「血圧の下が低いと現れる症状」はご存知ですか?医師が解説!

血圧の下が低いと現れる症状とは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「血圧の下が低い」原因はご存知ですか?男女別の原因・低いと現れる症状も解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
血圧とは?
血圧とは、心臓から送り出された血液が血管を押す力です。心臓のポンプ機能や血管の状態などを反映する値で、血圧の異常が続くと健康に影響を及ぼす可能性があります。
血圧には2つの値がありますが、今回は血圧の下の値に注目し、考えられる原因や症状、予防法をお話します。
血圧の数値で体の何がわかる?
血圧は、どれくらい血管に圧力がかかっているかを表した数値です。全身の血液循環の状態や、心臓や血管の健康状態を知るための指標となる重要な値で、
心臓から押し出される血液の量、血管の収縮度合い、血管のしなやかさ、といった要素で決まります。
常に一定ではなく、日常生活や運動、ストレス、測定時の姿勢、時間帯などによって変動します。
血圧の測定方法
日本高血圧学会が推奨している血圧の測定法をご紹介します。
静かで適当な室温の環境下で、安静に座った状態で1〜2分休んでから測定します。利き手と反対側の上腕が心臓の高さになるように複数回測定し、平均値をとります。測定中は動いたり話したり、力が入ったりする動きは避けてください。また、測定値に影響が出る可能性を考え、測定前に喫煙、飲酒、カフェインを摂らないようにしましょう。
血圧には、医療機関の診察室で測る「診察室血圧」と、自宅で測る「家庭血圧」の2種類がありますが、基本的にはどちらも測定法は同じです。自宅で測定する場合、朝と夜の1日2回計測し、血圧計は精度検定済みで数値に信頼性が持てる上腕用の血圧計を使いましょう。
診察室血圧は、1日だけでなく別の日にも測定し、複数回の結果を元に判断します。また、家庭血圧は5〜7日間かそれ以上の測定値の平均で判断します。
血圧の上とは?
血圧の「上」は、正式には「収縮期血圧」と呼ばれます。心臓が収縮して血液を全身に送り出す際の、血管に最も圧力がかかっている時の値です。この時、心臓の収縮で大動脈に血液が流れ込み、膨らんだ状態になります。
最近話題になっている「動脈硬化」という言葉をご存知でしょうか?動脈硬化が進んで大動脈が硬くなると、収縮期の膨らみが不十分となって上の血圧が上がります。この状態は「収縮期高血圧」と呼ばれ、重大な病気を引き起こす可能性があります。
血圧の上の基準値
血圧の基準値は年代や性別に関係なく決められており、測定する環境によって正常値に若干差があります。
先ほどご紹介した「診察室血圧」と「家庭血圧」の2種類では、成人の場合、上の血圧は診察室血圧では120mmHg未満、家庭血圧では115mmHg未満が正常血圧とされています。
血圧の上はいくつから高いと判断できる?
血圧の上の値について、診察室血圧では140mmHg、家庭血圧では135mmHgを超えたら「高血圧」と診断されます。
診察室血圧では正常範囲内でも家庭血圧が高血圧の場合、高血圧の判定では家庭血圧が優先です。
一方、「正常値よりも高いものの高血圧と診断されるまでではない」数値は「正常高値血圧」「高値血圧」として分類されています。いわゆる「高血圧予備軍」と考えられ、注意が必要です。
以下に、血圧の上と高血圧の基準をまとめました。
| 分類 | 診察室血圧の上 | 家庭血圧の上 |
|---|---|---|
| 正常血圧(単位:mmHg) | <120 | <115 |
| 正常高値血圧(単位:mmHg) | 120–129 | 115–124 |
| 高値血圧(単位:mmHg) | 130–139 | 125–134 |
| 高血圧(単位:mmHg) | 140≦ | 135≦ |
正常血圧と正常高値血圧では、上の基準だけでなく下の基準も満たすことが条件です。
続いて、血圧の下についてみていきましょう。
血圧の下とは?
血圧の「下」は、正式には「拡張期血圧」と呼ばれます。心臓が拡張する時に血管にかかる圧力です。心臓から送り込まれた血液を溜めていた血管が元に戻り、その間にも血液が送られます。
拡張期血圧は末梢の動脈硬化とともに徐々に上昇します。しかし、さらに動脈硬化が進行して大動脈が拡張できなくなると、心臓の収縮時に大動脈に血液をため込めなくなり、拡張期血圧が低下するようになります。
身体全体に血液を送るため心臓が収縮・拡張するごとに、血圧の「上」と「下」が生まれるのです。
血圧の下の基準値
血圧の下の値は、診察室血圧では80mmHg未満、家庭血圧では75mmHg未満が正常血圧とされています。しかし、夜間では血圧が低めとなり下の血圧が70以上で高値と診断されます。このため、下の血圧が70以下 KWであっても一概に低過ぎるとは言い切れません。
血圧の上と下の差は、正常の場合は40〜60mmHgです。差が開きすぎる場合は心筋梗塞や脳血管疾患のリスクが高くなり、差が少なすぎる場合は心臓のポンプ機能が低下していると考えられます。
上と下どちらかだけを気にするのではなく、両方のバランスが取れていることも大切です。
血圧の下はいくつから高いと判断できる?
