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1ヶ月〇%の減量が健康的に痩せる理想のペース、リバウンドしにくいダイエット法を医師が解説

 公開日:2023/11/17
1ヶ月で痩せるペースの理想とは? 適切な減量計画を解説【医師が勧めるダイエット】

ダイエットを決意して、減量計画として1ヶ月で落とす体重の目安を決めたい人は多いのではないでしょうか。しかし、「リバウンドしにくく痩せるにはどのくらいのペースがいいの?」「健康的に痩せる減量のペースとは?」などと、一度は疑問に思ったことがある人も多いと思います。そこで、医師がすすめる理想のダイエット方法について、「SUGAR LLC」の佐藤先生に回答してもらいました。

佐藤 将人

監修医師
佐藤 将人(SUGAR LLC)

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東北大学医学部医学科卒業。「健康的に豊かに生きる」を理念とするスタートアップ企業SUGAR代表医師。宮城県仙台市を中心に企業の組織力や社員の個人力や生産性を高める事業を展開。医師としての知見を生かして自ら肉体改造してシックスパックを達成、精神心理的知見からメタ認知推進の活動に従事。日本肝臓学会専門医、日本外科学会専門医、日本医師会認定産業医、中小企業診断士、仙台市食育推進会議委員、労働衛生コンサルタント。

ダイエットのペースは現在の体重から1ヶ月に0.5〜1%ずつ減らすのが理想

ダイエットのペースは現在の体重から1ヶ月に0.5〜1%ずつ減らすのが理想

編集部編集部

ズバリ、ダイエットで痩せる理想的なペースはどのくらいがいいのでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

結論として、減量のペースとして1ヶ月あたりに現在の体重の0.5〜1%を落とすことが理想です。より正確に表現すると、肥満症の減量目標として3〜6ヶ月で現体重の3%を落とすことが目標とされています。このダイエットのペースは2022年12月に改定された肥満症診療ガイドラインで推奨されています。なお、BMI35以上の高度肥満症においては、減量目標を現代の体重から3〜6ヶ月間で5〜10%減量することが推奨されています。

(※)BMI:Body Mass Indexのことで身長に対する体重の目安の指標

編集部編集部

なぜ、減量のペースとして、1ヶ月あたりに現在の体重の0.5〜1%を落とすことが理想的なのでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

ダイエットでは、一度減量に成功してもリバウンドする可能性があります。そして、リバウンドしないためには、減量で身につけた食事習慣や運動習慣を無理なく続けられるようにすることが重要です。1ヶ月で過度に痩せるダイエット方法と比較して、1ヶ月あたりに現在の体重の0.5〜1%を落とすダイエットでは、ダイエット終了後にも同じ習慣を継続しやすいことから理想的とされています。

編集部編集部

では、ダイエットで1ヶ月に現在の体重の0.5〜1%を落とすとリバウンドしくいこと以外にメリットはありますか?

佐藤 将人先生佐藤先生

このペースで痩せると生活習慣改善と習慣の維持がしやすいという行動変容以外に、健康障害も改善することがわかっています。具体的には、肥満症の人が3〜6ヶ月で現体重の3%を落とした場合には、血糖・血圧・脂質・尿酸・肝機能の値が改善したと報告されています。

現在の体重から1ヶ月に0.5〜1%ずつ落とすダイエットの5つの健康的効果

現在の体重から1ヶ月に0.5〜1%ずつ落とすダイエットの5つの健康的効果

編集部編集部

現在の体重から1ヶ月に0.5〜1%ずつ減量した場合の健康的な効果についてより具体的に教えてください。

佐藤 将人先生佐藤先生

2013年に公表された特定健康診査・特定保健指導の結果では、BMI25以上の人で肥満が原因、または関連する病気を合併した人では、3〜6ヶ月で現体重の3%を落とした場合、次の5つの病態が有意に改善したと報告されています。

高血圧
糖尿病
脂質異常症
高尿酸血症
肝機能障害

編集部編集部

3〜6ヶ月で現体重の3%を落とした場合、血圧や血糖値などはどのくらい改善するのでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

