「血糖値」が上がると現れる「症状」はご存知ですか?医師が徹底解説!

血糖値が上がるとどうなる?メディカルドック監修医が血糖値が上がると現れる症状・原因などを解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「血糖値」が上がると現れる「症状」や上がりやすい人の特徴はご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
伊藤 陽子(医師)
目次 -INDEX-
血液中のブドウ糖濃度、血糖値とは?
血液中のブドウ糖濃度、血糖値は健康診断などの採血項目の一つです。
糖尿病やメタボリックシンドロームの判定に使用されます。
基準値より高いとどうなるのか、症状や病気について解説します。
血糖値とは何?
血糖値とは、血液中に含まれるブドウ糖の濃度のことです。採血や血糖測定器で検査ができます。
食事をして、食べ物が消化・吸収されると血液中にブドウ糖が入り血糖値が上昇します。
ブドウ糖とはエネルギー源となる3大栄養素の一つである糖質です。
血糖値が上がると、インスリンというホルモンが分泌され、細胞に糖を取り込み、体や臓器を動かすエネルギー源として使われます。
体内ではインスリンや血糖を上げる数種類のホルモンの働きによって、血糖値はほぼ一定に調節されています。
血糖値の基準値は?(空腹時/食前/食後)
血糖値は食べ物の影響を受けるため、食事(エネルギーがある物の摂取)をしてからの経過時間によって基準値が異なります。
- 空腹時(10時間以上の絶食) 110mg/dL未満
- 食前(食後3.5時間以上10時間未満) 110mg/dL未満
- 食後(食事をしてから2時間後) 140mg/dL未満
血糖値が上がると出る症状
血糖値は上がったり下がったりを繰り返し、一定の範囲内になるように調節されています。生活習慣の乱れや運動不足などで血糖値が下がりにくくなると、血糖値が高い状態(高血糖)が続くようになります。高血糖になっても始めのうちは自覚症状がないことが多いです。症状が現れた時にはすでに糖尿病を発症している可能性があります。
口渇・多飲・多尿
血糖値が上がった状態が続くと、腎臓で余分な糖を排出するようになり多尿になります。
多尿になると、体内の水分が不足するため口渇が起こり、多飲になります。
水など糖を含まない飲み物を十分に摂ること、健康診断などで高血糖を指摘されている場合は速やかに一般内科を受診しましょう。
体重減少
血糖値が上がった状態が続くと、インスリンの働きが悪くなり、細胞に糖を取り込めなくなります。食べ物から十分な量のエネルギーを摂取していても、利用できなければ体はエネルギー不足です。代わりのエネルギー源として筋肉や脂肪を分解してしまい、これが体重減少の原因となります。
疲労感
血糖値が上がった状態が続くと、インスリンの働きが悪くなり、細胞に糖を取り込めなくなるためエネルギーが不足し疲れやすくなります。
健康診断などで高血糖を指摘され、疲れやすいなどの症状がある時は、糖尿病を発症している可能性があるため、速やかに一般内科を受診しましょう。
意識障害・昏睡
血糖値が上がった状態が続き、インスリンの働きが悪くなって糖を利用できなくなると、脂肪やたんぱく質を分解してエネルギー源にします。脂肪を分解するとケトン体という物質が作られ、これが増えすぎると体が酸性になります。また、高血糖により極度の脱水状態にもなります。倦怠感や嘔吐などの症状が現れ、悪化すると意識障害や昏睡となり命が危険な状態です。
インスリンが分泌されなくなる1型糖尿病の発症や、糖入りの飲み物を大量に摂取して高血糖になると、意識障害や昏睡になる場合があります。
脱水症状や意識障害などの症状がある場合は救急要請をしてください。
血糖値が上がる原因
血糖値が上がる原因は、遺伝・加齢・食事や運動などの生活習慣・ストレス・喫煙などさまざまです。
インスリンの作用不足
肥満や運動不足などでインスリンの効きが悪くなると、血糖値が下がりづらくなるため、血糖値が上がる原因になります。
食べ過ぎや飲み過ぎ
必要量以上に食べすぎたり、過度な飲酒はエネルギーや糖質の過剰摂取となり、血糖値を上げる原因です。食べ過ぎや飲み過ぎは太る原因にもなり肥満を招きインスリンの効きを悪くしてしまう可能性があります。
栄養バランスが偏った食事
丼物や麺類など、主食の単品のみの食べ方は糖質の摂取量が多くなりがちです。糖質の量が多いと、食後の血糖値が高くなる原因になります。
嗜好品が多い
菓子類・糖入りの飲み物(ジュース・スポーツドリンク・コーヒー・栄養ドリンクなど)は糖質を多く含むため、血糖値を上げる原因になります。
食事以外の時間に菓子や糖入りの飲み物を摂取すると、そこでも血糖値が上がるため、なかなか血糖値が下がらなくなります。
活動量が少ない
運動の習慣がない・座っている時間が長いなど、活動量が少ないと糖の消費量が減ります。また、肥満にもなりやすく、インスリンの効きが悪くなり血糖値を上げる原因になります。
血糖値が上がると眠くなるのはどうして?
血糖値が上がり過ぎると、血糖値を下げるためにインスリンが過剰に分泌されます。この時にインスリンが血糖値の上昇に合わずに遅れて分泌され、急に血糖値が下がります。血糖値の高低差が眠くなる原因の一つです。
「血糖値が上がると」についてよくある質問
ここまで血糖値が上がる原因などを紹介しました。ここでは「血糖値が上がると」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
血糖値が一番上がる食べ物について教えてください。
伊藤 陽子(医師)
ジュースなどの糖入りの飲み物はブドウ糖を多く含んでいるため、消化・吸収されやすく、血糖値を急に上げやすいです。
「ペットボトル症候群」といって、糖入りの飲み物を大量に飲んで高血糖を招き、糖尿病を発症することがあります。糖入りの飲み物は摂取量に注意しましょう。
水を飲むと血糖値は下がりますか?
伊藤 陽子(医師)
インスリンが働くことや、筋肉を使い糖を筋肉に取り込むことで血糖値が下がります。水を飲んでも血糖値は下がりませんが、血糖値が高いと体内は脱水になりやすいため、水など糖を含まない飲み物を十分に摂取することはおすすめです。
まとめ 血糖値が上がったら早めに内科を受診しよう!
血糖値が高い状態が続いても、自覚症状を感じることはあまりなく、自覚症状が現れた時には病気が進行している場合があります。
健康診断などで高血糖を指摘されたら、自覚症状がないからと放置せず、早めに医療機関を受診しましょう。
「血糖値」の異常で考えられる病気
「血糖値」から医師が考えられる病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからメディカルドックの解説記事をご覧ください。
血糖値が高いと糖尿病が始めに思い浮かぶと思います。血糖値が高くなる病気は糖尿病以外にもあるため、健康診断などで高血糖を指摘されたら、早めに医療機関を受診しましょう。




