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「耳の下が痛い」原因はご存知ですか?腫れてはいないが痛む原因も解説!

 公開日:2025/12/25

耳の下が痛い時、身体はどんなサインを発しているのでしょうか?Medical DOC監修医が解説します。気になる症状は迷わず病院を受診してください。

※この記事はメディカルドックにて『「耳の下が痛い」原因はご存知ですか?医師が片方だけ痛む場合も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

森崎 剛史

監修医師
森崎 剛史(医師)

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鳥取大学医学部卒業。医学博士。耳鼻咽喉科全般、声の疾患、甲状腺腫瘍を専門とする。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会認定耳鼻咽喉科専門医、日本内分泌外科学会認定内分泌外科専門医、日本超音波医学会認定超音波専門医の資格を有する。

「耳の下が痛い」症状で考えられる病気と対処法

耳の下にはどのような臓器があって、どのような病気が発症するのでしょうか。一般的に痛みの原因は炎症や腫瘍による痛み、神経性の痛み、筋膜や骨膜の痛みなど様々です。耳の下の痛みもこれらすべてがありえます。耳の下の痛みについて詳しく解説します。

耳の下が痛い症状で考えられる原因と治し方

耳の下には耳下腺という唾液を作る臓器があります。また耳下腺の中を顔面神経という顔を動かしている神経が走っています。また、耳下腺の中には小さなリンパ節も複数個存在します。その他に耳の下の後ろの硬い部分から鎖骨や胸骨にかけて、胸鎖乳突筋という首の筋肉があります。耳の下の痛みはこれらの臓器に由来する痛みが考えられます。基本的に受診する科は耳鼻咽喉科です。お近くの耳鼻咽喉科で相談してみましょう。

耳の下が痛く腫れはない症状で考えられる原因と治し方

耳の下がピリピリと痛むときは、ベル麻痺という病気の予兆である可能性があります。生活に支障が出るほどの痛みではなく、ピリピリが気になる程度の痛みです。ベル麻痺は末梢性顔面神経麻痺のうちのひとつで、どちらかの顔の動きがある日急に悪くなり、平均で数ヶ月感持続するものです。耳の下がピリピリと痛み、翌日以降にまぶたが閉じにくい、口角が上がりにくいなどの症状があれば、数日以内にお近くの耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳の下の痛みとリンパの腫れで考えられる原因と治し方

耳の下が痛く、周囲のリンパ節が腫れている時、急性耳下腺炎が考えられます。風邪やおたふく風邪のウイルスが耳下腺に炎症を起こしたり、口の中の常在菌が耳下腺から唾液を出す管(導管)を通って耳下腺に炎症を起こしたりする状態です。耳下腺そのものが全体的に腫れることもあります。炎症は周囲のリンパ節を腫らせますのでリンパの腫れとして自覚される方もおられます。すぐにできる処置としては、冷やして炎症を抑えると症状が和らぎます。お近くの耳鼻咽喉科を受診しましょう。

片方の耳の下が痛い症状で考えられる原因と治し方

片方の耳の下が腫れて強い痛みがあるとき、もともと存在している耳下腺腫瘍に由来する痛みのことがあります。耳下腺腫瘍とは耳下腺のなかにできた腫瘍で、比較的頻度が高い良性腫瘍であるワルチン腫瘍はそれ自体は痛みを起こさないのですが、時折腫瘍に細菌が感染してひどい炎症を起こすことがあります。
また、耳下腺の悪性腫瘍は、周囲にズキズキとした痛みを起こすこともあります。痛みが強い場合には腫瘍の可能性もありますのでお早めにお近くの耳鼻咽喉科で相談しましょう。

耳の下から首にかけて痛む症状で考えられる原因と治し方

耳の下から首にかけては、胸鎖乳突筋という筋肉が走行しています。この筋肉は肩こりのときの痛みのもととなっていることが多く、この筋肉の付け根である耳の下の後ろ側の乳様突起という骨のあたりに特に痛みが出やすいです。すぐにできる処置として、痛い部位をゆっくり押してほぐすようにすればしばらく痛みが和らぎます。痛みがひどい場合はペインクリニックなどに相談してみるのもよいでしょう。