具体的な数値としては、次の通りです。

血圧:2〜4mmHg低下(収縮機血圧2〜4mmHg・拡張期血圧3〜4mmHg)
血糖:空腹時血糖値 1〜2mg/dl低下・HbA1c 0.05〜0.07%程度低下
脂質:LDLコレステロール(悪玉コレステロール) 4mg/dl低下・HDLコレステロール(善玉コレステロール)1〜2mg/dl増加・中性脂肪30〜40mg/dl低下
肝機能:AST 2〜4IU/l低下・ALT 5〜10IU/l低下・γ-GTP 7-10IU/dl低下
尿酸:0.1〜0.15mg/dl低下

編集部編集部

すごい効果ですね。もし、3〜6ヶ月に現体重の3%以上の体重を落としたら、血圧や血糖値などの数値はさらに改善するのでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

はい、3〜6ヶ月で現体重の3%を減量した場合と比較して、5%以上の体重を落とすとそれぞれの数値全てが約2倍改善すると報告されています。そのため、BMI35以上の高度肥満症の人の場合では、3〜6ヶ月で5%の減量を目標とすることが推奨されています。しかし、3〜6ヶ月で現体重の5%の減量は負担が大きいことも考えられるため、合併する健康障害に応じて無理のない減量目標を設定することが大切です。すでに高血圧や糖尿病などの合併症がある人は、かかりつけ医によく相談した上でダイエットの目標設定をおこなってください。

1ヶ月で現在の体重の0.5〜1%を減らすダイエットの実践方法

1ヶ月で現在の体重の0.5〜1%を減らすダイエットの実践方法

編集部編集部

それでは、1ヶ月で現在の体重の0.5〜1%を減らすためには、どのように食事を管理すればいいでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

肥満症の食事療法では、1日あたりの摂取エネルギーは25kcal/kg標準体重以下とすることが推奨されています。標準体重とは、自分の身長に対してBMI22の体重のことで、「標準体重=身長(m)×身長(m)×22」で計算します。例えば、身長160cmの人なら、標準体重は1.6×1.6×22=56.3kgです。そのため、身長160cmの人の1日あたりの摂取カロリーは25×56.3kg=1,408kcal/日程度です。

編集部編集部

1日の食事の摂取エネルギーはだいぶ少ないのですね。食事面でエネルギー以外に気を付けることはありますか?

佐藤 将人先生佐藤先生

はい、この目安はあくまでBMI25以上で高血圧などの疾患を合併している肥満症の方が対象ですが、1日の運動量や活動量が少ない人でも参考になりうる目安です。しかし、体を動かす頻度が多い人は、もう少し多く1日あたりの摂取カロリーを30kcal/kg標準体重以下と柔軟に調整してもいいかもしれません。エネルギー以外としては、糖質50〜60%・たんぱく質15〜20%・脂質20〜25%とカロリーに換算して栄養のバランスを調整することが大切です。特に、たんぱく質はBMI22の標準体重あたり1kgあたり1gを最低限摂取すること、極端な糖質制限は控えたほうがいいことに注意してください。

編集部編集部

それでは、1ヶ月で現在の体重の0.5〜1%を減らすためには、どのように運動すればいいでしょうか?

佐藤 将人先生佐藤先生

運動としては、有酸素運動が効果的で、ウォーキングやジョギングなどを1日合計30分・1週間に5日程度おこなうことがよいとされています。これから運動を始める人は、まずは習慣作りとして実施しやすく気持ちいいと感じる運動からはじめることがおすすめです。すでに運動している人や運動習慣がついた人は、筋トレなどの無酸素運動も取り入れて筋肉量の維持増量をおこなうことがおすすめです。まずは無理のない範囲で今よりプラス10分を目標に運動してみてください。

編集部まとめ

医師がおすすめするダイエットのペースは3〜6ヶ月間に現在の体重の3%、1ヶ月に換算すると0.5〜1%が目安です。このペースで減量すると、ダイエット中の食事や運動習慣が維持しやすく、リバウンドしにくくなります。また、肥満症の人が3〜6ヶ月で現在の体重より3%以上体重を落とすと血糖・血圧・脂質・尿酸・肝機能の値も改善します。ぜひ本記事を参考に、実現可能性の高いダイエット計画を作成し、減量の成功に役立ててください。

この記事の監修医師