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「脳梗塞の前兆となる症状を予防する方法」はご存知ですか?医師が解説!

 公開日:2024/06/05
「脳梗塞の前兆となる症状を予防する方法」はご存知ですか?医師が解説!

Medical DOC監修医が脳梗塞の前兆となる初期症状を予防する方法などを解説します。気になる症状がある場合は迷わず病院を受診してください。

※この記事はMedical DOCにて『「脳梗塞の前兆となる4つの初期症状」はご存知ですか?予防法も医師が解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

丸山 潤

監修医師
丸山 潤(医師)

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群馬大学医学部卒業。群馬県内の高度救命救急センター救急科及び集中治療科に2022年まで所属。2022年より千葉県の総合病院にて救急総合診療科および小児科を兼務。乳児から高齢者まで幅広い患者層の診療に努める。
【保有資格】
医師/医学博士/日本救急医学会救急科専門医/日本集中治療医学会集中治療専門医/DMAT隊員/日本航空医療学会認定指導者(ドクターヘリの指導者資格)/JATECインストラクター/ICLSインストラクター

「脳梗塞」とは?

脳梗塞とは、脳の血管が何らかの原因で突然詰まる症状です。血管が詰まると血液が流れなくなり、血管の先にある脳神経細胞が死んでしまいます。
脳梗塞が起こってから数時間以内に脳細胞は死滅します。いちど死滅した脳細胞は再生しません。放置すると命を落とす、重度の後遺症を起こして寝たきりになる、仕事や生活に大きな障害が出るなど深刻な症状を引き起こします。脳梗塞は、病院での応急処置が早期であればあるほど回復の可能性が上がります。脳梗塞の症状が現れたら、その場で救急車を要請しましょう。
脳梗塞であっても、前兆があってから4.5時間以内なら血栓を溶かす薬を使い、回復を図ることができます。脳梗塞を起こしても無事に生還できるかは、まさに「時間勝負」。前兆の症状を知り、適切な処置をすれば、後遺症を残さず復帰できる可能性があります。
「脳梗塞の前兆らしき症状が出たら、一分一秒でも早く救急車を呼ぶ」という意識を持ちましょう。
脳梗塞を疑う症状があらわれても、数分~1時間ほどで回復することがあります。「一過性脳虚血発作」という状態で、一時的に脳の血管が詰まることで起こります。一過性脳虚血発作が発症したら、約2割の確率で脳梗塞が起こるリスクがあります。短時間で再発することも多いため、たとえ回復したと感じても、ただちに脳神経外科、脳神経内科を受診しましょう。

脳梗塞の前兆となる症状を予防する方法

突然人生を奪われ、深刻な後遺症に苦しむリスクが高い脳梗塞ですが、きちんと管理すれば発症リスクを下げることができます。
ダイエットを除けばどれも比較的簡単ですが「毎日必ず続ける」ことが求められることばかりです。服薬はうっかり忘れを防ぐために、カレンダー型の薬ケースに入れておく、飲む時間にアラームを鳴らすなど、工夫をするのが効果的です。面倒だからと通院や服薬を止めると、脳梗塞リスクが上昇します。

高血圧治療を怠らない

高血圧治療は脳梗塞や脳卒中を防ぐ最大の方法です。血圧が高いと血管への負担が増し、血管を塞ぎ、破裂する原因になります。日本では自分が高血圧であることを知らない、知っていても治療をしない人が1,400万人いると言われ、脳卒中の潜在的リスクになっています。高血圧を予防できれば、日本で発生する脳卒中を50%減らすことができる、という試算があるほどです。高血圧の改善は減塩と適度な運動が効果的で、特に「減塩」は必須です。日本人は塩分摂取が多い傾向があり、脳卒中は昔から国民病でした。まずは「ラーメンやうどんの汁を残す」「練り物、肉加工品はほどほどに」「味付けは塩分を減らし、柑橘類の搾り汁を加えて満足度を上げる」など、すぐできる方法からチャレンジしてみましょう。それでも改善しないときは降圧剤を服用します。

糖尿病の血糖値管理・肥満の解消

高血圧の次に脳卒中の原因になるのは、脂質異常症や糖尿病です。糖尿病の方は血管がもろくなりやすく、動脈硬化の原因になります。脳梗塞には3つの種類がありますが、肥満や糖尿病の方は特に血管の中にプラークが溜まる「アテローム血栓性脳梗塞」を発症するリスクが上がります。糖尿病の治療は長期戦です。定期的に内科か糖尿病外来を受診し、血糖値を把握する必要があります。バランスの良い食生活、適度な運動、適切な投薬で血糖値を下げることができます。定期健診で血糖値が要検査という結果になった方は、早めに内科か糖尿病外来を受診しましょう。
肥満と高血圧を併発している方は、特定保健指導を受けて実践すると、どちらも改善する傾向があります。

