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「パーキンソン病」になりやすい人の生活習慣はご存知ですか?【医師解説】

 公開日:2026/03/10
パーキンソン病になりやすい人

パーキンソン病になりやすい人の生活習慣とは?Medical DOC監修医がパーキンソン病の姿勢反射障害を軽減するリハビリなどを解説します。

※この記事はメディカルドックにて『「パーキンソン病」を発症すると「姿勢」にどのような特徴が現れるかご存知ですか?』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

神宮 隆臣

監修医師
神宮 隆臣(医師)

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熊本大学医学部卒業。熊本赤十字病院脳神経内科医員、熊本大学病院脳神経内科特任助教などを歴任後、2023年より済生会熊本病院脳神経内科医長。脳卒中診療を中心とした神経救急疾患をメインに診療。脳神経内科疾患の正しい理解を広げるべく活動中。診療科目は脳神経内科、整形外科、一般内科。日本内科学会認定内科医、日本神経学会専門医、日本脳卒中学会専門医、日本脳血管内治療学会専門医、臨床研修指導医の資格を有す

「パーキンソン病」とは?

パーキンソン病は、脳の「黒質」という部分でドパミンをつくる神経細胞が減少することで起こる神経変性疾患です。
動作が遅くなる、筋肉がこわばる、震えが起こるといった運動症状のほか、姿勢の保持が難しくなる「姿勢反射障害」など、転倒につながる症状も特徴の一つです。進行とともに歩行や日常生活の動作が不安定になりやすく、早期からの治療やリハビリが重要です。

パーキンソン病になりやすい人の生活習慣

パーキンソン病の発病危険因子としては、60歳以上の高齢、男性、家族歴などが報告されています。ただし、日本では女性の方が発症頻度が高いため、世界的な報告とは異なります。以下では、パーキンソン病になる可能性を高めるかもしれないと考えられている生活習慣などについて解説します。

運動不足

運動不足は、パーキンソン病発症の危険性を高める可能性があります。
動物の研究では、運動をすると体の中の炎症が減り、パーキンソン病に関係するたんぱく質(α-シヌクレイン)の異常が少なくなり、細胞のエネルギー工場であるミトコンドリアの働きもよくなることが報告されています。さらに、神経を守ったり育てたりする物質(神経栄養因子)が増える可能性があるとも言われています。運動不足や身体活動の低下がみられると、こうした作用が期待できなくなる可能性があります。

慢性的な不眠症

慢性的な不眠症は、パーキンソン病のリスクを高める可能性があります。慢性不眠症が3ヶ月以上続く方のリスクが最も高かったとする報告もあります。
ただし、すでにパーキンソン病になりかけているために不眠症があるのかなど、まだ解明されていない部分もあります。
「夜寝られない」「睡眠の質が低下している」といったことが続く場合は、睡眠外来など、専門家に相談するようにしたほうがよいでしょう。

特定の農薬に晒される仕事についている

パラコートやロテノン、有機リン系、有機塩素系などの農薬は、パーキンソン病の発症率の増加と関連していることが示されています。農薬に暴露されることで、パーキンソン病に関連する遺伝子の変異などが起こり、病気につながるのではと示唆されています。

パーキンソン病の姿勢反射障害を軽減するリハビリ

パーキンソン病による姿勢反射障害があると、立つ・座る・歩くといった日常の動作でふらつきやすくなります。そして、いったんバランスを崩すと元の体勢に戻りにくくなります。
また、身体が硬くなり、筋力が落ちていると、さらに姿勢の調整が難しくなります。そのため、身体の柔軟性を保ち、筋力の維持や向上が重要です。
ここでは、パーキンソン病の姿勢反射障害改善のためのリハビリテーションやトレーニングを紹介します。
これらは、病院などの医療機関や、訪問リハビリとして自宅などで行われます。自宅でも行うことができるトレーニングもあります。理学療法士などのリハビリ担当者や、主治医と相談しながら、自分自身に合った運動に取り組むことが大切です。

ストレッチ

背中の筋肉を伸ばすような運動をして、前屈みになり転びやすくなることを予防しましょう。
壁に向かって座り、両手を壁につけ、窓拭きをするようなイメージで手を徐々にあげるようにします。立った状態でも運動ができます。壁を背中に向け、前屈みにならないように気をつけながら背中を壁につけていきます。

筋力訓練

背中を伸ばす力を保つ運動もあります。うつ伏せに寝転び、両肘を床についてできるだけ顔を上げます。左右交互に手を伸ばし、伸ばした手を見るようにします。次に、左右交互に足を持ち上げます。

