「急性大動脈解離で急死する前に現れる症状」はご存知ですか？医師が解説！

「急性大動脈解離」とは？

心臓から出た大動脈は、外膜、中膜、内膜の3層構造となっていて、十分な強さと弾力を持っています。これがなんらかの原因により、内側にある内膜に裂け目ができ、その外側にある中膜に血液が入り込みます。このように大動脈が避けた状態を、（急性）大動脈解離といいます。急性大動脈解離は、急死する原因にもなります。そこで、この記事では急性大動脈解離の命に関わる重要な症状や、起こりやすい人の特徴などについて解説します。

急性大動脈解離で急死する前に現れる症状

急性大動脈解離で急死する前にはさまざまな症状が現れます。特に、上に挙げた急死する原因の症状が現れたら注意が必要です。この章では急性大動脈解離で急死する前に現れうる症状について解説します。

胸や背中の激しい痛み

急性大動脈解離の多くの方は、発症時に胸や背中に激しい痛みを訴えます。特に、過去に経験したことのない強い痛みと表現されることが多く、引き裂かれるような痛みが特徴的です。急性大動脈解離のできる場所によって、胸の前が強く痛んだり、背中やお腹が強く痛んだりすることがあります。しかし、中には痛みを生じない場合もあり、痛みがないから急性大動脈解離ではないとは言えません。

失神

失神は意識を一時的に失うことですが、急性大動脈解離でも失神することがあります。急性大動脈解離は、心臓や脳へ行く血流を妨げることがあります。その結果、急性大動脈解離が起こると、意識を一時的に失います。また、急性大動脈解離では激しい痛みによって、迷走神経反射を引き起こし、失神してしまう場合もあります。

手足のしびれや麻痺

急性大動脈解離が起こると、脳を栄養する血管の血流が十分に届かないことがあります。その結果、脳梗塞の状態になると、手足のしびれや麻痺などの症状が出ることがあります。これらの症状がある場合は、急性大動脈解離によって脳への血流が妨げられている恐れがあります。

呂律がまわらない

手足のしびれや麻痺と同じく、脳梗塞によって、ろれつが回らなくなることがあります。これらの症状がある場合は、急性大動脈解離の影響が脳への血管に影響してきている可能性があります。