電撃ネットワーク・南部虎弾の死因「脳卒中」の前兆・症状・予防法を医師が解説
1月20日、電撃ネットワークのリーダー・南部虎弾(なんぶとらた・72歳)さんが脳卒中のため死去したことがグループ公式Xで発表されました。電撃ネットワークは体を張った過激なパフォーマンス芸を披露して国内外で人気を博していました。
死因として伝えられた脳卒中の症状とは? Medical DOC監修医が脳卒中の症状・前兆となる初期症状・予防法や何科へ受診すべきかなどを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。
※この記事はMedical DOCにて【「脳卒中の症状」はご存知ですか?前兆となる初期症状・予防法も医師が徹底解説!】と題して公開した記事を再編集して配信しており、内容はその取材時のものです。
監修医師:
金 仁星(医師)
化粧品検定2級、英語発音指導士® 所有
目次 -INDEX-
「脳卒中」とは?
脳卒中とは、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳に酸素や栄養が届かなくなる病気です。脳は全身の機能をコントロールする重要な器官なので、脳卒中になると、身体の一部が動かなくなったり、話したり聞いたりすることができなくなったり、意識が失われたりすることがあります。脳卒中は命に関わる重大な病気であり、日本では年間約10万人が亡くなっています。早期発見・早期治療が非常に重要な病気です。この記事では、脳卒中の症状や対処法について解説します。
脳卒中の代表的な症状
頭痛
脳卒中とは脳の血管が突然詰まってしまう脳梗塞と、脳で血管が破れてしまう脳出血に分かれます。脳卒中のうち、特に脳出血においては、突然始まる激しい頭痛が代表的な症状です。特に起床時や夜間に起こることが多く、吐き気やめまいなどを伴う場合もあります。このような頭痛を感じた際は「ただの頭痛だろう」と自己判断せずに、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。頭痛が起こったら、横になって安静にすることや、冷たいタオルや氷嚢で頭部を冷やすことで少し楽になる場合もありますが、それだけでは治りません。救急車で運ばれたら、脳神経外科や脳神経内科などの専門医に診てもらうことが大切です。早期に正確な診断と治療を受けることで、後遺症を防ぐことができます。
片頭痛
片麻痺とは、体の左右のどちらか一方が麻痺する症状です。脳卒中の場合、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳に酸素や栄養が届かなくなることで起こります。片麻痺は突然発症することが多く、顔や手足の動きが悪くなったり、感覚が鈍くなったりします。重度の場合は、話すことや飲み込むこともできなくなることがあります。
片麻痺を感じたら、すぐに救急車を呼んでください。自分で落ち着かせる方法はありません。放置すると重篤な後遺症や死に至る可能性があります。救急車が来るまでは、横になって安静にしてください。できるだけ頭を高くして、呼吸を整えてください。救急車に乗るときは、持病や服用中の薬、アレルギーなどを伝えてください。片麻痺は脳神経外科などの専門医に診てもらう必要があります。
構音障害・失語症
構音障害・失語症とは、脳卒中によって脳の言語機能が障害されることで、話すことや聞くこと、読むことや書くことが困難になる症状です。この症状は、脳卒中の部位や程度によってさまざまな形で現れます。たとえば、言いたいことがうまく伝えられなかったり、相手の話が理解できなかったり、文字が読めなかったりします。構音障害・失語症は、脳卒中の重要なサインのひとつです。もし自分や周りの人にこのような症状が現れたら、すぐに救急車を呼んでください。時間が経つほど回復が難しくなる可能性があります。救急車を呼ぶ際には、脳神経外科や脳卒中センターのある病院に搬送されるよう、構音障害・失語症の疑いがあることを伝えてください。この症状は、早期のリハビリテーションで改善する可能性があります。専門的な診断や治療を受けることが大切です。
視野障害
視野障害とは、視界の一部が欠けたり、ぼやけたりする症状です。脳卒中の場合、左右どちらかの目だけでなく、両目の同じ側が障害されることが多いです。視野障害は脳の後頭葉にある視覚中枢が損傷されることで起こります。この症状は脳卒中の初期症状や前兆となることもあります。
