「小腸がん」の原因はご存知ですか?進行速度についても医師が徹底解説!

小腸がんの原因とは?Medical DOC監修医が解説します。
※この記事はMedical DOCにて『「小腸がん」の初期症状や発症しやすい年齢層はご存知ですか?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
齋藤 雄佑(医師)
日本外科学会外科専門医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。
目次 -INDEX-
「小腸がん」とは?
小腸がんとは、小腸に発生する悪性腫瘍のことです。小腸は「十二指腸」「空腸」「回腸」という3つの部分からなり、小腸がんはこれらいずれの部位にも生じる可能性があります。発生する部位の割合は、十二指腸が約45%、空腸が約35%、回腸が約20%と報告されています。 小腸がんにはいくつかの種類がありますが、一般的に、小腸がんというとこれらの中でも小腸にできる「腺がん」を指すことが多く、本記事でも主に腺がんを念頭に解説します。小腸がんの初期症状、原因、進行の速さ、かかりやすい年齢層、発症確率が低い理由、検査方法、治療方法などについて詳しく解説します。
小腸がんの主な原因
炎症性腸疾患
クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患は、小腸がん発症のリスク因子の一つです。炎症性腸疾患では長年にわたる慢性炎症は細胞の遺伝子にダメージを与え、がんの発生リスクを高めると考えられています。炎症性腸疾患の患者さんは定期的な内視鏡検査が推奨されており、小腸がんも念頭に置いた経過観察が重要です。
遺伝性の疾患
遺伝的な要因として、遺伝性の病気が小腸がんの原因となる場合があります。代表的なものは家族性大腸腺腫症(FAP)、リンチ症候群、ポイツ・ジェガーズ症候群などの遺伝性疾患も小腸がんの危険因子です。これらの病気では消化管に多数のポリープができやすく、ポリープから小腸がんが発生しやすいとされています。
セリアック病など
小腸がんのリスク要因と考えられている代表的な病気はセリアック病(グルテン過敏症)です。セリアック病は小麦などに含まれるグルテンに対する自己免疫反応で小腸に炎症と萎縮を起こします。欧米に多く日本ではまれですが、この病気の患者では小腸がんや小腸リンパ腫の発生リスクが高いことが報告されています。
小腸がんの進行速度
小腸がんの進行速度は、その腫瘍の種類によって異なる場合があります。小腸腺がんは進行が比較的速い傾向のあるがんです。小腸の腺がんの場合、症状が出る頃にはかなり進行していることが多く、診断時に約半数の患者さんで周囲の臓器やリンパ節への転移がすでに認められたとの報告もあります。腺がんは悪性度が高く増殖も速いため、早期発見ができないと短期間で進行してしまうことがあり、注意が必要です。小腸がんは早期発見・早期治療が非常に重要ながんです。上述したような初期症状を手がかりにできるだけ早い段階で見つけることが、その後の予後を大きく左右します。
小腸がんを発症しやすい年齢層
小腸がんの好発年齢(発症しやすい年齢)は50~60歳代と言われています。中高年以降に多く、若年者に生じるケースはかなり稀です。実際、小腸悪性腫瘍全体で20歳代以下の患者は全体の2~3%程度との報告もあり、若年での発症は極めてまれであることがわかります。加齢とともに細胞の修復・再生能力が落ち、長年積み重なったダメージが顕在化してがん発生につながることがあります。その結果、50代以降で小腸がんが見られるようになり、60~70代が発症のピークです。ただし、遺伝性の素因がある方や、クローン病のように若年発症する持病を持つ方では、40代以前でも小腸がんが発生する可能性があります。そのようなハイリスクの方は年齢に関係なく定期的な検査が推奨されます。
小腸がんを発症する確率
小腸がんの発症確率(罹患率)は他の主要ながんと比べて非常に低いものです。日本人が小腸がんになる確率は、生涯で見ても1%未満と推定されています。統計データで見ると、人口10万人あたりの年間小腸がん発症数は、男性で2.61人、女性で1.77人程度という推計値があります。この数字は大腸がん(同じ消化器のがんで日本人に年間100人以上/10万人が発症)などと比べても極めて少なく、小腸がんが稀ながんであることを示しています。全がんの中での割合も前述したとおり0.5%以下で、例えば大腸がんの約1/100程度の頻度しかありません。言い換えれば、一般の人が小腸がんになる確率はごくわずかです。しかし、上述した特定のリスク因子をお持ちの方では発症確率が高くなるため注意が必要です。
