大腸がん・胃がんを早期に見つけるには? “異常がなくても”内視鏡検査を受けるべき理由を医師が解説!
内視鏡検査は、大腸がんや胃がんを早期に発見し、適切な対策を取るために重要です。症状がなくても、ピロリ菌の有無を確認するために若いうちに一度は検査を受けることをおすすめします。定期的な検査で良性ポリープを早期に切除することで、大腸がんのリスクを大幅に低減できます。今回は「末木内科医院」の末木先生に、内視鏡検査を受けるべき理由や検査のメリットについて解説していただきました。健康維持のために、検査の定期的な実施を検討してみてください。
監修医師:
末木 良太(末木内科医院)
編集部
内視鏡検査はどのような人が受けるべきでしょうか?
末木先生
内視鏡検査の種類によって違いますが、たとえば「上部消化管内視鏡検査」なら、胸やけ、食事のときに食べ物が詰まる感じ、上腹部痛、吐き気、食欲不振、体重減少などの症状がある人は受けた方が良いでしょう。
編集部
大腸を観察する「下部消化管内視鏡検査」はどうでしょうか?
末木先生
たとえば健康診断などで便潜血検査を行い、陽性反応が出た人は受けることをおすすめします。そのほか血便、便秘や下痢が続く、便が細くなった、粘液便が出る、腹痛や腹部膨満感がある、残便感があるといった人も受けた方が良いでしょう。
編集部
そのような症状がなければ受けなくても良いのでしょうか?
末木先生
最近は減少傾向にありますがヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)に感染している人がいます。ピロリ菌に感染すると慢性胃炎を起こし、胃がんのリスク因子となります。なるべく若いうちにピロリ菌を除菌した方が将来的な胃がんリスクを減らせることが知られています。
編集部
内視鏡検査を受ければピロリ菌の有無が分かるのですか?
末木先生
内視鏡で胃粘膜を観察すればピロリ菌がいるかいないかだいたい判断することができます。ですので、若いうちに一度は検査を受けることをおすすめします。
編集部
そのほか、内視鏡検査を受けるメリットはありますか?
末木先生
下部消化管内視鏡検査は大腸がんの早期発見に役立ちます。大腸がんは良性のポリープが成長して発生することもあるので、良性のうちに切除してしまえば予防することができます。“便潜血反応陰性=大腸がんやポリープがない”ということではないので、大腸がんの発症率が上がる40歳になったら一度は下部消化管内視鏡検査を受けることをおすすめします。
編集部
症状がない人は、どれくらいの頻度で受ければ良いですか?
末木先生
20歳を過ぎて一度上部消化管内視鏡検査を受け、ピロリ菌感染もなく特に大きな問題がないことが分かれば、その後は3年に一度くらいの頻度でよいでしょう。ピロリ菌がいる場合はなるべく早いうちに除菌し、胃炎の程度にもよりますが基本的には年に1回は内視鏡検査をした方が良いと考えます。定期的に検査を受ければ、もしがんが見つかったとしても内視鏡による治療で治癒が見込めます。
編集部
下部消化管内視鏡検査も定期的に受けるべきでしょうか?
末木先生
以前日本では5mm以下のポリープはがんのリスクが低いため経過観察することが多かったのですが、今でも大腸がんの患者数は増えています。一方、アメリカでも2000年代大腸がんの方は増えていましたが「クリーンコロン」といってポリープを見つけたらすべて切除しキレイな腸にするというキャンペーンを行った結果、大腸がんによる死亡率が低下しました。現在、日本でもこの「クリーンコロン」の考え方が浸透しており、定期的にポリープができていないか検査し、見つかったら切除することは大腸がんのリスク減少に役立つと考えられています。
※この記事はMedical DOCにて<【医師解説】大腸がんの早期発見にもつながる「内視鏡検査」とは? 自覚症状がなくても受けるべき?>と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。