視野障害が起きたら、すぐに救急車を呼んでください。自分で気づかない場合もあるので、周りの人も注意してください。視野障害を落ち着かせる方法はありませんが、頭を動かさないようにしてください。
視野障害が脳卒中の症状である可能性が高い場合は、救急車で最寄りの脳神経外科や脳卒中センターのある病院に搬送されます。受診時には、いつから視野障害が起きたか、他にどんな症状があるかを医師に伝えてください。視野障害は命に関わる重大な症状ですので、早期に治療を受けることが大切です。
意識障害
意識障害は、脳卒中の代表的な症状の一つです。意識障害は、脳の機能が低下すると起こる状態で、意識がもうろうとしたり、ぼんやりしたり、眠ってしまったりします。重い場合には、意識がなくなってしまうこともあります。
意識障害が起こったら、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。意識障害は、脳に深刻なダメージが起こっている可能性が高いからです。救急車が到着するまでにできる処置は、頭を高くして呼吸をしやすくすることや、口の中にものが入っていないかを確認することです。意識障害の場合には、脳神経内科や脳神経外科の専門医に診てもらう必要があります。受診時には、意識障害がいつから始まったか、どのくらい続いているか、他にどんな症状があるかなどを伝えるとよいでしょう。意識障害は、脳卒中の重大な合併症であり、命に関わることもあるので、早期に治療を受けることが大切です。
脳卒中の前兆となる初期症状
軽い頭痛やめまい、吐き気
軽い頭痛やめまい、吐き気は、脳卒中の前兆となる初期症状のひとつです。この状態は、脳の細胞が傷ついたり死んだりする危険がありますので、重大な合併症を防ぐためにも早期に対処する必要があります。
軽い頭痛やめまい、吐き気を感じたら、まずは安静にして横になることをおすすめします。頭を高くして血流を改善させるとよいでしょう。また、水分補給や冷湿布も効果的です。ただし、これらの処置は一時的なものであり、症状が改善しない場合や悪化する場合は、すぐに医療機関を受診する必要があります。
脳卒中の疑いがある場合は、脳神経外科や脳神経内科を受診することが望ましいです。受診時には、発症時刻や症状の詳細を伝えることが重要です。また、持病や服用中の薬なども医師に伝えてください。脳卒中は時間とともに悪化する可能性が高く、命に関わることもありますので、早めの受診をお勧めします。
顔や手足の痺れ・脱力感
顔や手足の痺れ・脱力感は、脳卒中の初期症状のひとつです。脳の血管が詰まったり破れたりすると、脳に酸素や栄養が届かなくなり、神経細胞が死んでしまいます。その結果、神経細胞が支配する筋肉に指令が伝わらなくなり、痺れや脱力感が起こります。この症状は、顔や手足の一部分だけに現れることもあります。例えば、口角が下がったり、片方の手や足が動かなくなったりする場合です。
このような症状に気づいたら、すぐに救急車を呼んでください。時間が経つほど、脳の損傷が広がり、回復が難しくなります。自分で処置をすることはできませんし、しない方が良いです。病院に到着したあとは、持病や服用している薬、症状の発症時刻などを医師に伝えるようにしましょう。
まっすぐ歩けない
まっすぐ歩けないという症状は、脳卒中の前兆となる初期症状の一つです。脳卒中では、脳の血管が詰まったり破れたりして、脳に酸素や栄養が届かなくなるため脳の機能が低下し、体のバランスをとることができなくなります。まっすぐ歩けない場合は、すぐに救急車を呼んでください。自分で歩こうとしないでください。歩くことで症状が悪化する可能性があります。また、頭を高くして横になり、安静にしてください。血圧や心拍数が上がると、脳へのダメージが増える恐れがあります。救急車が来るまで、周りの人に付き添ってもらってください。まっすぐ歩けない場合は、脳神経外科や脳神経内科に行く必要があります。受診時には、症状が始まった時間や持病や服用している薬などを伝えてください。まっすぐ歩けないという症状は、脳卒中の重大なサインです。早期に治療を受けることで、後遺症を防ぐことができます。
呂律が回らない、言葉が出てこない
