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【歯科医師解説】運動中の怪我や事故から歯を守るスポーツ用マウスピース(マウスガード )とは?

 更新日:2024/01/18

どんなに注意していても避けられないスポーツ中のケガ。腕や足のねんざ・骨折は筋肉を鍛えることである程度リスクを下げられる一方、歯やあごの骨のケガまでは回避できません。そこでおすすめなのが、運動中のケガから歯を守る「スポーツ用マウスピース(マウスガード)」です。今回はスポーツ用マウスピースの効果や作製の流れ、使用時の注意点などを、武部歯科医院の阿部先生に解説していただきました。

阿部 祐理子

監修歯科医師
阿部 祐理子(武部歯科医院)

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日本歯科大学生命歯学部卒業。同大学附属病院での研修、勤務を経て武部歯科医院副院長に就任。地域に根差した、患者様一人ひとりに寄り添う医療に心がける。日本歯科大学附属病院臨床講師、日本補綴歯科学会会員。日本糖尿病協会登録歯科医、日本スポーツ協会公認スポーツデンティスト。

歯科で作るスポーツ用マウスピース(マウスガード)の効果 着用義務・規定のある競技があるって本当?

歯科で作るスポーツ用マウスピース(マウスガード)の効果 着用義務・規定のある競技があるって本当?

編集部編集部

スポーツ用マウスピース(マウスガード)にはどのような効果があるのでしょうか?

阿部 祐理子先生阿部先生

1つは、転倒や衝突の際に「歯が折れる」「舌や頬の粘膜を傷つける」「骨折する」といったケガからお口を守る効果です。また、競技中は選手自身の歯が凶器となっての相手選手にケガを負わせてしまうこともありますが、マウスピースを装着しておくとそのような危険も回避できます。そのほかに、スポーツ用マウスピースにはあごの位置を固定して、パフォーマンスを向上させるという効果も期待できます。

編集部編集部

マウスピースの装着でスポーツのパフォーマンスも上がるということでしょうか?

阿部 祐理子先生阿部先生

はい。プレイ中にあごの位置が安定すると重心のブレがなくなり、全身のバランスもとりやすくなります。スポーツ用マウスピースには体幹が維持しやすい位置にあごを誘導する効果があり、これにより最高のパフォーマンスを引き出すことができます。

編集部編集部

スポーツ用マウスピースは、どの競技でも着用したほうがいいのでしょうか?

阿部 祐理子先生阿部先生

そうですね。可能であれば装着が理想的だと思います。とくに、バスケットボールや柔道、サッカーなど接触の激しい競技については積極的に装着したほうがいいでしょう。また、競技によってはルールでマウスピースの着用が義務付けられているスポーツもあるため注意が必要です。

編集部編集部

スポーツ用マウスピースの使用義務のある競技を教えてください。

阿部 祐理子先生阿部先生

ボクシング、キックボクシング、格闘技、アメリカンフットボール、アイスホッケーは、年齢や性別に問わず、使用が義務づけられています。また、空手の一部の団体、女子ラクロス、18歳以下のラグビーにもマウスピースの着用義務がルール上設けられています。競技によってはマウスピースに使用できる色も規定されているので注意してください。

※参考: Let’s8020 ナオミ通信マウスガードの重要性

歯科で作るスポーツ用マウスピース(マウスガード)は保険診療? 自由診療? 費用や作製の流れ・期間について

歯科で作るスポーツ用マウスピース(マウスガード)は保険診療?自由診療? 費用や作製の流れ・期間について

編集部編集部

歯医者さんで作るスポーツ用マウスピースは、保険が適用されるのでしょうか? また費用の目安も教えてください。

阿部 祐理子先生阿部先生

スポーツ用マウスピースの作成は保険が適用できません。自費診療となるため、費用は受診する歯科医院やマウスピースの種類によって異なります。費用の目安は1つにつき1~3万円前後です。

