【闘病】風邪だと思っていたら「ギラン・バレー症候群」だった 後遺症に今も悩む…
「ある日、体中がだるくなり、階段すら降りられなくなりました」。Yokoさん(仮名)は、全身の脱力感や重だるさの原因がわからないまま、大学病院で「ギラン・バレー症候群」と診断されました。診断までの経緯や入院生活、治療の中で感じた葛藤と、病気と向き合いながら日々を送る今の心境とは?
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2022年4月取材。
体験者プロフィール:
yokoさん(仮称)
東京都在住、1983年生まれ。夫、子ども、姑と同居。診断時の職業は3tトラック運転手。2011年6月にギラン・バレー症候群(軸索型)を発症。入院し、免疫グロブリン療法を開始。現在も後遺症やほかの病気の併発などで体調に波があり、多くの薬を服用しながら生活を続けている。
記事監修医師:
村上 友太
※先生は記事を監修した医師であり、闘病者の担当医ではありません。
編集部
ギラン・バレー症候群と診断されたときの経緯について教えてください。
yokoさん
体がだるかったので、クリニックを受診して尿検査と血液検査を受けましたが、風邪とは診断されず、大きい病院(内科・外科・整形外科などがあり、救急にも対応できる病院)へ行くように指示され、その日に受診しました。そこではレントゲンを撮り、今度は大学病院へ行くように指示され、翌日に大学病院を受診したところ、風邪ではなくギラン・バレー症候群かもしれないと言われました。
編集部
そのときはまだ「可能性」の話だったのですね。
yokoさん
はい。ですが、2日後に再度受診し、MRIなどの検査を受けて、正式に軸索型のギラン・バレー症候群の診断がつき、入院と治療が始まりました。ギラン・バレー症候群には軸索型と脱髄型の2種類あるそうです。日本ではほぼ同じくらいの割合で発症しているそうです。
編集部
具体的にどのようなだるさだったのか教えてください。
yokoさん
全身がだるかったです。特に両手足にはそれぞれ5kgくらいの重りをつけているようなだるさがあり、階段を降りられず、母が帰宅するまで飲み物を飲みに行ったり、トイレに行ったりすることもできませんでした。
編集部
大学病院ではどのような検査をしたのでしょうか?
yokoさん
初めて受診した日は診察のみで、ビタミン剤とリリカ(神経系の薬)を処方されました。生の鶏肉を食べていないか、下痢などの症状がなかったかを聞かれました。また、握力や手足の力の入り具合、振動が分かるか、手足首・肘・膝をコンコンと軽く叩いて反応があるか(腱反射)などを調べました。2日後に受診した際は、初日同様、握力、手足首・肘・膝の腱反射の検査に加えて髄液検査、造影剤を使用してのMRI検査、レントゲン検査を行いました。
編集部
医師からはどのように治療を進めていくと説明がありましたか?
yokoさん
まずは免疫グロブリン療法を行い、症状次第で血しょう交換に変更すると言われました。私は免疫グロブリン療法で症状が落ち着いたので、血しょう交換はしませんでした。
編集部
入院中はどのような治療をしたのでしょうか?
yokoさん
大学病院受診2日後に自宅で歩くことがままならなくなり、階段を降りることもできなくなったため、母と母の友人の車で救急病院を受診しました。診断がついた当日から約2週間はICUに入院し、1回目の免疫グロブリン療法を行いました。その後一般病棟へ移動し、リハビリをしながら回復の様子を見ましたが、体が思うように動かなかったため、2クール目の免疫グロブリン療法を開始しました。
編集部
2回目の免疫グロブリン療法は効果がありましたか?
yokoさん
はい。2回目の免疫グロブリン療法後、リハビリを続け、体調も安定するようになりました。あとはリハビリを頑張るのみとなったので、8月上旬にリハビリ病院へ転院しました。その後、ストレスによるメニエール病を発症してしまいましたが、10月には退院することができました。入院していた大学病院でリハビリを2か月行いましたが、その後はやっていません。
編集部
病気が判明したときの心境について教えてください。
yokoさん
初めて聞く病名だったので、驚きと「治るのか」という不安がありました。
編集部
現在の体調や生活の様子について教えてください。
yokoさん
ギラン・バレー症候群の後遺症が残り、体調が万全な日はありません。体力や腕力などは元に戻らないので役職を変更しての復職でしたが、体調にも波があり続けられませんでした。また、3〜4年前に多発性硬化症になり、現在は慢性疲労症候群も患っています。そのせいもあって、今でも朝・昼・晩にたくさんの薬を飲んでいます。大変なことも多いですが、それでも家族と友達に支えられながら日々を過ごしています。
編集部
ギラン・バレー症候群は治っていないということでしょうか?
yokoさん
当初に現れた強い症状からは回復しましたが、ギラン・バレー症候群の後遺症で手足の痺れや感覚障害が残っています。手で触って洗濯物が乾いているのか、濡れているのか判断できなかったり、熱さが分からず火傷したりすることもあります。
→(後編)【闘病】ギラン・バレー症候群は後遺症の程度や症状が一人ひとり違うことを知ってほしい
※この記事はMedical DOCにて《【闘病】風邪のようなダルさは「命を落とす可能性もある」ギラン・バレー症候群だった》と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。