呂律が回らない、言葉が出てこないという症状は、脳卒中の前兆となる初期症状の一つです。これは、脳の血管が詰まったり破れたりして、言語を司る部分に酸素が届かなくなることで起こります。この症状が出たら、すぐに救急車を呼ぶ必要があります。自分で気づいた場合は、周りの人に知らせてください。周りの人が気づいた場合は、患者さんに「笑ってみて」と言ってみてください。笑顔が歪んでいるかどうかを確認します。また、患者さんに「今日は何日ですか?」と質問してみてください。日付や曜日を答えられない場合は、脳卒中の可能性が高いです。このような場合は、時間が経つほど脳の損傷が進むので、早急に医療機関に搬送する必要があります。脳卒中の専門医がいる救急外来や脳神経外科を受診してください。受診時には、症状が始まった時間や持病や服用中の薬などを伝えてください。
物が欠けて見える
物が欠けて見えるという症状は、脳卒中の前兆となる初期症状のひとつです。これは、脳の血管が詰まって、視覚に関係する部分に十分な酸素が届かなくなることで起こります。物が欠けて見える場合は、すぐに救急車を呼んでください。自分で症状を落ち着かせる方法はありませんし、放っておくと失明や死に至る可能性があります。救急車が来るまでは、横になって安静にしてください。病院では、脳神経外科や脳卒中センターなどの専門医に診てもらう必要があります。受診時には、いつから症状が始まったか、他にどんな症状があるか、持病や服用している薬があれば伝えてください。
すぐに病院へ行くべき「脳卒中の症状」
ここまでは脳卒中の症状を紹介してきました。
以下のような症状がみられる際にはすぐに病院に受診しましょう。
手足のしびれや脱力感が突然出現した場合は、脳神経外科・神経内科へ
手足のしびれや脱力感が突然出現した場合は、すぐに医療機関を受診するか、救急車を呼んでください。救急車で病院に運ばれる際には、できるだけ早く治療を開始するために、以下のことを伝えてください。
- ・発症時刻
- ・発症前に何をしていたか
- ・発症時にどんな症状があったか
- ・持病や服用中の薬があるか
- ・アレルギーがあるか
受診するべき病院は、脳卒中センターを持つ大学病院や地域医療センターなどです。これらの病院では、専門的な設備や医師が揃っており、迅速かつ適切な治療を受けることができます。脳の障害を最小限に抑えるためにも迅速に対処することが非常に重要です。
受診・予防の目安となる「脳卒中の症状」のセルフチェック法
- ・突然顔や手足の一部がしびれたり、力が入らなくなったりした場合
- ・話すことや理解することが急に出来なくなった場合
- ・突然目の前がぼやけたり、二重に見えたりするようになった場合
- ・突然の激しい頭痛やめまいが起こった場合
- ・突然歩くことや立つことができなくなった場合
脳卒中を予防する方法
血圧の管理
血圧の管理は、脳卒中を予防する方法のひとつです。高血圧は、血管に負担をかけて破れやすくなります。その結果、脳に出血が起こったり、血栓が詰まったりして、脳の機能が低下したり失われたりする可能性が高まります。血圧の管理をすることで、血管の健康を保ち、脳卒中のリスクを減らすことができます。
血圧の管理には、食事や生活習慣の改善が重要です。食事では、塩分や動物性脂肪の摂取量を減らし、野菜や果物などの食物繊維やビタミンを多く含む食品を積極的に摂るようにしましょう。生活習慣では、適度な運動や睡眠、ストレスの解消などが効果的です。また、定期的に血圧を測って、自分の状態を把握することも大切です。
血糖の管理
血糖の管理は、脳卒中を予防する方法の一つです。血糖が高いと、血管が傷つきやすくなり、動脈硬化や血栓のリスクが高まり、脳卒中の原因になる可能性があります。血糖をコントロールするためには、食事や生活習慣に注意する必要があります。食事では、糖質や脂質の摂り過ぎを避け、野菜や果物などの食物繊維を多く含む食品を積極的に摂るようにしましょう。生活習慣では、適度な運動を心がけ、ストレスを溜めないようにしましょう。また、血糖値が高いことを指摘された場合は、医師の指示に従って治療を受けることも大切です。
適度な運動
脳卒中を予防する方法の一つとして、適度な運動が挙げられます。運動は、血圧や血糖値、コレステロール値などの脳卒中の危険因子を改善する効果があります。また、血液の流れを良くし、血管の柔軟性を高めることで、血栓の形成や動脈硬化の進行を防ぐことができます。運動は、心肺機能や筋力、バランス感覚なども向上させるため、脳卒中になっても回復しやすくなります。