小腸がんの発症が少ない原因
小腸がんが少ない理由として、以下のことが挙げられます。
胃や大腸に比べ外部からの刺激が少ない
小腸は口から入ってくる食べ物や菌に直接触れることが少ない臓器です。食べ物はまず口腔・食道・胃を通り、その過程である程度殺菌・消化されます。胃の先の十二指腸以降に達する段階では、食塊はドロドロの消化液混じりの状態になっており、口から入った細菌やウイルスなどの多くは胃酸で死滅しています。そのため小腸は口腔・咽頭、食道、胃などに比べて有害な刺激を直接受けにくい環境です。こうした理由から、小腸はそもそも外からの刺激によって細胞ががん化するリスクが低いと考えられています。
腸内細菌の数が少ない
腸内細菌の少なさも小腸がん発生が少ない一因とされています。人間の消化管では大腸に非常に多くの細菌が生息していますが、小腸内の細菌数はそれに比べると格段に少ないのです。大腸の細菌は食物中の成分を分解する過程で発がん物質を産生することが知られています。一方、小腸は大腸ほど細菌が多くなく、内容物も滞留せずに先へと送られていくため、発がん物質が長時間留まることがありません。このような小腸の環境が、がんの発生を抑えていると考えられます。
粘膜細胞の新陳代謝が盛ん
小腸は粘膜の新陳代謝(生まれ変わり)が活発な臓器です。絶えず栄養を吸収している小腸粘膜の細胞は盛んに分裂・再生を繰り返しており、古くなった細胞やダメージを受けた細胞はどんどん剥がれ落ちて新しい細胞に置き換わっています。胃も粘膜のターンオーバーが速い臓器ですが、小腸はさらに活発です。このように粘膜細胞の新陳代謝が盛んであるため、腫瘍が形成されても腸管から排出されてしまう可能性があります。
「小腸がん」についてよくある質問
ここまで小腸がんについて紹介しました。ここでは「小腸がん」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
小腸がんの生存率はどれくらいなのでしょうか?
齋藤 雄佑 医師
小腸がんの5年生存率(診断から5年後に生存している割合)はステージ(病期)によって大きく異なります。国立がん研究センター中央病院でのデータによれば、腺がんの場合でステージⅠは約80~85%、ステージⅡで約78~86%、ステージⅢAで約52%、ステージⅢBでは約21%と報告されています。
小腸がんは希少がんに分類されるのでしょうか?
齋藤 雄佑 医師
はい、小腸がんは典型的な希少がん(まれながん)です。希少がんの定義は「患者数が少なく診断や治療の確立が難しいがん」で、国際的には人口10万人あたり年間発症6人未満とされています。小腸がんはまさに該当しており、日本でも発症率が非常に低い希少ながんの一つです。
編集部まとめ 小腸がんは専門機関での検査が必要
小腸がんは小腸に発生する希少ながんで、症状が出にくく早期発見が難しい疾患と言えます。小腸はがんになりにくい臓器であり、発症頻度は非常に低いです。診断にはカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡など特殊な検査が必要です。治療は手術が中心で、進行例には抗がん剤治療も行われます。小腸がんは40〜60代に多く、症状やリスク因子に注意し、気になることがあれば早めに医療機関を受診してください。日頃から健康管理を心がけ、消化管の健康にも目を向けて過ごしましょう。
「小腸がん」と関連する病気
「小腸がん」と関連する病気は5個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
良性疾患から悪性疾患まで幅広い疾患と関連がありますので、気になることがあれば医療機関でご相談ください。
「小腸がん」と関連する症状
「小腸がん」と関連している、似ている症状は8個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
症状のみではほかの病気との区別がつきづらいです。気になる症状があれば、すぐに医療機関で相談してください。
参考文献




