「大腸がんの前兆となる3つの初期症状」はご存知ですか?原因や検査法も医師が解説!

Medical DOC監修医が大腸がんの初期症状・原因・検査法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください
※この記事はMedical DOCにて『「大腸がん」を発症すると「お腹にどんな張り」を感じる?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
和田 蔵人(わだ内科・胃と腸クリニック)
目次 -INDEX-
「大腸がん」とは?
大腸がんとは、大腸の内側にある粘膜から発生した腫瘍です。腺腫という良性の腫瘍が悪性化したものと、正常粘膜から直接がんが発生する場合の2通りあります。腺腫から発生したものが多いです。大腸がんは、現在罹患数で第一位の非常に多いがんであり、近年増加傾向にあります。
大腸がんの前兆となる初期症状
大腸がんは症状が出ないことが多いです。しかし、このような症状が出た場合には大腸がんの可能性を考え、消化器内科を受診しましょう。
便通異常
大腸がんが大きくなり腸管内に突出すると、便の通り道が狭くなってしまいます。そのため、便が詰まりかけると便秘や下痢を繰り返すことがあります。また、便が細くなることも自覚症状の一つです。このような便通異常は他の病気でも起こり得ます。自己判断をせずに、便通異常が持続する場合には、消化器内科を受診して相談をしてみましょう。
血便・血の混ざった便
大腸がんがあると、便が通過した際にこすれて出血することがあります。このため、便の中に血が混ざることがあります。見た目ではわからなくとも、少量ずつ出血している場合には便潜血検査で陽性となります。便潜血検査で一回でも陽性となった場合には、一度大腸カメラでの検査を受けましょう。
貧血
大腸がんは、便が通過することでこすれて表面から出血することがあります。この出血は、見た目にはわからなくとも長期にわたり少量づつ出血することで貧血となることもあります。健康診断などで、普段より貧血が進行している場合には、一度便潜血検査を受けることをお勧めします。もし、便潜血で陽性であった場合には早めに消化器内科を受診しましょう。
大腸がんの主な原因
遺伝
大腸癌の約7割は遺伝子異常が原因で起こると言われています。この遺伝子異常は、発がんを促進する遺伝子や発がんを抑制しているがん抑制遺伝子の異常です。また、生まれながらに遺伝子異常があり大腸がんの発生をきたしやすい方もいます。家族性大腸腺腫症やリンチ症候群などが代表であり、大腸癌全体の約5%程度です。そのほかにも、明らかな原因は分かっていませんが、何らかの遺伝子素因の影響があり、血縁者に大腸がんの集積性がある方が大腸がんの約2~3割いると報告されています。このような遺伝の影響が考えられる方では、より若い時から大腸がん検診、大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。
生活習慣の乱れ
大腸がんの危険因子として、喫煙、過度のアルコール、赤肉・加工肉の過剰摂取、食物繊維の摂取不足、肥満、運動不足が挙げられています。これらの生活の乱れに関しては、日常生活で少し気を付けることで改善が見込めます。大腸がんを発生させないためにも、これらの生活習慣に気を付け、生活を送りましょう。
加齢
大腸がんは、30代ごろより増え始め、その後80代にピークを迎えるまで増え続けます。加齢に伴い、発生しやすいと考えられます。年齢を変えることはできませんが、発生しやすい年齢を意識し、40代以上では大腸がん検査を受けることをお勧めします。また、家族性大腸腺腫症などの遺伝子異常の方では、より若年で癌を発生しやすいです。10代より検査を勧めることもあります。まず、消化器内科を受診し相談して大腸がんを早期に発見できるように気を付けましょう。
大腸がんの検査法
便潜血検査で陽性の場合や、症状から大腸がんが疑われる場合には以下のような検査を行いいながら現在の大腸がんの病変の広がりやそのほかの病気の合併がないかを調べ、治療方針を決定します。
大腸内視鏡検査(大腸カメラ)
内視鏡を肛門より挿入し、直腸から盲腸までの大腸全体を詳しく調べる検査です。検査前には下剤を使用して腸管をきれいにしてから検査を行います。この検査により、ポリープ・大腸がんなどの病変を発見した場合には、この病変全体を切除、もしくは部分的に組織を採取して病理診断が行われます。この検査で大腸がんの確定診断をします。
注腸造影検査
注腸造影検査の前には、残渣が少ない検査食を食べ、前日から下剤を服用し、当日には大量の腸管洗浄液(下剤)を飲んで腸管内をきれいにしなければなりません。当日検査の時には、バリウムと空気を肛門から注入し、レントゲンを撮影します。この検査では、大腸がんの正確な位置、大きさや形、腸管の狭窄の程度などを知ることができます。
CT検査、MRI検査
CT検査、MRI検査はそれぞれX線と磁気を使用して体の臓器の病変の有無を調べる検査です。大腸がんでは、治療の前に周囲の臓器への浸潤がないか、遠隔転移がないかを調べることができます。
「大腸がんとお腹の張り」についてよくある質問
ここまで大腸がんとお腹の張りの関係性などを紹介しました。ここでは「大腸がんとお腹の張り」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします
大腸がんを発症するとお腹が張る原因について教えてください。
和田 蔵人 医師
大腸がんを発症することで、便の通りが悪くなり、便のつまりから腹痛やおなかの張りを感じる方もいます。また、大腸がんが進行し、腹膜播種という腹腔内にがんが散らばった状態となると、腹水が生じておなかが張ることもあります。しかし、おなかが張る原因は大腸がんだけではありません。おなかが張るようになったら自己判断せず、まず消化器内科を受診して相談しましょう。
まとめ お腹の張りを感じたら消化器内科へ!
お腹の張りを感じた場合、大腸がんなどの大きな病気が潜んでいるかもしれません。もちろん、おなかが張るのは大腸がんのみではありませんが、大腸がんはもともと症状が出にくい病気です。気になる症状があった場合には、早めに消化器内科を受診することが重要です。
お腹の張りなどの症状があったら、消化器内科を受診しましょう。
「大腸がんとお腹の張り」と関連する病気
「大腸がんとお腹の張り」と関連する病気は7個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
おなかの張りを感じるときに、多くは消化器系の病気が隠れています。原因を調べるためにまず消化器内科を受診しましょう。一部腹水などは、消化管以外の病気に伴うこともあります。肝硬変や婦人科系疾患などです。自己判断せずに、受診して相談することが大切です。
「大腸がんとお腹の張り」と関連する症状
「大腸がんとお腹の張り」と関連している、似ている症状は5個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
おなかの張りに上記のような症状があった場合には、大腸がんの可能性もあります。まず消化器内科を受診して相談しましょう。