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コレステロール値が低いとどうなる?医師が病気のリスクなどを徹底解説!

 公開日:2023/07/20
コレステロール値が低いとどうなる?医師が病気のリスクなどを徹底解説!

健康診断でコレステロール値が低いと言われたらどうすべき?Medical DOC監修医が血液検査の見方や基準値・主な原因と病気のリスク・対処法などを解説します。

川島 峻

監修医師
川島 峻(新宿アイランド内科クリニック)

プロフィールをもっと見る
医師、医学博士。横浜市立大学医学部、東京大学大学院医学系研究科卒業。虎の門病院、東大病院心臓呼吸器外科、Brigham and Women's Hospitalなどで勤務。現在、新宿アイランド内科クリニック院長として幅広い世代に対して内科疾患、予防医療を中心に診療している。呼吸器専門医、胸部外科専門医会員、呼吸器外科専門医、外科専門医、がん治療認定医。

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健康診断・血液検査で「コレステロール値が低い」と診断されたときに考えられる原因と対処法

血液の中にはLDL(悪玉)コレステロール、HDL(善玉)コレステロール、中性脂肪(トリグリセリド)などの様々な脂質が含まれています。総コレステロールやLDLコレステロールが低いことは望ましい状態ですが、善玉コレステロールであるHDLコレステロール値が低い場合には動脈硬化が進行するリスクがあります。さらにLDLコレステロールが低すぎる場合でも別の病気がみつかることがあります。この記事ではコレステロールが低いと診断されたときに考えられる原因と対処法について解説します。

男性でコレステロール値が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

コレステロールが低くても基本的には無症状です。基準値よりも少し低い程度であれば経過観察でも大丈夫ですが、一定の基準より低い場合には医療機関を受診して検査を受けることが必要です。LDLコレステロールが極端に低い場合には栄養不足、甲状腺ホルモンが過剰になる甲状腺機能亢進症などの可能性があります。HDLコレステロールが低い場合には多くの場合LDLコレステロールが高くなっており、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣の乱れが原因の可能性があります。HDLは善玉コレステロールと言われており、低い場合には動脈硬化になりやすいと言われているため、低すぎる場合には精査が必要です。検査異常が見られたときには野菜を中心としたバランスのよい食事と有酸素運動などを取り入れるようにしましょう。

女性でコレステロール値が低いと診断されたときに考えられる原因と病気のリスク・対処法

コレステロールは細胞膜・ホルモン・胆汁酸を作る材料となっています。そのため低すぎる場合には様々な不調をきたしてしまうので、注意する必要があります。女性でコレステロールが低い場合にはダイエットなど食事制限による栄養不良や、甲状腺のホルモンが増加してしまう甲状腺機能亢進症などが考えられます。健康診断の結果で要精密検査と判定された場合には早めに病院で診断を受けることが必要です。

健康診断の「コレステロール値」の見方と再検査が必要な「コレステロール値が低い」に関する数値・結果

ここまでは診断されたときの原因と対処法を紹介しました。
再検査・精密検査を受診した方が良い結果がいくつかあります。
以下のような診断結果の場合にはすぐに病院に受診しましょう。

健康診断・血液検査の「コレステロール値」の基準値

HDLコレステロールの基準値は40 mg/dl以上、35-39 mg/dlは要再検査、34 mg/dl以下は要精密検査、治療と判定されます。LDLコレステロールは60-119 mg/dlが基準値であり、140-179 mg/dlが要再検査、59 mg/dl以下、180 mg/dl以上が要精密検査、治療と判定されます。そのため、HDLコレステロール34 mg/dl以下、LDLコレステロール59 mg/dl以下、180 mg/dl以上の場合は早急に診断・治療を受けたほうがよい状態です。

判定 HDLコレステロール値 LDLコレステロール値
基準値 40 mg/dl以上 60-119 mg/dl
要再検査 35-39 mg/dl 140-179 mg/dl
要精密検査・治療 34 mg/dl以下 59 mg/dl以下
180 mg/dl以上

健康診断・血液検査の「コレステロール値が低い」ときの再検査内容

コレステロール値が低い場合には、血液検査を再度行います。コレステロールには複数の種類があるので、それぞれの数値、割合などを詳しく調べます。また問診、診察により別の病気によるコレステロール値の異常が考えられる場合には、詳細な検査が行われる場合があります。再検査はクリニックや総合病院の内科で行い、健康診断の判定に準じて3ヶ月や6ヶ月以内に再検査を受けることが望ましいです。再検査の結果に応じて、生活習慣改善の指導や病気に特有の治療を行う場合があります。

健康診断・血液検査の「コレステロール値が低い」診断で気をつけたい病気・疾患

ここではMedical DOC監修医が、「コレステロール値が低い」に関する症状が特徴の病気を紹介します。
どのような症状なのか、他に身体部位に症状が現れる場合があるのか、など病気について気になる事項を解説します。

脂質異常症(低脂血症)