運動をする際には、自分の体力に合わせて無理のない範囲で行うことが大切です。過度な運動は逆に血圧を上げたり、心臓に負担をかけたりする可能性があります。一般的には、週に3回以上、1回に20分以上の有酸素運動(歩く、走る、自転車に乗るなど)が推奨されています。
禁煙
脳卒中を予防する方法のひとつに、禁煙があります。禁煙には、血圧や血液の流れを改善する効果があります。これにより、脳卒中のリスクを低下させることができます。また、禁煙は、動脈硬化や心筋梗塞などの他の循環器疾患の予防にもつながります。禁煙するためには、医師や薬剤師などの専門家のアドバイスを受けることが大切です。
飲酒量の管理
飲酒量の管理は、脳卒中を予防する方法のひとつです。飲酒によって血圧が上昇したり、血液が固まりやすくなったりすると、脳の血管に負担がかかります。その結果、脳の血管が詰まったり、破れたりして脳卒中を引き起こす可能性が高まります。飲酒量の管理をすることで、血圧や血液の状態を改善し、脳の血管を守ることができます。飲酒量の管理をするためには、以下のポイントに注意しましょう。
- ・一日のアルコール摂取量は男性で20g以下、女性で10g以下にする
- ・飲酒するときは水分を摂る
- ・飲酒後は十分な睡眠をとる
- ・定期的に検査を受ける
これらのポイントを守ることで、飲酒による脳卒中のリスクを低減することができます。飲酒はほどほどにして、健康な脳を保ちましょう。
「脳卒中の症状」についてよくある質問
ここまで脳卒中の症状・予防法などを紹介しました。ここでは「脳卒中の症状」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。
軽い脳卒中の症状にはどんな症状がありますか?
金 仁星 医師
軽い脳卒中の症状には、顔や手足の一部がしびれたり、力が入らなかったりすることがあります。また、話すことや理解することが難しくなったり、視界がぼやけたりすることもあります。これらの症状は一時的に起こることもあれば、持続することもあります。軽い脳卒中の症状は見過ごされがちですが、重大な合併症を引き起こす可能性があります。ですから、軽い脳卒中の症状を感じたら、すぐに医療機関に連絡してください。早期に治療を受けることが、脳卒中の予防や回復にとって重要です。
妊娠すると脳卒中を発症しやすくなるのでしょうか?
金 仁星 医師
妊娠中は血液の凝固性が高まり、血栓ができやすくなります。血栓が脳の血管に詰まると、脳卒中の一種である脳梗塞を引き起こす可能性があります。また、妊娠高血圧症候群や子癇などの妊娠合併症も脳卒中のリスクを高めます。妊娠中は脳卒中の症状に注意する必要があります。脳卒中の症状は、片麻痺、言語障害、視野障害などです。これらの症状が出たら、すぐに救急車を呼んでください。脳卒中は早期治療が重要です。妊娠中の脳卒中を予防するためには、定期的な検診を受けることや、塩分や油分の摂り過ぎを避けることなどが大切です。
編集部まとめ
この記事では、脳卒中の症状や前兆について詳しく解説しました。脳卒中は重大な病気であり、早期発見・早期治療が命を救うことがあります。脳卒中の症状はさまざまであり、軽いものから重篤なものまであります。妊娠中や片麻痺など特殊な場合もあります。脳卒中の前兆は頭痛やいびきなどで現れることがあります。脳卒中を予防するためには、生活習慣の改善や定期的な健診が大切です。脳卒中に関する知識を身につけて、自分や家族の健康を守りましょう。
「脳卒中の症状」と関連する病気
「脳卒中の症状」と関連する病気は4個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
精神科の病気
- 脳卒中後うつ
脳卒中の症状と関連する病気は以上のものが挙げられます。いずれも緊急性の高い病気ですから、これまでご紹介したような症状が見られた際は、早急に医療機関を受診してください。
「脳卒中の症状」と関連する症状
「脳卒中の症状」と関連している、似ている症状11個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。
これらの症状がある場合は脳卒中の可能性が考えられます。複数当てはまる場合は早急に医療機関を受診しましょう。