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「骨密度」に異常があるとどんな病気になりやすい?医師が解説!

 公開日:2025/12/21

骨密度の異常で気をつけたい病気・疾患とは?メディカルドック監修医が解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「骨密度が高い人の特徴」とは?骨密度を高める5つの行動も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

木村 香菜

監修医師
木村 香菜(医師)

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名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。

「骨密度」とは?

骨密度とはどのようなものなのか、どのような検査でわかるのかについて解説していきます。

骨密度とは?

骨密度とは、骨の強さを評価するために広く使用されている指標です。
単位面積(㎠)あたりの骨塩量(g)によって計算され、骨粗鬆症の診断基準としても用いられています。
骨はカルシウムなどのミネラル成分によって構成されており、こうした成分は「骨塩」と呼ばれています。 骨密度は、それらの成分の詰まり具合を表しているのです。

骨密度は何の検査でわかる?

骨密度を調べ、骨粗鬆症の診断をするためにはdual-energy X-ray absorptiometry(DXA法;2重X線吸収法)という方法が一般的です。この検査は、腰や足の付け根に2種類のX線をあてて骨密度を測定するものです。
骨粗鬆症検診や、骨折などがあり骨粗鬆症を疑う場合の精密検査として整形外科で行われます。診療報酬点数は360点となっており、3割負担であれば検査自体は1000円程度となります。

microdensitometryh法;MD法は手の平をX線撮影し、人差し指の骨とアルミニウムの濃度を比べて骨密度を測定します。MDも保険適用となっており、診療報酬点数は140点です。こちらも骨粗鬆症の診断に用いることができます。

定量的超音波測定法(quantitative ultrasound:QUS法)は、超音波を使って骨量を評価する方法です。かかとの骨を調べることが多いです。X線の被曝がなく、妊婦さんにも用いることができるというメリットがあります。人間ドックや検診では骨粗鬆症のスクリーニングに用いられますが、確定診断としては現時点では用いられていません。保険適用であり、診療報酬点数は80点です。

骨密度の基準値は?

日本では、骨密度を用いて骨粗鬆症の診断基準が作成されています。
以下のような場合に骨粗鬆症と診断されます。

・骨がもろくなってしまったために起こった骨折(脆弱性骨折)がある場合:骨密度が若年成人平均値(young adult mean:YAM)の80%未満
・脆弱性骨折がない場合:YAMの70%未満

一方、骨粗鬆症検診では、結果に応じて以下のような判定となります。

・測定値がYAMの90%以上かつ、骨粗鬆症の危険因子なし:異常なし
・測定値がYAMの90%以上かつ、骨粗鬆症の危険因子あり:要指導
・測定値がYAMの80%以上90%未満:要指導
・測定値がYAMの800%未満:要精密検査

要指導の場合には、生活習慣の改善を意識することが大切です。要精密検査の場合には、整形外科などを受診するようにしましょう。

「骨密度」の異常で気をつけたい病気・疾患

ここではメディカルドック監修医が、「骨密度」に関する症状が特徴の病気を紹介します。どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

骨粗鬆症は骨が脆くなり骨折のリスクが高まる病気のことです。骨量の低下と骨組織の異常を特徴としています。若い時期に骨量が十分に高まらなかったことや、閉経によるエストロゲン欠乏、カルシウムやビタミンD、Kの欠乏などが原因となります。加齢による筋力低下や寝たきりによる不動状態によって力学的な負荷が低下することによっても骨量は低下します。
バランスの良い食事を心がける、適度な運動などが骨粗鬆症予防のためには大切です。骨粗鬆症検診などで骨密度の低下を指摘された場合は、整形外科を受診するようにしましょう。

高カルシウム血症

高カルシウム血症は、血液中のカルシウム濃度が以上に高くなってしまった状態のことです。腎機能低下や、原発性副甲状腺機能亢進症、悪性腫瘍などが原因となります。原発性副甲状腺機能亢進症の骨密度が低下してしまう場合があります。
高カルシウム血症は、骨粗鬆症に対する治療としての炭酸カルシウム製剤やビタミンD製剤の投与によってもみられます。
軽度の場合は無症状で、血液検査で偶然発見されることが多いです。重症化すると倦怠感や疲労感、食欲低下、筋力低下、口の渇き、多飲、多尿、悪心嘔吐などがみられます。
治療としては、原因となっている病気の治療が第一となります。加えて、腎機能低下や脱水症状、骨吸収の亢進に対する治療が行われます。

糖尿病

糖尿病は、インスリンの働きが不十分になることで血液中のブドウ糖の濃度が高くなってしまう病気です。合併症として、心血管障害や脳血管障害、神経障害、網膜症、腎症などが知られています。高血糖状態が続くことで骨のコラーゲンが十分に形成されず、また骨を過剰に硬く脆くしてしまう終末糖化産物と呼ばれる物質が大量に作られます。その結果、骨密度の低下が進んでしまうと考えられています。
血糖値が高くても、特に症状がない場合も多いです。健康診断などで血糖値の異常を指摘された場合には、生活習慣改善が大切です。精密検査が必要な場合には、糖尿病内科や内分泌内科を受診しましょう。

骨折

骨粗鬆症以外でも骨折することはもちろんあります。しかし、骨密度が低くなると骨折のリスクも高まります。特に、太ももの骨(大腿骨)の骨折は寝たきりや要介護状態の原因ともなります。注意しておきましょう。

「骨密度が高い人の特徴」についてよくある質問

ここまで骨密度が高い人の特徴などを紹介しました。ここでは「骨密度が高い人の特徴」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。

骨密度を高めるためにどんなスポーツが効果的ですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動がお勧めです。無理ない範囲で体を動かしましょう。

骨密度が高い人は体重が重いですか?

木村 香菜木村 香菜 医師

体重が重いと骨密度が高くなるわけではありませんが、低体重の方は骨密度が低くなる可能性があるという報告もあります。無理な食事制限は避け、バランスの良い食事を心がけることが大切です。

まとめ

骨密度は、健康寿命を延ばすうえで非常に重要な指標です。骨密度が高いことで骨折のリスクを減らし、転倒や寝たきりの予防にもつながります。一方で、骨密度が高ければ必ずしも骨が丈夫とは限らず、骨質の劣化も関係することを理解しておくことも大切です。
普段からバランスの良い食事、適度な運動、禁煙、適正な飲酒、そして日光浴を意識し、骨の健康を守っていきましょう。骨密度が気になる方は、骨密度検診などの検査を受けることもおすすめします。

「骨密度」の異常で考えられる病気

「骨密度」の異常から医師が考えられる病気は12個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。

整形外科系の病気

内分泌内科系の病気

血液内科系の病気

消化器内科系の病気

骨密度が低下するような病気には、これらのようなものがあります。骨の状態をチェックするためには、骨密度検診などを受けることも大切です。

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