酸っぱいものを食べると耳の下が痛い症状で考えられる原因と治し方

酸っぱいものを見た時、食べる時には、唾液を大量に出すために、唾液を作っている耳下腺の組織がぎゅっと絞られるように自律神経によって制御されます。そのため耳の下がぎゅーっと締め付けられるように痛むことがあり正常な反応です。ただしあまりに痛いときには耳下腺から口の中へ唾液を運ぶステノン管という管が細くなっていて唾液が通りにくくなっている、ステノン管狭窄症かもしれません。繰り返すのであれば、歯科の中でも口腔外科という科目を標榜しているクリニックに受診したり、耳鼻咽喉科で相談して総合病院などで精密検査を要するかどうかをみてもらいましょう。

すぐに病院へ行くべき「耳の下が痛い」に関する症状

ここまでは症状が起きたときの原因と対処法を紹介しました。
応急処置をして症状が落ち着いても放置してはいけない症状がいくつかあります。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。

耳の下にしこりがあり痛い場合は、耳鼻咽喉科へ

耳下腺腫瘍について少し触れましたが、耳下腺悪性腫瘍つまり耳下腺癌についてもう少し詳しくお伝えします。耳下腺にしこりがある場合、耳下腺付近が全体に硬くなっている場合に注意が必要です。耳下腺癌は周囲の神経に浸潤することで、神経由来の痛みを引き起こします。主要な3つの悪性兆候として知られているものに、顔面神経麻痺(顔の動きが弱くなること)、疼痛(耳の下がズキズキ痛くなります)、癒着(しこりが押しても動かず周りの筋肉と一体化している)、があります。これらの症状が重なっているときにはすぐにお近くの耳鼻咽喉科を受診してください。

「耳の下が痛い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「耳の下が痛い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

耳の下が痛くて腫れているときは何科の病院で治療できますか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

耳鼻咽喉科です。

大人で片方の耳の下が痛いのはおたふくかぜでしょうか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

おたふくかぜは片方または両方の耳下腺におこり、片方だからおたふくかぜとは言えません。

食べ物を食べると耳の下が痛いのは歯が悪いのでしょうか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

歯が原因で耳の下が痛むことは少なく、部位からはむしろ顎関節の異常はありえます。

耳の下の痛みや腫れは放置しても自然に治りますか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

進行していく病気も多くありますので、放置してよいかどうかを病院でみてもらいましょう。

耳の下の痛みはストレスと関係がありますか?

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

経験的にはストレスはベル麻痺、ハント症候群、耳下腺炎などあらゆる病気と関係していますが、直接的な原因とまでは断定できません。

子供で耳の下が痛い症状で考えられる原因と治し方を教えてください。

森崎 剛史 医師森崎 剛史 医師

反復性耳下腺炎といって小児に繰り返す耳下腺炎は思春期をすぎるころに自然に軽快します。おたふくかぜは通常のかぜと同様解熱鎮痛をしながら自然に収まるのを待ちます。

まとめ

耳の下の痛みの原因として、耳下腺、筋肉、神経、顎関節など様々な臓器の病気があげられます。軽い痛みのものからズキズキとした強い痛みのもの、病院でも自然に収まるのを待つものから放置すれば進行して重症になるものまで様々ですので、早めに一度は病院に受診してその後の検査・治療方針を医師と相談しておくことが重要になります。病院受診をためらわないようにしてください。

「耳の下が痛い」で考えられる病気と特徴

「耳の下が痛い」から医師が考えられる病気は10個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

耳鼻咽喉科の病気

放置すると重症になるものもありますので必ず病院受診をしましょう。

「耳の下が痛い」と関連のある症状

「耳の下が痛い」と関連している、似ている症状は11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

「耳の下が痛い」の他にもこれらの症状がある場合は、「ベル麻痺」「急性耳下腺炎」「唾石症」「顎関節症」「ハント症候群」などの疾患の可能性が考えられます。急激に悪化したり、しこりがあったりするような場合には、早めに耳鼻咽喉科で診察を受けましょう。

この記事の監修医師