・治療法・自宅でのケアについてまとめました。打撲に対して適切な対処をするためにも、ぜひ参考にしてみてください。

郷 正憲

監修医師
郷 正憲(徳島赤十字病院)

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徳島赤十字病院勤務。著書は「看護師と研修医のための全身管理の本」。日本麻酔科学会専門医、日本救急医学会ICLSコースディレクター、JB-POT。

打撲(だぼく)の症状とは?

青あざ

打撲(だぼく)はどのような症状でしょうか?

打撲の症状は、身体の部位によって異なります。ぶつけた箇所の特定をして、症状の確認をしましょう。各部位の症状は下記の通りです。

  • 手足…腫れ・痛み・皮下出血など
  • 頭部…こぶ・頭痛・めまい・ふらつき・意識障害・脳震盪など
  • 首や背中…手足のしびれ・息苦しさ・吐き気など
  • 胸部…痛み・息苦しさ・吐き気など

頭部を打撲した場合は命にかかわる可能性もあるため、意識障害など異常がみられる場合は、すぐに受診をしてください。
打撲した直後に症状が現れるケースと、時間をおいて症状が悪化していくケースがあります。ぶつけた箇所と衝撃の強さを覚えておきましょう。

打ち身との違いを教えてください。

打ち身は打撲の別名で同じものです。転倒などによって身体の部位をぶつけた際に起こるものを、打撲=打ち身になります。
腫れ・痛み・皮下出血を伴うケースもあり、ぶつけた部位や症状によっては受診をして適切に対処をしてもらう必要があるのです。軽度の場合は自宅でケアすることで痛みが軽減されます。
しかし、長時間痛みがとれない場合や他に症状が現れた場合は、早めに受診をしてください。

内出血がみられない場合もあるのでしょうか?

打撲は、内出血を起こして痣になったり炎症を起こして腫れたりするケースもあれば、内出血もなく見た目ではわからないケースも少なくありません。
痛みが後からでてくるケースもあるため、自分でも気が付かないうちに打撲をしている方もいます。内出血など見た目でわかる症状がなくても、痛みがでる場合も多いです。
内出血などの症状がなくても、打撲した際は症状に注意をしましょう。痛みが強い場合や悪化する場合は受診をしてください。

打撲(だぼく)と骨折を見分ける方法はありますか?

打撲と骨折を見分けるには、痛みの状態・腫れや内出血の範囲を目安にしてみてください。
打撲した部位を動かそうとした際に、少ししか動かせなく痛みが強い場合や激痛で動かせない場合は骨折している可能性が高いです。ただ、普通に動いても痛みが強い場合は打撲と骨折どちらの可能性もあります。
打撲の場合はぶつけた箇所のみに腫れや内出血が起こるケースが多いです。骨折の場合は、広範囲に腫れや内出血が起こるケースが多くあります。
ただ、症状だけでは骨折か打撲か区別がつかない可能性も多いです。動かすことができても、痛みが強い・何日も痛みが引かない・痛みや腫れが強くなるなどの場合は、受診をするようにしましょう。

打撲(だぼく)の治療

診察を受ける女性

打撲(だぼく)の応急処置を教えてください。

打撲をした際は、すぐに安静にして患部の状態を確認しましょう。足や腕などの場合は、寝かせるか座らせるなど患者さんが楽な姿勢にします。
打撲の応急処置のポイントはR.I.C.E.です。アルファベットの意味は下記の通りになります。

  • Rest(安静にする)
  • Ice(冷やす)
  • Compression(圧迫する)
  • Elevation(高い位置に上げる)
  • 打撲をしたら、まずは安静にして痛みの度合い・変形・痣などの有無を確認してください。確認をしたら、打撲した患部を氷水などで冷やして炎症を抑えます。
    患部を布や包帯で適度に圧迫することで、腫れや痛みを和らげることが可能です。できるだけ患部を動かさないようにします。
    さらに患部を心臓より高くしましょう。応急処置の後、必要であれば病院を受診します。また、骨折や捻挫の疑いがある場合は、布やラップなどを使って患部を固定してください。

受診を検討するべき症状を教えてください。

打撲をした箇所が腫れあがる・痛みで動かせない・打撲箇所が変形している・骨が突き出ているなどの場合は、骨折をしている可能性があります。こまめに様子を確認しながら、早めに病院を受診しましょう。
頭部を打撲した際などは、状態によっては致命的な状態に陥る可能性があります。意識障害・めまい・麻痺・しびれ・嘔吐などの症状がみられる場合は、すぐに受診をしてください。
とくに意識が戻らない場合は、早急に病院へ救急搬送をしましょう。打撲をした直後は元気でも、しばらくしてから状態が悪くなることもあります。1ヶ月は注意をしてください。
打撲した痛みが数週間たっても続く場合も、専門医に相談をすると良いでしょう。

打撲(だぼく)はどのような治療を行いますか?

