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「血圧の薬を服用できない人」の特徴はご存知ですか?医師が徹底解説!

 公開日:2025/12/09

Medical DOC監修医が血圧の薬を服用できない人の特徴や・医師が血圧の薬を処方する人の特徴などを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「血圧の薬」を飲み忘れるとどうなる?薬の種類や副作用についても医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

伊藤 陽子

監修医師
伊藤 陽子(医師)

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浜松医科大学医学部卒業。腎臓・高血圧内科を専門とし、病院勤務を経て2019年中央林間さくら内科開業。相談しやすいクリニックを目指し、生活習慣病、腎臓病を中心に診療を行っている。医学博士、産業医、日本内科学会総合内科専門医、日本腎臓学会腎臓専門医、日本透析医学会透析専門医、日本東洋医学会漢方専門医、日本医師会認定産業医、公認心理師。

血圧とは?

血圧とは、心臓から血液が送り出された時に血液が血管の壁を押す力のことです。まずは血圧の基礎について、簡単に解説します。

血圧の数値で体の何がわかる?

血圧の数値を調べると、心臓と血管の状態が分かります。

たとえば、高血圧が続いている場合は、動脈硬化や腎臓への負担、心筋梗塞・脳卒中などのリスクが高まっている可能性があります。

つまり、血圧の数値は全身の血流の状態や臓器への負担を知る手掛かりとなるのです。

血圧の測定方法

血圧は日常的に変動しており、身体の正確な状態を知るには毎日同じ状況で測る家庭での血圧の把握が欠かせません。
毎日朝晩に、静かで落ち着いた状態で血圧を測定しましょう。

血圧の状態によっては、夕食前や調子の悪いときなどのタイミングで追加の計測が必要な場合もあります。

医師が血圧の薬を処方する人の特徴

血圧が高くても、すぐに薬が開始されるとは限りません。血圧がそれほど高くない場合には、生活習慣の改善をまず行い、それでも血圧が十分に下がらない場合や、以下のような特徴を持つ人には、薬の処方が検討されます。

生活習慣病がある

糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病を合併している方は、血管が傷みやすかったり動脈硬化のリスクが高かったりします。そのため、特に複数の生活習慣病がある場合は早めに薬の処方を開始します。

心臓や脳などに持病がある

以下のような心臓、脳、血管に持病や過去の病歴がある方は、病状の悪化の予防、再発予防のためにしっかりとした血圧コントロールが必要です。

  • 過去に心筋梗塞や狭心症の発作を起こしている
  • 大動脈解離大動脈瘤などの血管の病気がある
  • 心不全が持病にある
  • 過去に脳卒中(脳梗塞・脳出血)を起こしている、脳動脈瘤がある

腎臓病がある

腎臓は細い血管が集まっているため、高血圧によってダメージを受けやすい臓器です。また、逆に腎臓病が高血圧を引き起こすこともあります。高血圧を放置すると、腎機能が低下し血圧がさらに上がる悪循環におちいるケースが珍しくありません。また、蛋白尿を伴う慢性腎臓病では、蛋白尿を減少させ、腎臓を保護する目的で血圧が低くともACE阻害剤やARBといった降圧剤を使用することもあります。

たばこを吸う

喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を促進する危険因子です。たばこを吸う方は吸わない方よりも心臓や脳の病気になりやすいため、適切な血圧を保つことが非常に大切です。また、たばこに含まれるニコチンや一酸化炭素自体も血圧を上昇させ、高血圧を悪化させる可能性があります。禁煙が理想的ですが、まずは減煙からでも始めてみましょう。

血圧の薬を服用できない人の特徴

血圧の薬は多くの人にとって有効ですが、服用できなかったり、特に慎重な投与が必要になったりする場合もあります。
薬によって異なりますが、血圧の薬を服用できない人の例をいくつか紹介します。

飲み合わせの悪い薬を服用している

一部の血圧の薬は効果が強くなりすぎたり弱くなったりする可能性があるため、いっしょに飲めない薬があります。たとえば、以下のような薬です。

  • 一部のカルシウム拮抗薬:抗真菌薬や抗ウイルス薬の一部
  • 一部の利尿薬:一部の免疫抑制剤

また、いっしょに飲むことはできるものの、薬の量や種類を慎重に検討する必要がある薬も少なくありません。

飲んでいる薬がある方は、必ず医師・薬剤師へ伝えるようにしてください。

その薬の成分にアレルギーがある

過去に特定の降圧薬で発疹、かゆみ、アナフィラキシーショックなどのアレルギー反応を起こしたことがある場合、同じ系統の薬も避ける必要があります。

薬のアレルギーがある場合は、必ず受診時に伝えるようにしてください。

腎臓・肝臓の機能が大きく落ちている

多くの薬は、腎臓や肝臓で代謝・排泄されます。そのため、腎臓や肝臓の機能が大きく弱っていると、薬の代謝ができずに、効果が強く出すぎたり副作用が出やすくなったりする可能性があります。臓器の状態によって適切な薬の種類や量が異なるため、健康診断で異常を指摘されたことのある方や他の病院で治療を受けている方は必ず医師へ伝えてください。

「血圧の薬」についてよくある質問

ここまで血圧の薬について紹介しました。ここでは「血圧の薬」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血圧を下げるデメリットについて教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血圧を下げるデメリットは、以下のとおりです。
・下がりすぎるとめまい、ふらつきが出る可能性がある
・薬が合わないと副作用が出る可能性がある
・長期的な治療が必要なこともあり、医療費がかかる
ただし、基本的には血圧が高い状態を放置すると、心不全、腎不全、脳卒中などの病気が引き起こされることもあります。この場合には命の危険性もあり、またさらに高額な医療費がかかります。血圧について不安な点がある場合は、早めにかかりつけの内科・循環器科へ相談しましょう。

血圧の薬を飲む目安について教えてください。

伊藤 陽子医師伊藤 陽子(医師)

血圧の薬を飲み始めるタイミングは、以下のような複数の要因から総合的に判断します。
・現在の血圧
・基礎疾患の有無(心疾患・脳血管障害・生活習慣病、腎臓病など)
・年齢
・喫煙の有無
血圧がやや高くても、リスクとなる因子が少ない場合は生活習慣の改善による血圧低下を試みます。生活習慣を改善しても血圧が下がらない、もしくは改善が難しいなどの場合は、薬の処方を行います。
どの程度の期間、生活習慣の改善のみで様子をみるかも、リスク因子と現在の血圧によって異なります。

まとめ

血圧の薬には、カルシウム拮抗薬、ACE阻害薬、ARB、β遮断薬、利尿薬などのさまざまな種類があります。それぞれの薬は異なる方法で血圧を下げるため、医師の指示する飲み方を守って正しく服用することが非常に大切です。高血圧は治療が長期にわたり、自覚症状がないケースも多いため、自己判断で薬を中止して体調が悪化するケースが珍しくありません。将来の脳梗塞、脳出血、心筋梗塞などのリスクを軽減するために、ぜひ自分が処方された血圧の薬について知り、正しく飲むことを心がけてください。

「血圧」の異常で考えられる病気

「血圧」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器系の病気

内分泌系の病気

  • 原発性アルドステロン症
  • 偽アルドステロン症

脳外科の病気

血圧は体内のさまざまなホルモンによって調節されています。何かしらの病気により血圧が高い場合は、原因となっている病気の治療を行いましょう。

この記事の監修医師