リズムや音楽に合わせた歩行訓練

パーキンソン病で姿勢反射障害や歩行障害がみられる場合には、外からの合図(キュー)を利用したリハビリが有効とされています。代表的な方法として、音楽や一定のリズムに合わせて歩く訓練や、床のラインなど視覚的な合図を使った歩行練習があります。これらの訓練は、小脳や運動前野といった動きを調整する脳の回路を活性化すると考えられており、患者さんがより効率よく動作を学習できる点が特徴です。
実際に、リズムに合わせて歩く練習は、自分のペースで歩く場合と比べて、歩く速さや歩幅などが有意に改善したという報告があります。そのため、姿勢反射障害を伴うパーキンソン病の患者さんにとって、こうした外部の合図を取り入れたリハビリは試す価値が高い方法といえるでしょう。

バランス練習

パーキンソン病では、立ち上がりや方向転換、歩行の開始などの姿勢の切り替えが難しくなるため、バランス能力そのものを高めるトレーニングが重要です。例えば、片足立ちを短い時間だけ練習するなどの方法があります。

動作観察治療

運動やバランスの取り方を映像で見て、その動きをまねして実際に行うリハビリ方法があります。これは、私たちが誰かの動きを見るだけで脳の中の、まねる神経(ミラーニューロン)が働き、動きを学びやすくなるしくみを利用したものです。
パーキンソン病の患者さんでも、この「動作観察治療」がリハビリに役立つ可能性があると考えられており、実際に姿勢やバランスの改善に取り組んだ研究も報告されています。

「パーキンソン病の姿勢」についてよくある質問

ここまでパーキンソン病の姿勢などを紹介しました。ここでは「パーキンソン病の姿勢」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

パーキンソン病のリハビリにおいて禁忌事項があれば教えてください。

神宮 隆臣神宮 隆臣 医師

パーキンソン病のリハビリでは、基本的に「避けるべき運動が多い」というわけではありませんが、症状や病期に応じて注意が必要な点はいくつかあります。まず、転倒リスクが高い場合には、不安定な姿勢での無理な運動や急激な方向転換は避けるべきです。また、極端に激しい運動を突然始めることは、筋肉や関節に過度な負担がかかり、かえって症状を悪化させる可能性があります。
さらに、薬の効果が切れやすい時間帯(オフの時間)には動きが不安定になりやすいため、その時間帯のトレーニングは慎重に行う必要があります。毎日の体調に合わせて運動強度を調整し、疲労が強い日は無理をしないことが大切です。どの程度の運動が適切か迷う場合には、医師や理学療法士に相談し、安全に継続できるプログラムを組んでもらうと安心です。

まとめ

今回の記事では、パーキンソン病でみられる姿勢の異常について、特に姿勢反射障害について解説しました。パーキンソン病の姿勢反射障害があっても、適切な運動療法やリハビリテーションを行う事で、生活の質を保つことは可能と考えられます。

「パーキンソン病」と関連する病気

「パーキンソン病になりやすい人」と関連する病気は13個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

脳神経内科系

  • 進行性核上性麻痺(PSP)
  • 大脳皮質基底核変性症(CBD)
  • 多系統萎縮症(MSA)
  • 薬剤性パーキンソニズム
  • 脳血管性パーキンソニズム
  • レビー小体型認知症(DLB)
  • アルツハイマー病

精神科系

内科系

パーキンソン病に関連する病気としては、パーキンソン病でみられる症状(パーキンソニズム)を呈するものや、またパーキンソン病に合併しておこるものがあります。

「パーキンソン病」と関連する症状 

「パーキンソン病」と関連している、似ている症状は20個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

  • 振戦(手足のふるえ)
  • 筋強剛(筋肉のこわばり)
  • 無動(動作の遅れ)
  • 姿勢保持障害(バランスの崩れ、転倒しやすい)
  • 小刻み歩行(すり足歩行)
  • すくみ足(歩き出しや方向転換の困難)
  • ジスキネジア(不随意運動)
  • ウェアリングオフ(薬の効果が切れると症状悪化)
  • 自律神経障害(便秘・排尿障害・起立性低血圧)
  • 嗅覚低下
  • 睡眠障害(レム睡眠行動障害、不眠)
  • 不安症状
  • 認知機能低下(パーキンソン病認知症)
  • 幻視・幻覚
  • 倦怠感(疲れやすさ)
  • 小声(声が小さくなる)
  • 書字障害(小字症)
  • 体の痛み(筋肉・関節の痛み)
  • ヨダレが出やすい(嚥下障害)

パーキンソン病は運動症状だけでなく、非運動症状も多くみられるため、総合的な治療・ケアが重要です。

参考文献

この記事の監修医師