編集部編集部

歯科医院でスポーツ用マウスピースを作る場合、通院回数や作製期間はどれぐらいかかりますか? 治療の流れなども教えてください。

阿部 祐理子先生阿部先生

1日目にお口の中を確認し、とくに治療の必要がなければその日のうちに歯型取り、次回の来院時に完成したマウスピースをお渡しします。ですので、型取りから完成までは1週間~10日前後になります。その後、もう一度来院していただき、実際に使ってみて痛みや不具合がないかをチェックし、必要に応じて調整を行います。

編集部編集部

そうすると、通院回数としては「3回」が目安になるのですね。

阿部 祐理子先生阿部先生

基本的にはそうです。ただし、むし歯や歯周病の治療が必要な場合はそちらが優先となるため、実際にマウスピースが手に入るまでにはもう少し回数や期間がかかることがほとんどです。

歯医者さんと既成品、どちらがいい? スポーツ用マウスピース(マウスガード)の種類や選び方、使い方の注意点

歯医者さんと既成品、どちらがいい? スポーツ用マウスピース(マウスガード)の種類や選び方、使い方の注意点

編集部編集部

スポーツ用マウスピースには、歯医者で作る以外に既製品も販売してありますか?

阿部 祐理子先生阿部先生

その通りで、スポーツ用マウスピースはスポーツ店やネット通販でも既成品が販売されています。既製品はある程度の形が出来上がったものをお湯につけて柔らかくし、口に入れて指で圧接しながら自分の歯型にあわせていきます。

編集部編集部

スポーツ用マウスピースは既製品よりも、歯科医院で作るほうがいいのでしょうか?

阿部 祐理子先生阿部先生

そうですね。歯科医院で作製するマウスピースは「カスタムメイド」なので、既製品よりもフィット感が優れて外れにくいというメリットがあります。そもそも、スポーツ用のマウスピースは自身の歯型にピッタリ合ってないと本来の効果が発揮できません。したがって、その効果を十分に得たい場合は歯科医院で作製するカスタムメイドタイプをおすすめします。

編集部編集部

スポーツ用マウスピースを使用する際の注意点を教えてください。

阿部 祐理子先生阿部先生

スポーツ用マウスピースは歯にかなり密着しますので、使用前には必ずしっかり歯を磨いてから装着するようにしてください。また、スポーツ選手で注意したいのが、スポーツドリンクの飲用です。イオン飲料には糖分が多く含まれていますが、マウスピースを装着したまま飲んでしまうと歯に糖分が密着し、むし歯のリスクを高めてしまいます。したがって、糖分を含む飲料を飲んだあとはうがいや歯磨きをしっかり行っていただきたいです。

編集部編集部

最後に、読者へメッセージをお願いします。

阿部 祐理子先生阿部先生

スポーツは全世代の方々が楽しまれるものですが、その際に自身だけでなくほかの選手の歯や体を守るうえで、スポーツ用マウスピースは安全対策の1つとして非常に有効です。一方で、その重要性を知る機会がないと歯科医院でマウスピースを作ってみようという気持ちも生まれにくいと思います。本記事がそのきっかけの1つとなれば幸いです。

編集部まとめ

スポーツ用マウスピース(マウスガード)はスポーツ中のお口のケガ(歯の破折・あごの骨折)を防ぐほかに、スポーツパフォーマンスを向上させる効果が期待できます。これらの効果を十分に発揮するうえでは、既製品のマウスピースよりも歯科医院で作製するカスタムメイドタイプのほうがメリットは大きいようです。ご興味のある方は、スポーツ用マウスピースを取り扱う歯科医院をぜひ探してみましょう。

医院情報

武部歯科医院

武部歯科医院
所在地 〒762-0031 香川県坂出市文京町1-2-1
アクセス JR四国「坂出駅」徒歩3分
診療科目 歯科、口腔外科、小児歯科

この記事の監修歯科医師