血圧の下の値も、上の値と同様に「高血圧予備軍」となる値が定められています。下の値に「正常高値血圧」はなく、「高値血圧」として分類されています。
| 分類 | 診察室血圧の下 | 家庭血圧の下 |
|---|---|---|
| 正常血圧(単位:mmHg) | <80 | <75 |
| 高値血圧(単位:mmHg) | 80–89 | 75–84 |
| 高血圧(単位:mmHg) | ≧90 | ≧85 |
上の血圧と同じく、正常血圧では、下の基準だけでなく上の基準も満たすことが条件です。
血圧の下が低いと現れる症状
血圧の下が低い、つまり拡張期血圧の下が低い場合に現れる主な症状をご紹介します。
血圧が高いと「下げましょう」と言われることも多いですが、下がり過ぎも体にとって悪影響です。
立ちくらみ・めまい
一時的に脳の血流量が低下して、くらくらしたり目の前が暗くなったりします。もし立ちくらみが起こったら、無理に動かず足を高くして横になりましょう。
低血圧になると発生しやすく、自律神経の異常や貧血、他の基礎疾患の影響などが原因となります。
頻繁に立ちくらみやめまいが続くようになる、連続して起こるような場合は一度かかりつけの内科を受診しましょう。背景に病気が隠れている可能性があります。
頭痛
低血圧が原因で身体の状態が一定に保てない場合、頭痛が発生することがあります。低血圧の原因を改善するほか、着圧ストッキングや有酸素運動も取り入れた対策が有効と考えられ、必要であれば薬物治療が行われる場合もあります。
頭痛が起こった場合、水分を補給して、足を高くして安静にしてください。
症状がひどい場合は、かかりつけの内科を受診するようにしましょう。
倦怠感
血圧が低いために全身に行き渡る血液の量が減ると、酸素や栄養が行き届かずに倦怠感が現れることがあります。
こちらも低血圧の原因を改善するほか、着圧ストッキングや有酸素運動も取り入れた対策が有効と考えられます。
緊急性はありませんが、日常生活に支障が出る場合は、かかりつけの内科や治療中の病気の担当医に相談しましょう。
吐き気
低血圧で自律神経の乱れや酸素・栄養不足が起こると、吐き気が現れることがあります。安静にして少しずつ水分を補給し、足を高くして安静にしましょう。
こちらも緊急性はありませんが、日常生活に支障が出る場合は、かかりつけの内科や治療中の病気の担当医に相談しましょう。
手足の冷え
低血圧が原因で全身に行き渡る血液の量が減ると、手足が冷えることがあります。この場合、有酸素運動で血行を良くする、温かいものを食べる、自律神経を整える、といった対策が有効です。
「血圧の下が低い」についてよくある質問
ここまで血圧の下が高いことについて紹介しました。ここでは「血圧の下が高い」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
血圧の下がどれくらい低いと危険なのでしょうか?
伊藤 陽子(医師)
低血圧の明確な定義はありません。また、下の血圧が低い場合にどの程度危険性があるかについてもはっきりとした結論は出ていません。しかし、上の血圧が高いにも関わらず下の血圧が低い場合には動脈硬化が進行している可能性が考えられます。このような場合には、全身の動脈硬化の評価をする必要があります。心血管系の病気の合併がないかを含め内科で相談をしてみましょう。
編集部まとめ 血圧の下が低い時は、まず生活習慣を見直そう!
血圧の下が低い原因として、体質や遺伝によるものから背景の病気まで、さまざまなものが考えられます。明確に「低血圧」として定義されている値はありませんが、自律神経を整えるために規則正しい生活を心がけましょう。
もし日常生活に支障が出る場合は、かかりつけの内科を受診して相談してください。必要に応じたアドバイスや治療が行われるでしょう。
「血圧」の異常で考えられる病気
「血圧」から医師が考えられる病気は9個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
循環器科の病気
- 高血圧症
- 低血圧症
- 心不全
腎臓系の病気
脳神経系の病気
血圧の下が低い場合、改善のためには生活習慣の見直しを心がけましょう。日常生活に支障が出る場合、医療機関を受診してください。




