「糖尿病」から合併症予防まで 運動療法の多彩な効果を最大化させるポイントとは?
運動療法は糖尿病だけでなく、高血圧や脂質異常症、肥満の改善、さらには心筋梗塞や脳卒中といった合併症の予防にも効果を発揮します。1回の運動の効果は約48時間続くため、2日以上間隔を空けないことが推奨されています。本記事では、運動療法の持続効果や生活習慣改善のポイントについて理学療法士の河江さんが解説します。
監修理学療法士:
河江 敏広(理学療法士)
編集部
運動療法はほかの生活習慣病や合併症にはどのような効果がありますか?
河江さん
運動療法は糖尿病以外でも高血圧や脂質代謝異常、肥満を改善させる効果も認められており、糖尿病の3大合併症発症予防や重症化予防にも効果を認めています。また、糖尿病患者においては太い血管が障害される脳血管疾患や心筋梗塞などの心臓血管系疾患の予防にも効果を認めています。
編集部
運動療法の効果はどれくらい持続しますか?
河江さん
運動療法の効果は、1回の有酸素運動を実施した場合48時間継続することが報告されています。すなわち、1回の運動で筋肉がより多くの糖を取り込む働きが持続されることになります。そのため、2日以上運動を実施しない期間を作ってしまうとこの効果が消失してしまうため、運動は1日におきに実施することが望まれます。
編集部
運動療法の効果を高めるために、ほかに気をつけるべきことは何ですか?
河江さん
運動療法の効果を高めるためには、食事療法を遵守することです。よく、運動を行えば食事量を増やしてもいいのか、といった質問をされますが、多く食事を摂取することで血糖値の上昇を招き、それに対して膵臓がより多くのインスリンを分泌する必要があるため、いくら運動を行って良い効果が得られたとしても膵臓は疲弊してしまいます。そのため、栄養士から指示された食事摂取量は必ず守るようにしましょう。
※この記事はMedical DOCにて【糖尿病の運動で血糖値が下がる仕組みとは? 運動療法の科学的根拠を理学療法士が解説】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。