スポーツの「肘の痛み」はどう治す?一般の整形外科と「スポーツ整形外科」の違い【医師解説】

スポーツをする方にとって「投球時に肘が痛む」「ラケットを振るとズキッとする」など、肘の痛みは極めて身近な悩みではないでしょうか。中でもテニス肘や野球肘、ゴルフ肘といった疾患は広く知られており、その原因や対処法は、大人と子どもとで大きく異なることがあります。そこで今回は、肘の治療法の選択肢、整形外科とスポーツ整形外科の違いなどについて、つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック院長の中谷創先生に詳しくお話を伺いました。

監修医師:
中谷 創(つくる整形外科祐天寺駅前スポーツクリニック)
2007年6月 自衛隊中央病院 整形外科、習志野駐屯地医務室
2009年8月 防衛医科大学校病院 整形外科、埼玉社会保険病院 整形外科
2012年10月 防衛医科大学校 医学研究科(大学院)
2016年10月 自衛隊札幌病院 整形外科部長
2018年8月 自衛隊中央病院 整形外科医長、自衛隊体育学校 医官
2022年12月 つくる整形外科 開院
編集部
スポーツに関係する肘の疾患の治療には大きく分けると、どのような方法がありますか?
中谷先生
まずは安静を保ち、痛みの軽減を目指す「保存療法」が基本となります。痛みが落ち着いた後には、再発予防も含めたリハビリテーションをおこない、肘だけでなく手首や肩、股関節など全身の動きも確認します。これにより動作の癖や負荷の偏りを是正することができます。症状が改善しない場合に、最近では、超音波で炎症部位を特定し、ブドウ糖などの浸透圧の高い液を入れることで、小さな組織を一度壊して回復を促す「プロロセラピー」が選択される場合があります。その他、再生医療の「PRP療法」もありますが、それらの治療でも改善しない場合は必要に応じて手術が検討されます。
編集部
子どもと大人とでは治療方針に違いはありますか?
中谷先生
基本的な治療方針は変わりませんが、子どもの場合は骨の成長に配慮した慎重な対応が必要です。成長軟骨へのダメージは将来の関節機能に影響を与える可能性があるため、無理にスポーツへ復帰させるのではなく、医師の指示に従い段階的にリハビリテーションを進めることが大切です。治療中も成長の進行を見極めながら、適切な時期に運動を再開できるよう配慮する必要があります。
編集部
一般の整形外科とスポーツ整形外科の違いについて教えてください。
中谷先生
一般整形外科では、痛みの緩和を主目的とした治療が多いのに対し、スポーツ整形外科は「競技復帰」を重視した治療を中心におこなう点が特徴です。肘の痛みの原因を全身の動きやフォームから総合的に分析し、必要に応じて股関節や体幹、肩などの連動も評価します。また、理学療法士と連携して再発予防に努めるなど、リハビリ体制も充実しており、パフォーマンス向上まで見据えたサポートが可能です。
※この記事はメディカルドックにて<繰り返す「肘の痛み」を根本から改善する! 治療法を整形外科医が徹底解説!>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。




