腎硬化症の症状・原因・治療方法とは?
腎硬化症(読み方:じんこうかしょう)とはどんな病気なのでしょうか?その原因や、主にみられる症状、一般的な治療方法などについて、医療機関や学会が発信している情報と、専門家であるドクターのコメントをまじえつつ、Medical DOC編集部よりお届けします。
この記事の監修ドクター:
相澤 摩周 医師(医療法人相沢内科医院 院長)
腎硬化症とは
高血圧が長期間続くと、腎臓の細動脈レベルの血管に動脈硬化が起こり、腎障害をきたす疾患です。進行すると、糸球体への血流が乏しくなり、腎機能は低下し、腎不全に陥ります。高齢者に多く、透析導入の原疾患の第3位を占め、増加傾向です。
引用:国立循環器病センター病院
http://www.ncvc.go.jp/hospital/section/ld/hypertension/detail07.html
腎硬化症の症状
良性腎硬化症は、もともと本態性高血圧にかかっている40歳以上の方に多く、年齢とともに高血圧が進行し、腎臓の機能が低下していきます。
自覚症状は、肩こり、動機、めまいなどを訴えることもありますが、症状がないまま進行し、蛋白尿や心臓の病気で発見されることもあります。
悪性腎硬化症は30歳代の比較的若年層に多く、急激な血圧の上昇のため腎機能の低下が急速に進行し、尿毒症に至り、致命的になることがあります。激しい頭痛、意識障害、視力障害、心不全などの症状が認められることがあります。引用:NPO法人 腎臓サポート協会
https://www.kidneydirections.ne.jp/support/soramame/school/no41.html
むくみなど自覚症状がある場合にはすでに腎不全に進行している可能性があるため、注意が必要です。
腎硬化症の原因
良性腎硬化症の場合は、軽度~中等度の本態性高血圧により、長期間の経過で腎機能の低下が進行していきます。悪性腎硬化症はまだ確定的なことはわかっていませんが、原因として、たんに高血圧が続くこと以外に、たとえば血圧を上昇させるホルモン(レニン)なども悪さしているようです。また、遺伝的要素も関係していると考えられています。
引用:NPO法人 腎臓サポート協会
https://www.kidneydirections.ne.jp/support/soramame/school/no41.html
腎硬化症の検査法
良性腎硬化症は多くの場合、本態性高血圧の経過中に尿検査で軽度の尿タンパクを認めますが、尿タンパクが陰性のこともあります。血液検査で腎機能の低下(血中尿素窒素・クレアチニンの上昇)や電解質異常が出現した場合は、腎硬化症の疑いがあります。また、進行例では超音波検査やCTなどの画像検査において、両側の腎臓の萎縮が認められます。確定診断には腎生検(腎臓を細い針で刺して、一部組織を取ってくる検査)が必要になりますが、高齢者の場合、また既に腎臓が萎縮している場合はあまり行われません。これまでの高血圧歴と尿検査所見が矛盾しないこと、他の疾患の可能性を否定できた場合に除外診断されることが多いのが現状です。
悪性腎硬化症は、高血圧による腎機能の急速な悪化に加え、眼底検査や心臓機能(心電図、胸部X線、心臓超音波)などで多臓器にわたる異常所見を認めます。眼底所見では高血圧ならびに動脈硬化がある程度判定できます。また、昇圧ホルモンの異常分泌による腎血管性高血圧や、褐色細胞腫などの二次性高血圧が原因となることもあり、鑑別のための検査も必要です。
引用:恩賜財団 済生会
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/nephrosclerosis/
腎硬化症の治療方法
良性腎硬化症に対しては、高血圧の治療が中心となります。食事療法(減塩食1日6g以下)や運動療法などによる生活習慣の改善、適切な降圧薬による治療を行います。降圧目標で推奨されている数値は130/80mmHg未満です。
悪性腎硬化症は、血圧管理とともに適切な全身管理を求められるため、一般に入院安静が必要です。内服による降圧薬が効きにくい場合は注射薬を用いることがあります。
引用:恩賜財団 済生会
https://www.saiseikai.or.jp/medical/disease/nephrosclerosis/