打撲を負った際の状況と患部の見た目から診断を行うことが多いです。骨折や捻挫が疑われる場合はレントゲン検査を、頭部の打撲の場合はCTやMRIなどの精密検査を行うこともあります。
打撲の治療は軽度のものであれば、湿布を貼り包帯で患部を圧迫固定しておくことで早めに完治する可能性が高いです。
患部をテーピングで固定して内出血や腫れが広がらないようにします。
打撲は整形外科を受診し、頭部をぶつけた後にめまいなどの症状が現れた場合は脳神経外科を受診してください。

打撲(だぼく)が治るまでの期間を教えてください。

打撲による組織の損傷が修復されて内出血を起こしている箇所が元に戻るには、だいたい1~2週間の期間が必要です。
内出血をしている箇所の皮膚の色が改善するには2~3週間かかることもあります。損傷した筋肉の回復もだいたい同じくらいの期間がかかるものです。
内出血が改善しても、痛みが残っている場合は専門医に相談をしてください。

打撲(だぼく)の予後と自宅でできるケア

腕をけがした女性

打撲(だぼく)の痛みや腫れはどのくらい続きますか?

打撲による痛みや腫れは徐々に軽減していきます。多くの場合は1~2週間、長くても3週間ほどで改善されることが多いです。
痛みが4週間以上続く場合や、強くなっていく場合は損傷した筋肉や組織の回復が追い付いていない可能性があります。場合によっては骨折をしているケースもあるため、注意が必要です。

安静が必要な期間を教えてください。

まず、打撲による腫れや痛みのピークである2~3日は、安静に過ごしてください。
筋肉は長い期間動かさずにいると、量が減ったり関節の動きが悪くなったりします。痛みのピークが過ぎて、腫れと痛みが落ち着いてきたら無理のない範囲で動かすようにしましょう。
打撲をした後は、患部を安静にすることが早く治すためのポイントになります。とくに打撲した直後に無理に動かしてしまうと、症状が悪化してしまう可能性があるのです。
ただの打撲だからといって油断をしないで、患部をできるだけ動かさずに安静に過ごしてください。

自宅でできるケアを教えてください。

打撲をした直後から3日ほどは、急性期といって患部に強い痛みと腫れが生じます。その後、痛みや腫れが落ち着く慢性期に入り徐々に回復していくものです。
急性期の間はできるだけ安静にして、患部を冷やしてください。打撲した部分よりも少し広い範囲を冷却バッグなどで冷やします。10〜20分ほど冷やした後、打撲による熱が落ち着いたら包帯やテーピングを巻いて圧迫・固定をしましょう。あまり強く圧迫すると血行が悪くなるため、注意をしてください。
打撲した部位は心臓より高い位置に上げておくと、内出血や痛みが緩和されます。椅子やクッションなどを使うと良いです。痛みが強い間は安静にして冷やしますが、その状態を長く続けていると血行が悪くなり筋肉の回復が遅くなります。
4〜5日過ぎて、腫れや痛みが引いたら徐々に動かして通常の状態に戻していきましょう。痛みのピークが過ぎたら、患部を温めると血流を促して損傷した細胞や筋肉に酸素を届けやすくなります。

最後に、読者へメッセージをお願いします。

打撲が軽症であれば、応急処置を施した後は様子をみても問題がないことが多いです。しかし、必要な処置をとらずに無理をしてしまうと痛みや内出血が長引いたり悪化したりする可能性があります。
また、打撲だと思っていても骨折や関節・筋肉の損傷を起こしているケースもあるため、注意が必要です。
痛みや腫れが強い間は、安静にして過ごすようにしましょう。ただの打撲だからといって油断は禁物です。
痛みが強い場合や長引く場合は放置をしないで早めに受診をしてください。

編集部まとめ

膝を抑える男性
今回は打撲についての解説をしてきました。打撲は打ち身とも呼ばれ、転倒したりぶつかったりした際に起こりやすい怪我です。

打撲や打ち身といわれると大したことはないと思いがちですが、油断して処置をしないでいると治りが遅くなったり悪化したりする可能性があります。

打撲を負った際は、痛みや腫れが治まるまでは安静にして様子をみるようにしましょう。また、ただの打撲だと思っても骨折をしている可能性もあります。

痛みや腫れが強い場合や、1ヶ月以上痛みが続く場合は早めに医療機関を受診して適切な処置をしてもらってください。

この記事の監修医師