低脂血症は血液中の脂質が減少している状態で明らかな原因がないものから他の病気に伴って発症するものがあります。通常は無症状で、血液検査で偶然発見されます。総コレステロールが低下している低脂血症の場合の原因には遺伝、甲状腺機能亢進症、慢性感染症や炎症、低栄養、消化管での吸収不良などがあります。。原因がはっきりしているものでは、それぞれの診療科で元々の病気を治療することが大切です。健康診断で要精査の基準に該当し、原因がわからない方はまず内科を受診して診断をつけてもらうようにしましょう。
また、コレステロールの中でも悪玉であるHDLコレステロールが低い場合には、脂っこい食事の食べ過ぎや肥満、運動不足などの不規則な生活習慣が原因の可能性があります。HDLコレステロールが低い場合は動脈硬化が進行しやすい状態であり、数値によっては精査、治療が必要になります。動脈硬化は全身の血管に起こり、徐々に動脈が硬くなり、血管の壁にプラークが発生してしまいます。通常は無症状に進行していきますが、プラークによって血管が狭くなった場合には狭心症や一過性脳虚血発作、閉塞性動脈硬化症などの色々な病気の原因になります。またプラークが破綻してしまい、血管が完全に詰まってしまうと心筋梗塞や脳梗塞、下肢動脈閉塞症などを起こしてしまいます。細胞に血流が届かないと、低酸素により組織が障害されてしまうため、心筋梗塞では心機能の低下や心臓破裂、不整脈、脳梗塞では麻痺、構音障害、下肢では切断などの不可逆性の障害を残してしまう可能性があります。そのためHDLコレステロールの検査異常が見られたときには野菜を中心としたバランスのよい食事と有酸素運動などの運動を取り入れ、数値が改善しないときには早めに病院を受診するようにしましょう。

「コレステロール値が低い」ときの正しい対処法・改善法は?

総コレステロールやLDLコレステロールが低い場合には、遺伝、甲状腺機能亢進症、慢性感染症や炎症、低栄養、消化管での吸収不良などの病気が考えられます。健康診断の結果から経過観察でよい数値の場合には、青魚、ナッツやアボカド、オリーブオイルなど良質な脂質を含んだ食品を摂取するようにし、要精査の基準に該当する場合は早めに医療機関を受診するようにしてください。
次に、善玉コレステロールであるHDLコレステロールが低い場合には、不健康な生活習慣や遺伝的要因、ある種の疾患や薬剤などの可能性があります。揚げ物など不飽和脂肪酸の多い不健康な食事や運動不足、喫煙、肥満などは、HDLコレステロールを低下させ動脈硬化を進行させる可能性があります。そのため、HDLコレステロールが低い場合には野菜を中心とした健康的な食事に変えることがお勧めです。また禁煙、減量と週に数回の有酸素運動を取り入れることが効果的です。HDLコレステロールの低下には多くの要因が関与している可能性があるため、改善しない場合にはきちんと病院を受診して診断、治療を受けることも必要です。

「コレステロール値が低い」についてよくある質問

ここまで症状の特徴や対処法などを紹介しました。ここでは「コレステロール値が低い」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

血液検査の結果でコレステロール値が低いとどうなるのでしょうか。

川島 峻川島 峻 医師

コレステロールのうち、どの成分が低いかで解釈が異なります。HDLコレステロールが低い場合には動脈硬化の危険因子ですので、生活習慣の改善が必要です。一方で、総コレステロールが低い場合は脂質の摂取が少なすぎることや、甲状腺など他の病気の可能性が考えられます。

健診結果でHDLコレステロール値が低いのは危険な状態ですか?

川島 峻川島 峻 医師

HDLコレステロールは善玉コレステロールとも言われており、動脈硬化の進行を抑える作用があります。そのためHDLコレステロールが低い状態は動脈硬化が起こりやすいと考えられており、生活習慣を見直すことが必要です。

コレステロール値が低いのですが食事で改善できますか?

川島 峻川島 峻 医師

まずは食事内容の見直しと運動や禁煙など生活習慣の改善が必要です。その上で、数値が改善しない場合には医療機関を受診して診断とお薬による治療を受けるようにしましょう。

総コレステロール値が低い場合、喫煙は悪影響でしょうか?

川島 峻川島 峻 医師

一般的に、総コレステロール値が低い場合でも、喫煙は悪影響を及ぼす可能性があります。総コレステロールはHDLコレステロールを含めたコレステロールの数値なので、HDLコレステロールも低くなっていることが考えられます。HDLコレステロールは動脈硬化のリスクを低下させる役割を果たしているので、喫煙によってHDLコレステロールが低下すると、心血管疾患のリスクが増加する可能性があります。喫煙はコレステロールだけではなく肺疾患の増加にも繋がるため、辞めることが賢明です。

太っているのですがコレステロール値が低いのが原因でしょうか?

川島 峻川島 峻 医師

コレステロール値の低下は、一般的には総コレステロール値の低下やHDLコレステロールの低下を指すことが多いです。太っている場合にコレステロール値が低いかどうかは、個人の状況によりますが、一般的にはコレステロール値の低下は肥満とは直接関連していません。逆に肥満の方では、LDLコレステロールや中性脂肪の数値が上昇しやすくなります。

まとめ 健康診断でコレステロール値が低いと言われたらHDLコレステロールの値を確認して対策を!

健康診断でコレステロール値が低いと言われた場合、どの種類が低いか確認することが必要です。特にHDLコレステロールは動脈硬化の予防に重要なので、HDLコレステロールが低い場合には生活習慣の見直しが必要になってきます。健康診断でコレステロール値に関する異常が出た場合、ここまで解説してきた内容を参考にして、医師や専門家の指導のもと、個々の状況に合わせた対策を取ることが重要です。

「コレステロール値が低い」で考えられる病気

「コレステロール値が低い」から医師が考えられる病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

内科の病気

栄養は摂りすぎも摂らなさすぎも問題となり、病気の発症のきっかけとなるので食習慣を含む生活習慣を見直すことが大事です。

この記事の監修医師