心房細動の検査と治療

心房細動とは不整脈の一種で、心臓の上部にある心房が収縮せず、ブルブル痙攣する症状です。高齢になると増える傾向があり、動悸、息切れめまい、倦怠感など自覚症状が現れることもあります。心房細動を起こすと心臓の中に血液が溜まったままになり、血栓を作る原因になります。血栓が脳の血管まで流れると、脳梗塞の中でも最も重症化しやすい「心原性脳塞栓症」を発症します。心原性脳塞栓症は脳の太い血管を血栓が塞ぐため、脳の広範囲に深刻なダメージを与えます。
心房細動による脳梗塞予防のためには血液をサラサラにする薬は欠かせません。また、異常な動きをする心筋の伝導路を焼き切る手術「カテーテルアブレーション治療」を行うことがあります。

禁煙

喫煙は肺がんの原因になることで有名ですが、脳梗塞や脳卒中リスクも上げます。喫煙による脳卒中リスクは男性1.4倍、女性2.0倍で、女性の方がより深刻なダメージを受けます。タバコの成分は動脈硬化を悪化させ、血管を縮める作用もあり、脳卒中を引き起こしやすくします。他の病気リスクもあるため、喫煙は今日から止めましょう。禁煙外来で禁煙補助薬を使いながらチャレンジすると、7~8割の方は禁煙に成功します。

「脳梗塞の前兆」についてよくある質問

ここまで脳梗塞の前兆となる症状・予防法などを紹介しました。ここでは「脳梗塞の前兆」についてよくある質問に、Medical DOC監修医がお答えします。

女性の脳梗塞の前兆となる症状にはどんな特徴がありますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

女性特有の前兆症状はありませんが、洗濯物を干す時に腕があげにくい、お化粧するために鏡を見たところ、顔の左右差が目立つといった場面で脳梗塞の前兆に気づく可能性があります。

脳梗塞の前兆となる症状にめまいや頭痛はありますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

あります。めまいと頭痛は、どちらも脳梗塞の前兆に起こる典型的な症状です。脳梗塞を起こした場所が脳幹や小脳の場合、めまいを起こします。めまいと共に体の半分がまひを起こす、言葉がうまく喋れない、言われても理解できないなど言語障害を併発することが多いので、そのような時はすぐに脳梗塞と判断できるでしょう。しかし、めまいしか自覚症状がないこともあります。今までに経験したことがないようなめまいを自覚した場合は、すぐに脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。

肩こりは脳梗塞の前兆となる症状に含まれますか?

丸山 潤医師丸山 潤(医師)

含まれます。肩こりはありふれた症状ですが、脳梗塞を起こすきっかけになることがあります。
首の動脈が裂ける「椎骨動脈解離(ついこつどうみゃくかいり)」という病気では、肩こりや頭痛が起こることがあります。特に「急に首を動かした後に肩こりが起き、治らない」場合は注意が必要です。
放置すると、脳梗塞を引き起こす可能性が高い前兆症状です。しつこい肩こりが治らず整形外科に行ったら専門機関で精密検査を受けるよう指示され、MRIで椎骨動脈解離が見つかることがあります。
肩こりがなかなか改善しない時は、一度は整形外科を受診することをおすすめします。肩こりだけでなく脳梗塞を疑う他の症状もあるような場合は、すぐに脳神経内科、脳神経外科を受診しましょう。

編集部まとめ

脳梗塞は111万人以上(2017年時点)の患者がいる、決して珍しくない病気です。特に40代からリスクが上がり、60~64歳では男性約4万人、女性約3.1万人の方が発症しています。年間約12万人の方が亡くなり、65歳以上の寝たきりの最大の原因になります。
脳梗塞は早期治療で後遺症リスクを大きく下げることができます。特に、4.5時間以内なら血栓を溶かす薬で脳細胞の死滅を防げる可能性があります。しかし、4.5時間以内なら遅くてもよいわけではなく、処置は早ければ早いほど回復の可能性が上がります。
脳梗塞らしき前兆が出たら「顔のゆがみ、腕は上がるか、喋れるか・言葉を理解できるか」を確認し、家でも職場でも、道端でも、その場ですぐに救急車を呼びましょう。

「脳梗塞の前兆」と関連する病気

「脳梗塞の前兆」と関連する病気は6個ほどあります。
各病気の症状・原因・治療方法など詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

循環器科の病気

内科の病気

眼科の病気

脳出血や脳腫瘍、脳髄膜炎も脳梗塞に関連する病気です。どれも早期に処置をしなければ命を落とす、重い後遺症が残る病気です。その場で救急車を呼びましょう。

「脳梗塞の前兆」と関連する症状

「脳梗塞の前兆」と関連している、似ている症状は3個ほどあります。
各症状・原因・治療方法などについての詳細はリンクからMedical DOCの解説記事をご覧ください。

関連する症状

脳梗塞の前兆に似ている症状に、頭痛やめまい、足元のふらつきなどがあります。脳梗塞とは関係ないこともありますが、長い間悩まされている、何度も起こる、徐々に症状が悪化している場合は早めに医療機関を受診しましょう。

この記事の監修医師